きずなネットでは、進路や職業選びの参考にしてもらえるよう、さまざまな仕事に携わる人の声を紹介しています。
今回は、トリミングサロン・ペットホテルなどのサービスを展開する「ONE LUKE(ワンルーク)」で、トリマー・ペットホテルスタッフとして働く方へインタビュー。動物への深い愛情を持ち、ペットと飼い主の“きずな”をつなぐ仕事の魅力について語ってもらいました。

大田 宇能さん
仕事内容は?

トリマーとして、ペットのシャンプーやカット、爪切りなどのトリミング業務を行っています。1匹あたり2時間から2時間半かけて、その子に合わせたスタイルに仕上げていきます。
また、ペットホテルの運営も担当しています。ペットのご飯や散歩、部屋の掃除はもちろん、朝と夜には飼い主さんに健康状態を伝え、写真を撮影して共有します。
ペットホテルは旅行や入院などで長期にわたり留守にする場合や、近くに出かける数時間だけ……など、さまざまなニーズで利用されます。ペットたちが安心して過ごせる環境をつくることが、私たちの仕事。「預かる」のではなく、「大切な家族の一員を託される」という気持ちで日々お世話をしています。
ある日の主な業務内容
8時 出勤
店舗に到着後、パソコンで予約サイトをチェック。当日の予約状況を確認
8時10分 ホテル業務
ホテルの部屋掃除と朝ご飯の準備、散歩など。健康状態をチェックし、飼い主さんへ連絡
9時 トリミング
1日に約3匹のトリミングを担当。大型犬の場合は2人体制で行うことも
13時 昼休憩
16時 お客さまへの連絡
当日トリミングしたペットの写真を、メッセージとともに飼い主さんへ送信。
新しく⼊った予約のチェックや、備品の洗濯を済ませる
17時 引き継ぎ・退勤
遅番スタッフへの引き継ぎを行い、最後にホテル内の様子を確認してから退勤
※上記は早番の場合。中番・遅番の場合は、ホテル業務や予約スケジュールの確認、翌日の来店リストの準備などを主に行います
トリミングの合間には、ホテルに泊まっているペットの散歩に行ったり、飼い主さんへ送る写真を撮ったり。天気の良い日は、ホテルの部屋から出して日光浴をさせるなど、さまざまな過ごし方ができるよう心がけています。
この仕事の楽しいところは?

性格も表情も異なるさまざまなペットに出会えることが楽しく、毎日が癒やしの連続です。初めて来店した時はガタガタと震えていた子が、少しずつ心を開いてくれる瞬間はうれしいですね。尻尾を振って駆け寄ってきてくれるようになると、ここが「安心できる場所」として認識してもらえているのだと感じられます。
常連のお客さまのペットの成長を一緒に見守れるのも、この仕事の醍醐味です。ペットの誕生日が近づくとトリミングに来てくださる方や、日々の思い出を共有してくださる方もいて、まるで家族の一員になったような気持ちになるんです。
他にも、長年通っていたペットが亡くなった時に、飼い主さんが店舗まで来てくださり、「今までありがとう」と感謝の言葉をいただいたことが強く印象に残っていますね。
この仕事の大変なところは?
トリミングでは「可愛くすること」を求められ、ホテルでは「命」を預かる。その使命と責任の重さを日々感じています。動物は本当に繊細で、それぞれ異なる性格に合わせた対応が求められるため、毎日どう向き合っていくかが課題です。
特に難しいのは、過去にトリミングで嫌な思いをして、極度に怖がるようになってしまった子への対応です。爪切りを嫌がったり、シャンプーで震えが止まらなかったり……。
そういった子には、まず「ここは安全な場所だ」と理解してもらうことから始める必要があります。時間はかかりますが、これがトリマーの大切な役割の1つだと思っています。
この仕事を選んだ理由は?

まずは、純粋に「動物が好き」という気持ちが大きいですね。祖母が動物の保護活動をしていたこともあり、幼い頃から家には14匹もの犬がいたので動物は身近な存在でした。今も、自分自身ペットを飼っています。
この仕事につくことにしたきっかけは、自分自身が客としてペットホテルを利用しようとした時でした。調べていくうちに、「こういうサービスがあれば安心できるのに」という思いが湧いてきたんです。飼い主として、家族として、「利用したい」と思えるサービスを自分の中で思い描いた時に、トリマーやペットホテルの仕事に魅力を感じました。
大好きな動物と心を通わせながら、その家族にも寄り添う。ペットと飼い主さんの“きずな”をつなぐ仕事がしたいと思い、この道へ進むことを決めました。
仕事につくために努力したこと

技術面では、独学での勉強に加えて、積極的にセミナーや講習会に参加。動物取扱責任者の資格も取得しました。また他のトリマーの方と交流したり、SNSで情報収集したりと、常に新しい情報が入ってくる環境に身を置くようにしています。
また、自分自身が1人の飼い主としてさまざまなサービスを体験してきたことを活かして、お客さまの気持ちを想像しながら「こうされたら嬉しい」「これは不安になる」という感覚を大切にしています。
今後の目標は?

何よりも、従業員が心に余裕を持って働ける環境づくりが大切だと思っています。たとえば、子犬のファーストトリミングは特に時間をかけて丁寧に行うことで、トリミングを怖がる子も減る。すると飼い主さんは安心し、従業員も楽しく働ける。そんな良い循環をつくっていきたいです。
トリマーやペットホテルのスタッフが今よりもっと輝ける職場環境をつくり、「ONE LUKE」が業界全体を盛り上げるきっかけとなる存在になれたらと思っています。
個人的な目標としては、いつか自分の経験を次の世代に引き継げるようになりたいですね。人を育てることで、この素晴らしい仕事の魅力を伝えていけたらと思っています。
この仕事をしてみたい人へ
トリマーやペットホテルの仕事は、単にペットをきれいしたり預かったりするだけではありません。大切な家族の一員であるペットと、飼い主さんの“きずな”をつなぐ仕事です。時には、ペットの一生に寄り添い、成長を見守り、その家族の思い出の一部になることもあります。
ペットは私たちに無償の愛を与えてくれる存在。話せなくても、行動や表情で気持ちを教えてくれます。私たちが一生懸命に努力したことは、すべて信頼として返ってくる。自分自身の人生を豊かにしてくれる、この仕事をぜひ目指してみてください。
文・聞き手:きずなネットよみものWeb編集部
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