きずなネットでは、進路や職業選びの参考にしてもらえるよう、さまざまな仕事に携わる人の声を紹介しています。
今回は読者アンケートでリクエストのあった、弁護士です。弁護士になるには、法科大学院(ロースクール)を修了、または予備試験に合格してから司法試験をパスする必要があります。さまざまな働き方のある弁護士ですが、ここでは法律事務所に就職後、独立をした方に話を聞きました。

35歳/9年目
安藤・中尾・中村法律事務所
弁護士
仕事内容は?
名古屋市内で共同事務所を経営し、中小企業や個人のお客様を中心に法務相談に乗っています。
得意分野は会社法務全般や相続、交通事故、債務整理といった一般民事事件全般。最近ではインターネット関連の相談も増えており、依頼者様のニーズに合わせて幅広く対応しています。
ある日のスケジュール
8時30分
出社、FAX・メールチェック
9時
電話での法務相談、裁判所へ提出書類の作成など
12時
お昼休み
13時
来社した依頼者との打ち合わせ
16時
書類作成
18時
退社
顧問企業への訪問や接見(身柄拘束を受けた被疑者・被告人への面会)のために外出する日もあります。最近では民事裁判に「ウェブ会議」が導入されるようになり、裁判所に出向く機会は以前よりも減りました。
子どものころの夢は?
中学生の時に、「総合的な学習の時間」で刑事裁判を傍聴し、「検事ってカッコイイ」と感じたのが、法律家を目指した原点です。当時、木村拓哉さんが検事を演じた人気ドラマ「HERO」が放送されていたこともあり、最初は検事に憧れていました。
この仕事についたきっかけ
法曹の仕事は弁護士・検事・裁判官の3つがあります。司法試験合格後は、法曹資格を得るために司法修習生となり、それぞれの仕事について研修を受けます。その中で、弁護士の仕事が最も自由度高くクリエイティブに働けると思い、弁護士になることを決めました。特に、修習生時代に出会ったベテラン弁護士の、依頼者一人ひとりに寄り添う姿勢に感銘を受けたことも大きいです。
仕事に就くために努力したこと
やはり、資格を取得するための勉強ですね。高校時代はバトミントンに打ち込んでいましたが、3年生の1年間は受験勉強を頑張りました。大学は法学部に進み、体育会のバトミントン部に所属してアルバイトもしていたのですが、2年生で退部し勉強に集中することに。当初はロースクールを卒業しなくても受験できる旧司法試験での合格を目指していましたが、結果的にはロースクールを卒業した年の司法試験で合格しました。
仕事の楽しいところ・やりがい
お客様の納得いく答えを出せるよう一緒に取り組んでいくプロセスを楽しんでいます。私たちの報酬の受け取り方は、最初に着手金をいただいて、結果に応じた金額を請求する形が多いのですが、結果が出たタイミングで「お金を払いたくない」というのは、最も避けたい状況。やはり、最終的にお客様に喜んでもらい満足していただけることを目指しています。
現在のお客様のほとんどが紹介で来られる方なのですが、私の仕事ぶりに満足していただけたからこその紹介だと思うと、とても嬉しいですね。
仕事で大切にしていることは?
弁護士は、サービス業であるということです。例えば、相続の問題であれば「土地を売って、そのお金を分配して…」という型通りの対応もありますが、「先祖から受け取った土地だから売りたくない」など、それぞれの大切にしている想いがあります。相手の気持ちに寄り添い、ニーズをくみ取ること。話しやすいように質問を投げかけることや雰囲気づくりも含めて、お客様に満足していただける対応を心掛けています。
仕事の大変なところ
お客様のニーズをくみ取って、法律によってどのように実現するか。それをプロセスとして描くことが大変なところです。例えば、「代金が未払いなので請求したい」と相談を受けた時に、そもそもこの仕事がどこまで完了しているのか。「離婚したい」という相談を受けた時に、そこに至る原因は何なのか、など。必要な情報をヒアリングによって引き出すことができなければ、結果を出すことができません。難しい部分でもありますが、このプロセスが上手くいってお客様に喜んでいただけた時は大きなやりがいになります。
今後の目標は?
この業界にもAIが浸透してきていますが、相手から情報を引き出すスキルはまだ人間の方が上だと思っていますし、私自身もそこが大切だと考えています。AIに負けない、私だからこそできる仕事を目指していきたいです。
この仕事を目指す人へ
今は情報が溢れ、ネットやSNS、動画など目に見えやすいもの、分かりやすいものから情報を得る方が増えているかと思います。「弁護士は敷居が高い」と言う方もいますが、そんなことはないので、ぜひ実際に働く人から話を聞いてみてほしいです。
文・聞き手:きずなネットよみものWeb編集部
この記事の感想や「こんな人の話を聞きたい!」「こんな仕事に興味がある!」自薦・他薦問わず「この人にインタビューしてほしい!」など。みなさんの声をお待ちしています。
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