子育て最前線での対話とまなびをふりかえり、解決アイデアを考える

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テーマ:子育て

  • ワークショップ
  • アイデアソン
  • グラフィックレコーディング

およそ3ヶ月をかけて取り組みを進めてきたCOE LOGのファーストテーマ「子育て」。より子育てしやすい中部地方を目指し、まずは子育ての実情をしっかり把握しようと子育てにかかわるさまざまな方と会い、対話をしてきました。3ヶ月の活動をふりかえると共に、活動を通じて得た学びをどのように次へつなげていくかについて、プロジェクトメンバーが一堂に会し、アイデアを出し合いました。

世界の事例、市民の声、専門家の話から現状を「知る」

第1部では、まずこれまでの活動のふりかえりから。
各イベントやワークショップ、対談企画などに参加したメンバーが、当時感じた感想を述べていきます。

「子育て」プロジェクト第1弾として取り組んだのが、東京・巣鴨で実施された「教育のミライ-オランダの教室からby PLAYFUL」というイベントへの参加。

子どもが自分自身で時間割をつくる「イエナプラン」など、独創的なスタイルが普及しているオランダの教育事情や、子ども同士の話し合いを重視し、自主性、対話力を身につけていくデンマークの教育方針が取り上げられました。

𠮷川のコメント:
画一的で自由度が低い学校教育の中では、子どもの可能性を矮小化させてしまうかもしれないと感じました。子育てにはいろいろな選択肢があるということを改めて考えるきっかけになりました

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東京・巣鴨のイベントに参加し、「イエナプラン」で知られるオランダと「対話の国」デンマークの教育事情をまなんだ様子をレポート

世界の先進的な教育について学んだメンバーが、次に取りかかったのは、身近な子育て世代の等身大の悩みを知ること。
小学校低学年の子どもを持つお母さんやお父さんに集まっていただき、それぞれの悩みを共有するワークショップを名古屋市の「でんきの科学館」で開催しました。

清田のコメント:
子育てにいままさに直面している親世代と生で対話し、その課題意識、熱量の高さに驚いた。次のイベントで何をするかを考えるときは、さらに踏み込んで子ども自身のアイデアも聴いてみたい

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名古屋などに住む小学校低学年のお母さん・お父さんたちが、子育ての悩みを共有し、みんなで解決策を探ったワークショップの様子をレポート

ワークショップの中で最も悩みが顕著だった子どもの放課後問題について、より広い視野で知識を得るべく企画したのが、日本総合研究所主任研究員の池本美香さんとstudio-L代表の山崎亮さん、お二人の専門家による対談でした。
対談の中では、大人主導で考えられる日本の放課後児童クラブへの懸念、まち全体で子どもを見守る地域コミュニティのあり方など、それぞれの専門領域から鋭い見解を語っていただきました。

奥村のコメント:
『民主主義の練習』という言葉はとてもインパクトがありました。自分たちの生活は自分たちで良くしていこう、という意識を高めていくことは、一見遠回りかもしれないが、さまざまな課題解決につながると感じました

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子どもの放課後問題について、日本総合研究所主任研究員の池本美香さんとstudio-L代表の山崎亮さんにお聞きしました。

子育てしやすいまち、長久手市の声を「聴く」

多角的な視点を得たところで、より暮らしに根づいた声を直接聴きたいと考えたメンバーが次に着目したのは、愛知県長久手市。子育て世代の転入者の急増により「子育てしやすいまち」として全国的にも注目度が高まっているまちです。まずは長久手市在住のお母さん、お父さんに集まっていただき、座談会を開催。

座談会では、同世代が多いため悩みが打ち明けやすい、子ども向けイベントが多いなど、豊かな子育てライフを過ごせる長久手市ならではの利点が挙げられた反面、同世代だからこそ頼みにくいというジレンマや、人口密度の地域差が著しいことなど、全体の数値からだけではわからない実情も浮き彫りに。

荒木のコメント:
長久手市が掲げる多世代交流の施策や、市民参加型のまちにしたいという行政の思いが、しっかりと市民に伝わり、浸透していると感じました。今後は、行政の思いと市民の声を可視化するシステムの提供など、行政と市民が手軽に意思疎通するお手伝いができないか

