子育て世帯向けのサービスを提供している中部電力ですが、これまでは子育て中の方の声を直接会って聴く機会がなかなかありませんでした。
そこで、小学校低学年のお子さまを持つお母さんやお父さんに集まってもらい、子育てに関する悩みを共有するワークショップを、中部電力自らが企画・開催。
子どもたちが「でんきの科学館」の館内ツアーや工作教室を満喫している間、子育て真っ最中のお母さん、お父さんたちは、日頃抱えている子育てに対する不安や意見を熱く語り合いました。
中部電力からは栗林修をはじめ、社員7名が参加し、自分たちにできることは何かと、参加者の声からヒントを探りました。
一気に距離が縮まったアイスブレイク
今回のワークショップは、中部電力が提供する、学校などからの連絡を保護者に届けるサービス「きずなネット」を通じて参加者を募集。ワークショップに先立ち、きずなネットの開発・運用を担当している内田忠が主催者を代表し、「こういう場を通じて、中部地区が子育てしやすいまちになるよう、皆さんと一緒に考えていきたい」と挨拶をしました。
自身の子育てエピソードも交え挨拶する内田
まずはウォーミングアップとしてアイスブレイクに挑戦。アイスブレイクとは、参加者の緊張を和らげ、互いの垣根を取り払うための手法です。参加者は、配布された名札にニックネームを記して左胸に貼っています。この名札を頼りに五十音順に並ぶようサークルを作ります。敬称を省略してニックネームで呼び合うことにより、一気に距離感が縮まりました。
同じ名前が続き、笑いが起きる場面も
好きだった給食の話なども交えて自己紹介
まずは子育ての悩みを書き出してみる
アイスブレイクで打ち解けた後は、いよいよワークショップがスタートです。事前のアンケートを参考に、子育てのテーマを4つに分類。テーブルごとにA「親子間のコミュニケーション」、B「子どもの放課後」、C「学校の勉強や習いごと」、D「家庭と仕事の両立」というテーマで進行します。各テーブルには中部電力の社員が1名ずつ参加しました。
それぞれ関心の高いテーマを話し合います
最初に取り組むのは、チーム内で1つのテーマについて多くの意見を出し合い、新たな展開へと結びつけるディスカッションの方法、ブレインストーミングです。そのファーストステップとして、まずは個人でたくさんの課題を書き出す作業にトライ。思いついたことをどんどん言葉にする、質より量を重視するなど、ブレインストーミングのルールを踏まえて、困っていることや悩みごとを黄色いふせんに書き出します。
8分の時間内で10枚を目標に書き出します
整理しながら話し合うことで課題が明確に
続いて、グループで課題と解決策を共有するステップへ。テーブル横の壁に貼られた模造紙に、それぞれが書いた黄色いふせんをペタペタと貼っていきます。
単語だけや長文などふせんの内容もさまざま
貼り出された課題をメンバーと確認した後は、それぞれの悩みごとについて「うちではこういうふうに対応しているよ」と解決に向けたヒントやアイデアをピンク色のふせんに書き出し、まとめていきます。
互いの経験を生かして解決のヒントを発見
Aの「親子間のコミュニケーション」では「早く寝てくれない」という悩みに対して、「ママはもう寝るからと言って我が家は放っておくことにしています」というアドバイスも。専業主婦の方の意見に共働きのお母さんが共感する場面も多く見られ、「子育ての悩みの本質は同じですね」という声も。またBの「子どもの放課後」については「公園に子どもがいない」、「いたとしても同じ学年の子がいない」、「男の子しかいない」などの現状を共有しました。
子育て経験者の水谷の意見に頷く参加者も
後半のグループワークは、発表の時間。発表の準備として各チームでおこなったまとめの作業では、多種多様に見えた意見やアイデアがグループに分けられ、本質があぶり出されていきます。
C「学校の勉強や習いごと」のチームでは、「文章問題が苦手」、「最後まで問題を読まない」、「すぐにわからないと投げ出す」などの悩みから、子どものモチベーションを上げる工夫などについても議論が交わされました。またD「家庭と仕事の両立」では「子どもと接する時間が限られている」、「自分の時間が持てない」、「仕事が夜までかかり、子育てができない」など時間の使い方や制約に対する多くの悩みが表面化。ファシリテーターの終了の合図にも議論が止まらないほど、盛り上がりを見せていました。
話し合いが白熱し、時間を延長するほどに
悩みを共有したら、多くの共通点があった
内容を整理した後は、各グループの発表へ。グループ内で話し合ったことの中から「他のグループと共有したい課題」や「自分たちだけでは解決策が見つからなかった課題」をピックアップ。それぞれA3の用紙に書いて発表しました。
各チームの発表の内容
実は初対面だからこそ話せることがいっぱい
最後は輪になって着席し、ワークショップを通じての感想や気づきなどについて1人ずつ発言しました。「今日の方法は家でもできそう。子どもとやっても面白そう」、「PTAは女性ばかりなので、お父さんの意見が聴けて新鮮だった」、「時代によって子育ての悩みが違うことを実感」、「ママ友とはこんなに深い話をしないので貴重な経験に」、「答えを聴くのではなくみんなで話して解決していくという方法は勉強になりました」などの声が聴かれました。
話し足りない!という熱気を感じながら閉会
ワークショップ終了後も、別のチームの模造紙の写真を撮る人が多いなど、問題意識を共有する大切さを実感した様子の参加者たち。話し合いから始まる新しい課題解決の方法にも刺激を受け、多くのヒントを持ち帰ってくれたようです。
文:花野静恵 撮影:松井なおみ