【お仕事インタビュー】航空自衛隊員

【お仕事インタビュー】航空自衛隊員

きずなネットでは、進路や職業選びの参考にしてもらえるよう、さまざまな仕事に携わる人の声を紹介しています。

今回は、読者アンケートでリクエストのあった自衛隊員です。中でも、愛知県にある航空自衛隊小牧基地で、輸送機で貨物や人を輸送する際、貨物室内で責任者を務める空中輸送員(ロードマスター)の方に話を聞きました。

濱岡周治(はまおか・しゅうじ)さん
濱岡周治さん

30歳/10年目

航空自衛隊小牧基地

所属:第1輸送航空隊 第401飛行隊

この仕事を選んだ理由は?

子どもの頃は、自分が自衛官になるなんて想像すらしていませんでした。高校卒業後、大学進学を目指して受験勉強していた時、父親からのすすめもあって、自衛隊の地方協力本部(自衛隊の受験・見学・相談などの窓口)に行く機会があったんです。その後、航空自衛隊で開かれている「航空祭」にも足を運び、航空機や隊員のかっこよさに心をつかまれ、入隊を決めました。

20歳で入隊し、最初は新潟県佐渡市の佐渡分屯基地で勤務していましたが、2年前に小牧基地に移って来ました。

仕事内容は?

濱岡さんが乗務するK/C-130H輸送機濱岡さんが乗務するK/C-130H輸送機

通称「ロードマスター」と呼ばれる空中輸送員として、物資や人員を輸送するための航空機「K/C-130H輸送機」に乗り、目的地まで安全に輸送するための任務についています。K/C-130H輸送機は、約90人が乗れるほど大きな航空機で、自衛隊の航空基地や国内外の空港などへ人だけでなく、さまざまな物資や車、時にはヘリコプターなど、いろいろなもの載せて運びます。また、落下傘を付けた陸上自衛隊の空挺隊員や物資、車なども上空から投下し、目的地に届けることが出来ます。

通常、ロードマスターは出発前の荷物の積み込みや飛行中の貨物室の管理、保安業務などを担当します。空中からパラシュートを付けた陸上自衛隊の空挺隊員や物資、車を目的地上空で投下する時は、各種器材の操作や物料の確認、投下に必要な指示などの業務を行うとともに、機長のサポートも行っています。

ある日の主な業務内容

※飛行訓練の場合

離陸前
・輸送機貨物室内の安全点検
・搭載物などに応じて機内換装(部品や装備を取り換えること)
・貨物の重量を測り、搭載位置を計算して決定 ※
・貨物・人員の積み込み

※貨物の搭載位置は航空機の重心に影響するため、安全な航空機の運航には必要な業務

運航中
・貨物室内の管理および貨物の縛着(綱などで縛って結びつけること)確認など
・安全に運航するための保安業務
・物資・人員の投下業務

着陸後
・貨物の積み下ろし
・輸送機貨物室内の安全点検

このほか、専門知識を身に付けるための訓練や、国外での任務に備えた各種準備などの作業をする日もあります。

この仕事の楽しいところは?

輸送中は緊張の連続ですが、その分、無事に投下できた時や帰還した時の達成感は大きいですね

輸送中は緊張の連続ですが、その分、無事に投下できた時や帰還した時の達成感は大きいですね。また、訓練や任務で日本全国はもちろん、海外に行くことも多く、いろいろな経験が出来るのも楽しいです。最近では米軍との合同訓練でグアムや、輸送任務でアフリカ東部のジブチ共和国に行って来ました。

この仕事の大変なところは?

毎回限られた時間の中で、安全かつ効率的に輸送するため、計画を組み立て、準備しなくてはならない点です。

さらに、今の部隊では米軍との合同訓練や海外での任務も多いので、英語でのコミュニケーションスキルが必要になります。

例えば、海外の空港に降り立った時、グランドハンドリング(空港内における航空機の地上支援業務全般)会社の各担当者と英語を駆使していろいろな調整をする必要があります。現地でおろす貨物がある場合は、フォークリフトやカーゴローダー(旅客機の貨物室からコンテナやパレットを積み下ろす車)の運転手に、言葉や手信号を使った誘導やラバトリーサービス(トイレの汚水処理)との調整などをするのも我々の仕事です。

そういった時に、現地の人と英語でコミュニケーションをとりながら、効率的に任務を遂行できるよう、普段から英語の勉強に力を入れています。

この仕事につくためにした努力

小牧基地に来る前は、佐渡分屯基地で日本の領空に接近・侵入してくる航空機などを発見する警戒管制業務を行っていました。航空自衛隊には約30の職種があり、それぞれに必要な訓練や試験を受け、認定された隊員だけがその任務につくことが出来ます。

ロードマスターになるためには、自衛隊の中の教育機関で一定期間訓練を受け、選抜試験を通過し、「航空士」の認定を受ける必要があります。その後、各部隊に配属され、訓練を通して初級・中級・上級とステップアップしていきます。

私はまだ初級の段階なので、今もいろいろな専門知識や技術を身に付けるために努力しているところです。

今後の目標は?

ロードマスターとしては、まだまだ駆け出しなので、経験したことのない業務がたくさんあります。

ロードマスターとしては、まだまだ駆け出しなので、経験したことのない業務がたくさんあります。1つ1つ経験を積み、専門スキルを身に付け、将来は国内外で活躍するロードマスターになりたいです。

この仕事につきたい人へ

「飛行機に乗る仕事」というと、少しハードルが高く感じる人もいるかもしれません。でも、こんな私でもコツコツと努力をして、自ら道を切り開くことができました。今はロードマスターとして、日々、航空機に乗って国内外を飛び回っています。

体力的にも、精神的にも、決して楽な仕事ではありませんが、他にはない経験の出来る唯一無二の仕事だと思っています。給料や休日などの待遇面もしっかりとしていますし、勤務時間が厳格に管理されているため、残業もほとんどありません。

少しでも航空自衛隊に興味を持ったら、ぜひチャレンジしてみてください。

文・聞き手:きずなネットよみものWeb編集部

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