きずなネットでは、進路や職業選びの参考にしてもらえるよう、さまざまな仕事に携わる人の声を紹介しています。
今回は、読者からリクエストのあった土木関係の仕事です。中でも、総合建設会社で橋を支える柱をつくる工事の施工管理に携わる方に話を聞きました。

西本 つかさ さん
この仕事を選んだ理由は?
大きな規模のモノづくりに携わりたいと思ったのが、この仕事を選んだきっかけです。
小中学生の頃から、図工や技術の時間が好きで、技術の授業の中で、たとえば椅子など、自分の手で何かを作ることがとても楽しかったです。高校生になり、卒業後の進路を選択する際、建築か土木か、どちらの道に進むか迷いましたが、より大きなモノづくりに関われる土木を選びました。
大学ではコンクリートを研究しました。その知識を活かし、就職活動では道路や駅の建設など、大きなプロジェクトに携われる今の会社を選びました。
仕事内容は?
現在は、岐阜県恵那市にある「新丸山ダム(※)」の関連工事である橋脚工事の、施工管理を行っています。
※新丸山ダムでは、丸山ダムで行われている洪水調節と発電に加え、下流の河川環境保全も目的に工事を進めています
私が担当する施工管理の業務は、安全管理、工程管理、品質管理の3つです。
ある日の流れ
8時 始業/朝礼
作業員のみなさんに、その日の仕事内容を伝えます。今のプロジェクトでは、1日10人ほどが工事に関わっていますが、プロジェクトによっては1日100人以上が参加することもあります。
9時 現場巡視
現場をまわり、進捗や不安全行動がないか確認します。測量を行い、工事の位置を確認し、作業員のみなさんに指示を出します。
10時30分 資料作成
事務所に戻り、測量の結果や撮影した現場の写真をまとめて報告資料を作成します。
12時 昼休憩
13時 昼礼/現場巡視
作業員のみなさんに午後の仕事内容を伝えた後、現場をまわり進捗を確認します。
14時 出来形確認
出来形(施工が完了した部分)の寸法を測り、品質を確認します。
16時 協力会社とのスケジュール確認
プロジェクトに関わる協力会社と打ち合わせをし、工事スケジュールの確認を行います。今のプロジェクトでは、全工程で20~30社の協力会社と協力して橋脚をつくっています。
17時 事務所に移動
現場での作業を終え、事務所で1日の作業状況をまとめます。
18時 終業
工事の内容によっては、地域のみなさんの理解を得るため、1軒1軒訪問して、挨拶や工事内容の説明を行うこともあります。
荒天で工事が休みの日は、午前と午後に現場をまわって点検をし、それ以外の時間は事務所で資料作成などの事務作業をしています。
この仕事の楽しいところは?
自分の手で何かを作るというのは達成感があり、大きなやりがいも感じています。そして、作ったものを地域の人が使い、生活の役に立っているのを見ると、とてもうれしくなります。実際に、工事をしているときに地域の方が通りかかって、声をかけてくれることも少なくありません。
以前に関わっていたプロジェクトに、新御殿場インターチェンジのランプ(高速道路と一般道路を接続するための出入り口)の工事があります。家族と車で出掛けた際、ちょうど自分が手掛けた道路を通ることがあり、「この道路、私が作ったんだよ!」と言ったら、両親が驚きながら、喜んでくれていました。地図に残るような大きな仕事に携われることも誇りに思います。
この仕事の大変なところは?
屋外での仕事が多いため、暑さ・寒さは大変なこともあります。
また、発注者の方や協力会社の方など、プロジェクトに関わる人の数が非常に多く、円滑なコミュニケーションと柔軟な調整力を求められます。工事の品質維持のために、「正しい情報を、正確に相手に伝える」というのは、いつも意識しています。
仕事につくために努力したこと
希望の学部・学科に進学するため、大学受験の勉強は頑張りました。また、学生時代に学んだコンクリートの専門知識は、今の仕事にも活きていると感じます。
その上で、努力したことと言うと、入社してからの方がしているかもしれません。分からないことがあれば周りに質問し、状況によってはメモを取って後から自分で調べるなど、常に勉強を続けています。
現場で求められる知識や専門的なスキルを身に付けて、さらに、関わる人と良好な関係をつくりながら、自分がリーダーとして現場を動かしていけるように心がけています。
今後の目標は?
今は工事所長のもと、先輩と後輩、私の3人のチームで施工管理を担っています。いつかは、自分がトップに立って、大きなプロジェクトをやり遂げたいです。
この仕事につきたい人へ
私自身、この仕事に就くまで、土木の施工管理と言うと、「泥臭い現場仕事」のイメージを持っていました。でも、ここ数年で機械化・デジタル化が進み、泥まみれになるようなことはなく、働きやすい環境で仕事をしています。
まだまだ現場は9割以上が男性ですが、「女性だから」と言って、周りから過度に気を使われることはなく、フラットに働くことが出来ています。
大きな仕事に関わる面白さと、誰かのためになっていることを実感できる、心から誇れる仕事です。興味のある人は、ぜひ目指してください。
文・聞き手:きずなネットよみものWeb編集部
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