きずなネットでは、進路や職業選びの参考にしてもらえるよう、さまざまな仕事に携わる人の声を紹介しています。
今回は、中部エリアで親しまれているフジパン の西春工場で働く2人にインタビュー。フジパンといえば、「本仕込」「ネオバターロール」「スナックサンド」など、長年愛される商品で知られています。営業を担当する大谷さんと、商品開発を担当する神田さんに、地域に根ざしたパン作りの裏側と、担当者同士が連携して商品を届ける仕事について語ってもらいました。

大谷 悠介さん
30歳/8年目
フジパン
所属:西春工場 販売課 係長・営業

神田 恵里さん
29歳/7年目
フジパン
所属:西春工場 製造課 係長・商品開発
「お客さまの満足する姿を想像できる仕事」と営業職に魅力を感じ、フジパンへ入社した大谷さん。一方、小さい頃から料理が好きで、大学では管理栄養学を専攻した神田さん。2人は今、それぞれ営業と商品開発という立場で、中部エリアの食卓においしいパンを届けています。

パンを通してお客さまが満足する姿を想像できる。それが自分のやりがいにつながると思いました

食品業界の中でも、パンは可能性のある分野だと感じて志望しました
仕事内容は?


スーパーへの商品提案と、店舗巡回が中心です

生地の配合から商品名まで、新商品を1から考えていきます

大谷さん:スーパーへの商品提案が主な業務。普段から各店舗を巡回して担当者と商談を重ね、月に1回、スーパーの本部を訪問して新商品や売り方を提案しています。
パンは毎日納品される商品なので、入れ替わりが激しいのが特長。約1ヶ月単位でラインナップが変わっていくため、どの商品をどんな条件で販売するか、タイムリーに提案していくことが大切です。担当するスーパーの店舗を巡回する際は、売り場担当者に前週の売れ行きを確認したり、週末に向けて数量を調整したり。実際に売れた数字を聞き取ることで、次の提案につなげています。

神田さん:営業担当からの要望をもとに商品の企画を考え、自分のラボで試作を繰り返していくのが基本の流れです。生地の配合からトッピング、商品名まで、1から考えていきます。
パン作りは時間がかかり、最初の発酵で2時間半、成形後にさらに1時間発酵させてから焼くという工程。1日中パンを作っていることも珍しくありません。
試作品ができたら、実際の製造ラインでも作れるかテストを実施。工場というと機械化のイメージがあるかもしれませんが、成形やトッピングは手作業が中心です。工場の責任者と一緒にラインに立ち会い、安定した品質で作れるか細かく確認していきます。
大谷さん:月に3回、社内での商品会議があるんです。そこで神田さんが作った試作品をみんなで試食して、「もう少し甘く」「生地をしっとりさせて」といった意見を出し合います。
営業として味はもちろん、大きさや日持ちを確認し、「お客さまに喜んでもらえるか」「スーパーが売りやすいか」という視点で意見を伝えています。
神田さん:こうして営業と商品開発が意見を出し合い、何度も改良を重ねて商品を作り上げていく。部署間の連携が欠かせません。
主な業務の流れ
≪営業:大谷さんの1日≫
🕘09:00 出勤、提案資料の作成や数字の確認
🕙10:00 外出、担当店舗を巡回しながら商談
🕒15:00 帰社、訪問内容のまとめや次の提案準備
🕓16:00 数字管理、商品会議や営業会議に参加
≪商品開発:神田さんの1日≫
🕣08:30 出勤、試作の準備と生地の仕込み開始
🕙10:00 発酵の待ち時間に製造ラインの責任者と朝礼
🕚11:00 成形、2回目の発酵、焼き上げ
🕑14:00 製造ラインでのテストに立ち会い、品質を確認
🕓16:00 商品会議用の企画書作成、協力会社との打ち合わせ
大変なところ・楽しいところは?


目標予算を達成するのは大変ですが、自分の提案が実り、売り場の棚を勝ち取れた時はやりがいを感じます

試作を商品化につなげるのは難しいですが、考えた商品が形になる瞬間は楽しいですね
大谷さん:各商品には目標予算があるので、それを達成させるための取り組みが大変ですね。どの商品をどう提案すれば売り上げにつながるか、日々考えながら動いています。
なかでも大きいのが棚割り(小売店が売り場の陳列棚にどの商品を並べるかを決めること)の提案。自社の商品が採用されれば売り上げに直結します。以前、他社が担当していた棚を自分の提案で勝ち取れた時は、大きなやりがいを感じましたね。

神田さん:ラボで作った試作品を、製造ラインでも同じ品質で作れるように調整するのが難しいところです。たとえば、最近手がけた「沼るメロンパン」では、生地のしっとり感を出すのに苦労しました。ラボではうまくいっても、季節や設備によって食感が変わってしまうことがあるんです。
作業者によって仕上がりに差が出ることもあるので、一緒にラインに立って練習するケースもありますね。また、月に約8品の新商品を手がけるので、アイデア出しも大変。行き詰まった時は営業に相談することもありますが、試行錯誤の末に商品が形になった時は楽しいですね。
この仕事につくための努力


入社後に1年間の研修で、パン作りの工程を1から学びました

大学で管理栄養学を専攻し、パン作りの基礎を身につけました
大谷さん:就職活動中は営業職を志望し、食品メーカーを中心に見ていました。子どもの頃から実家で「本仕込」を食べていたこともあり、フジパンへ就職。入社後1年間の研修で、ベーカリーショップと工場でパン作りを経験したことで、提案力が格段に上がりました。
神田さん:大学で管理栄養学を専攻し、パン作りも一通り経験していました。小さい頃から料理が好きで、エントリーシートではワッフル系の商品を提案。最終面接まで話題になったのを覚えています。地元企業で働きたいという思いもあり、フジパンを志望しました。
今後の目標は?


マネジメントに挑戦し、チームで売り上げを伸ばしていきたいです

私が所属する西春工場発の商品を全国展開させて、社内の「開発賞」を取りたいです
大谷さん:これからはマネジメント側にも挑戦したいと思っています。個人の営業成績だけでなく、チームとして売り上げを伸ばしていきたい。身近に、真面目にコツコツと目的を持って行動し続ける先輩がいるので、その姿勢を学んでいます。
神田さん:所属する西春工場発の商品を全国商品にして、社内の「開発賞」を取りたいですね。そのために知識を増やし、営業とのコミュニケーションをさらに意識していきます。憧れは、ヒット商品の「生めろんぱん」を開発した別工場の先輩。販売担当と打ち合わせを重ね、商品を1から作り上げる姿勢がすごいなと思っています。
この仕事をしてみたい人へ


地元で働く魅力は、家族や友人が商品を知っていて、応援してくれること

自分が考えた商品を、身近な人が買って食べてくれる喜びがあります
大谷さん:地元で働いていて良かったと思うのは、家族や友人が商品を知っていて、応援してくれること。「本仕込」は中部エリアでとくに親しまれているので、実家に帰るたびに「やっぱり『本仕込』が1番おいしい」と言ってもらえるのがうれしいですね。
神田さん:自分が考えた商品を友達や家族が買って食べてくれる。それが何よりのやりがいです。友達から「これ作った商品でしょ」と連絡が来ることもあって、SNSで口コミを見つけた時もモチベーションになります。地域密着だからこそ、消費者との距離が近いのが魅力ですね。
文・聞き手:きずなネットよみものWeb編集部