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日本で一番若いまち・長久手に住むお母さんやお父さんとコミュニティデザイナーの山崎亮さんが地域で支える子育てをテーマに座談会を開きました。

未来の教育やあるべき子育てについて学ぶ一方で、親世代が日々直面している切実な悩みも数多く聴きました。そこでメンバーは、これらの諸問題に取り組んでいる事例を広く探りました。

長久手での座談会でふれた市民の声について、行政側はどう捉えているのか。その疑問をぶつけるべく足を運んだのは、長久手市の𠮷田一平市長のもとでした。

栗林のコメント:
市長が描く住民主導のまちづくりを、今後はいかに産学官民が連携して確立するかが重要だと感じました。その形が一つのまちづくりのブランドとなり、他の自治体の参考モデルになれるよう、中部電力も地域企業としてかかわっていきたい

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子育て世代に人気の長久手市。𠮷田市長にまちづくりの秘訣をお聴きし、長久手に住むお母さんやお父さんの気になる声も直接ぶつけてみました。

民間の事例から課題解決のタネを探る

専門家の対談でも取り上げた「放課後問題」。子どもにとって有意義な放課後の過ごし方のヒントを得るべく、山梨学院小学校のトワイライトスクールを見学。習い事や部活動、学童保育の役割を兼ね備えた斬新な運営方針に、一同感銘を受けました。

荒木のコメント:
子どもたちがとにかく楽しそう! 教える側からの一方的な授業ではなく、教師と子どもの双方向の授業、パーソナライズ化された授業など、理想的な教育のあり方を着実に実現していると感じました

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習い事と学童保育の機能をあわせもつ、山梨学院小学校の先進的なトワイライトスクールを見学する様子をレポート

放課後問題と関連して、「外でのびのび遊ばせる場所がない」という悩みにも着目。名古屋市にある「てんぱくプレーパーク」を訪れ、自然の中で思いっきり遊ぶ子どもたちの姿を目の当たりにして、子どもにとってどれだけ「遊び」が重要であるか、また、大人もホッとできる「みんなの居場所」として機能するコミュニティのあり方を学びました。

奥村のコメント:
一見危険度が高そうな遊びでも、お母さんや周りの大人は子どものやることに一切口出しをせず、見守っている姿が印象的でした。また、ママ同士で育児の相談をしたり、会話を楽しんだり、子育てするお母さんにとってもストレス軽減の場になっているようでした

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子どもがやってみたいことに挑戦できる「禁止事項のない遊び場」・プレーパークを訪れ、主催者たちにインタビューしました。

活動の経験、気づきを語り合い、共有する

第2部では、さきほどふりかえった一連の取り組みについて、各人の考えを共有します。まずは隣席、向かいの席など同じテーブルにいるメンバーと一対一で話をする「マグネットテーブル」という対話スタイルで、記憶を整理していきます。

制限時間内で話し手を交代し想いを語り合う

「海外の事例をすぐに全面的に採用することは難しいかもしれないが、均質さが特徴になっている日本の教育にも取り入れられるエッセンスがあると感じた」

「子育てに限らず、『地域社会を自分ごと化』し、あらゆる地域課題をみんなで考え、自分たちで変えていくという自治のあり方に衝撃を受けた」

「長久手市のようにイノベーティブな施策を進める自治体と協力し、新しい地域社会の姿のモデルケースをつくることが大切」

対面で会話しながら咀嚼していくことによって、抜け落ちた視点を補完し合い、今回のプロジェクトで得られたモノやコト、人とのつながり、ノウハウや知見をより明確に再認識していきます。

得られたものをキーワードで書き出す

全員が書き出し終わったところで、自他を問わず重要だと思う意見に投票し合いました。

  • 子育て世代との接点(場所・手法)
  • 専門家の起用(積極的に問題提起できる人)
  • 中電のブランド(地域密着の企業・信頼)
  • 子育て世代とつながったきずなネット

