【お仕事インタビュー】新幹線運転士

【お仕事インタビュー】新幹線運転士

きずなネットでは、進路や職業選びの参考にしてもらえるよう、さまざまな仕事に携わる人の声を紹介しています。

今回は、東京から新大阪までを結ぶ東海道新幹線の運転士です。中でも、後輩の育成にも携わる指導運転士の方に話を聞きました。

大橋佑介(おおはし・ゆうすけ)さん
大橋 佑介さん

34歳/16年目

東海旅客鉄道(JR東海)

所属:名古屋運輸所

この仕事を選んだ理由は?

高校2年生の時、進学するか、就職するかで迷っていました。そんな時、進路指導室でいろいろな企業のパンフレットを見ていて、たまたまJR東海の入社案内が目にとまったんです。

通学でJRを利用していたので、何となく「運転士の仕事」に親近感を持ち、入社試験を受けることに。そして、「早くお客さまと関わる仕事をしたい」と高校卒業後、JR東海に入社しました。

仕事内容は?

東京-新大阪間を走る東海道新幹線の運転士です。指導運転士として、見習い運転士と一緒に乗務し、技術指導をすることもあります。

東京-新大阪間を走る東海道新幹線の運転士です。指導運転士として、見習い運転士と一緒に乗務し、技術指導をすることもあります。

私は名古屋運輸所に所属しているので、名古屋駅を起点に、1勤務あたり2~6本の新幹線に乗務。運転区間は日によってばらばらで、東京-新大阪間を「のぞみ」「ひかり」「こだま」に乗って、行ったり来たりしています。

ある日の流れ

9時 出勤、出勤点呼
名古屋駅近くにある名古屋運輸所に出勤。制服に着替え、出勤点呼(アルコール検査や健康状態のチェックなど)

9時15分 乗務準備
その日に乗務する行程について確認し、準備を整える

10時 打ち合わせ・乗務点呼
一緒に乗務する車掌と合流。業務内容に関する打ち合わせの後、乗務点呼

10時15分 乗務開始
名古屋駅の新幹線ホームに移動し、こだま(東京行き)に乗務

13時頃 東京駅着
休憩後、のぞみ(新大阪行き)に乗務

17時頃 新大阪着
休憩後、ひかり(東京行き)に乗務

20時頃 東京駅着
車掌と別れ、車両所まで回送運転

23時 就寝
車両所で就寝

5時半 起床
身だしなみを整えた後、車両点検。車両所から東京駅まで回送運転

7時頃 東京駅着
休憩後、こだま(名古屋行き)に乗務

10時頃 名古屋駅着
次に乗務する運転士と交代

10時半 業務報告、退勤
名古屋運輸所に移動し、業務報告。制服から着替え、退勤

勤務時間は日々異なり、日勤もあれば、宿泊を伴って24時間くらい勤務する日もあります。

乗務中は、定時に到着できるように速度を調整したり、保安機器を確認したり、終始気が抜けません。勤務中は運転士1人と車掌2人の3人1組で行動しますが、運転席に入るのは私1人だけ。車両故障や天候の変化など、トラブルが発生した際は、東海道新幹線の運行を管理している新幹線総合指令所と連絡をとりつつ基本的には1人で対応します。

この仕事の楽しいところは?

ホームに立っていると、小さいお子さんから「運転士さん!」と声を掛けられるなど、憧れを持って接していただくことが多いです。また、お客さまから直接「ありがとう」と感謝の言葉を伝えてもらう機会もあり、やりがいにつながっています。

技術面で言うと、自分の運転スキルが上がっていることを実感する時です。例えば駅に停車する際、滑らかにブレーキをかけられたり、適切な位置に停まれたりすると、「出来た!」とうれしくなります。

この仕事の大変なところは?

シミュレーターで訓練をする大橋さんシミュレーターで訓練をする大橋さん

満席時には1000人を超えるお客さまを乗せているので、命をお預かりする、非常に責任の重い仕事です。そのため、常に知識や技術をブラッシュアップし続けなくてはなりません。万が一の時は、その場で判断し、処置する対応力も求められます。

プレッシャーを感じることもありますが、研修や訓練の機会が豊富にあり、学ぶ環境は整っています。そこで学んだことを、日々の乗務ですぐに活かすことが出来るので、やりがいもありますね。

仕事につくために努力したこと

入社後はまず駅の係員として4年ほど勤務しました。その後、現在の名古屋運輸所に異動し、新幹線の車掌を経て、運転士になったのは2017年です。

新幹線の運転士免許は国家資格で、取得までに10か月ほどかかりました。

まずは研修センターで車両構造や運転に必要なルールなどを学び、学科試験に合格する必要があります。合格したら、今私が行っているように、指導運転士の先輩と一緒に乗務し、運転技術を身に付けます。その後、技能試験に合格し、晴れて運転士に。今振り返っても、人生で1番頑張ったと言える期間でした。

今後の目標は?

新幹線が安全に目的地に到着するためには、たくさんの人たちが関わっています。

新幹線が安全に目的地に到着するためには、たくさんの人たちが関わっています。新幹線の運行状況を監視し、必要な指示を出す指令所や、運行計画を策定する部署など、運転士としての経験をいかし、さまざまな仕事に関わってみたいです。

この仕事につきたい人へ

新幹線は運転士だけで動かしているのではありません。車内でお客さま対応を行う車掌やパーサー、整備スタッフ、内勤で安全運行を支える社員と、さまざまな人が関わっています。

そういった周りの人たちに感謝の気持ちを持つことは、運転士として大切なことです。学生のみなさんも、今のうちから周りの人たちに感謝の気持ちを持って過ごしてください。その気持ちを持っていれば、きっといい運転士になれると思いますよ。

新幹線の運転士には私のように高卒社員のほか、高専卒、短大卒、専門卒、大卒と、さまざまな経歴の人がいます。「この学校・学部を出ていなければならない」ということはないので、ぜひいろいろな人に挑戦してもらいたいです。

文・聞き手:きずなネットよみものWeb編集部

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