きずなネットでは、進路や職業選びの参考にしてもらえるよう、さまざまな仕事に携わる人の声を紹介しています。
今回は、読者アンケートでリクエストのあった林業従事者です。岐阜県内の森林組合で伐採などの森林整備に携わる方に話を聞きました。
この仕事を選んだ理由は?
気が付いたらこの道を選んでいました。自宅から近く、通いやすい学校が森林科学科のある高校だったこと。さらに、高校卒業後すぐに就職するイメージが出来なかったため、林業の専門学校(※1)に進学したことが主な理由です。
専門学校の2年間は、奨学金を借りていましたが、林業に携わると返済が免除になります(※2)。このような制度を利用していたこともあり、就職先も自然な流れで、今の森林整備の仕事を選びました。
仕事内容は?
森林整備に携わっていますが、その中でも山林の木を切って運び出す仕事をしています。
ある日の流れ
※伐採を行う場合
7時 出勤
着替えなど、出発の準備をします。
7時20分 現場へ移動
1班あたり3~4人のグループ、車で乗り合わせて向かいます。
8時 現場へ到着
伐採準備やチェーンソーのメンテナンス(刃を研ぐ、オイル準備など)をします。
8時30分 現場に到着
班長から、その日の割り当てや業務の流れの説明を受けた後、自分の担当の場所へ移動し、伐採作業を開始します。
12時 お昼休憩
チェーンソーの音を聞くなど、周りの作業の状況を見ながら休憩に入ります。休憩は、その日の気候などを考慮して、車の中や木陰など、気持ちいい場所を選んで、持ってきたお弁当を食べています。
13時 伐採業務再開
16時 伐採業務終了
17時に事務所に戻るため、そこから逆算して終了時間を決めています。チェーンソーのメンテナンスや片付けをした後、車に乗り合わせて事務所へ。
17時 着替えなど、帰宅準備
17時15分 退勤
上記のように伐採だけを行う日もあれば、造材(切り倒した木の枝をはらい、用途に適した長さにすること)や、集材(切り倒した木をワイヤーで引っ張り出すこと)、運搬(造材した木をトラックに積み込み1カ所に集める)をする日もあります。
この仕事につくためにした努力
林業は人手不足なので、ハードルはそれほど高くないと思います。私は高校時代から林業を専門に学んできましたが、全くの初心者でもこの仕事につくことは出来ますし、正直「努力してこの仕事についた」という感覚はありません。
「努力した」という感覚であれば、働き始めてからの方が大きいです。現場で先輩からたくさんのことを教えてもらいながら経験を積み、自分自身のスキルも上がってきている実感があります。
この仕事の楽しいところは?
自然に触れ合いながら働けることや、大きな重機を操れる面白さはこの仕事ならではだと思います。1つ1つの現場で得られる達成感や、仕事を依頼してくれた地主さんから「いい森になったね」と喜んでもらえることもやりがいです。
担当する現場はその時々で変わりますが、以前、ある山の皆伐(一定面積の立木の全部、または大部分を1度に伐採すること)を行ったことがあります。別の現場で仕事をした際に、遠くに見えるその山の景色がガラリと変わっていて、改めて自分の仕事が「森を整備しているんだ」と実感できて嬉しかったです。
この仕事の大変なところは?
毎回異なる自然環境の中で、大きな機械も扱うため、安全第一を常に心がけています。
今後の目標は?
木の状態や太さ、斜面の状況、チェーンソーの状態など、常に異なる環境下で作業をするため、スキルや経験によって仕上がりに差が出ます。木の切り方や重機の操作、効率のいい進め方など、先輩方を見習いながら、さらにスキルアップをしていきたいです。
この仕事につきたい人へ
最近は「林業女子」という言葉もあるように、女性の林業従事者も増えています。私の携わる「木を切って運び出す」仕事の場合、現場への移動は基本的に車ですし、重機を使って木を運んでいます。そのため、体力自慢の人でないとできないということもありません。
林業の仕事は幅広く、働き方もさまざまです。知識や経験のない初心者でも、仕事についてから機械の使い方は学べますし、自然と触れ合いたい人や外で働くことが好きな人にはおすすめの仕事です。
文・聞き手:きずなネットよみものWeb編集部
※1:岐阜県立森林文化アカデミー
※2:岐阜県緑の青年就業準備給付金
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