などの意見に、多く票が集まりました。

より市民に近い距離で傾聴し、背景や生の声に直接ふれること。専門家の意見を聴き、T字型に課題を俯瞰し、本質を見極めること。社会問題に取り組む際、大切にすべき心得を、メンバー全員が身をもって実感できた様子。

さらに、中部電力として地域とどう関わっていくべきか、中部電力だからこそできること、中部電力だからこそすべきことを確認し、使命を感じる場ともなりました。

アイデアソンで「やりたいこと」を具体化する

続いて、これから取り組んでいきたいことや深掘りしたいことなど、今後へ向けての意見やアイデアを書き出していきます。

はじめは制約に縛られず、思いついた案を
重要度に応じてマトリックスで整理して掲出

やりたいこととして挙がった素案の中では、

  • 地域、市民をつなぐコミュニティハブ
  • 新しい産業創出(医療、福祉、子育て)
  • 地域の中電営業所をコミュニティの場に

などに多く票が集まりました。

随時、グラフィックレコーディングで記録

次に、さきほどの「やりたいこと」をブラッシュアップさせる形で「このプロジェクトで今後何を解決していきたいか」「次のステップとしてどのような課題に向き合っていきたいか」を順に記入し、段階的に具体化させていきます。

課題→達成目標→行動目標…と具体化させる

最後に、自身が貼り出したカードの中で最も重要度が高いと考える意見を1枚セレクトし、1人ずつ順に発表しました。

貼りきれないほどのIDEAカードが出揃う

さきほどの優先度マッピングでも多くの票を集めていた「地域、市民をつなぐコミュニティハブになる」という課題について、発案者の栗林は「地域包括、コンソーシアム、産学官民連携などに向けた仲間づくりが重要。まずはそういったコミュニティをサポートするしくみづくりから取り組みたい」という意見を語りました。

また𠮷川からは子育て中の母ならではの具体的な支援策も。「働く母親の大半は習い事の送迎ができないと悩んでいます。中部電力の地元密着の営業網を活かして、法人版ウーバーのようなしくみができれば、共働き世代のサポートになるのでは」。またニーズの把握や実現可能性を探る意味でも「長久手市のイベントなどでアンケートを実施できないか」という意見も添えられました。

社用車を活用した送迎サービスを提案する𠮷川

他にも、子ども視点に立った意見として「子どもだけで話せる場の提供(梶田)」、「子ども向けの夢の叶え方や職業選びのワークショップ(清田)」など、新しい形のイベント開催へ向けた意欲も高まった様子。

「子どもだけで話せる場を」と話す梶田

アイデアの中には、長久手市が掲げる2050年を見据えたまちづくりビジョンから着想を得た案も。今回の一連の活動で縁が深まったこと、かつ中部地方の地元企業であるという役割から、メンバーたちは「子育て」課題について、長久手市と共に何か新たな取り組みや発信をしていきたいという思いを強めました。

グラフィックレコーディングでふりかえりの議論を可視化

個々の活動、取材は決して単独で完結するものではなく、市民参加、子どもとの対話、住民や子どもの自主性、主体性などさまざまなキーワードによって密接にかかわり合いながら、プロジェクトメンバーに多くの気づきと、次なるステップへ踏み出す勇気、確信を与えてくれました。

今回のプロジェクトで得た大きな糧を、地域の皆さまと共に、より豊かなまちづくりへつなげていくための道しるべにしたいという思いを一つにし、ふりかえりの会を終えました。

参加した中部電力社員のコメント

栗林 修
今回のプロジェクトテーマである「子育て」の分野で学んだことを、「子育て」にとどまらず、地方創生につながるような新たな産業創出につなげたい。そのためにまずは、公的役割を担う民間企業として産学官民連携の接点づくり、仲間づくりを進める必要があると感じています
奥村香保里
長期的な課題解決と、短期的に捉えたアイデアの実践を並行して進めていく必要性を痛感。まずは、じっくりと時間をかけながらまちの皆さんと共に解決していく長期的課題と、根本解決にはつながらなくても現状を変えてより良くするために効果的な短期スパンのアイデアを整理し、両輪で取り組みたいです
清田雄平
親ではなく、子どもたち自身が将来の進路や職業を学び、考える手助けとなるような場を増やしたい。例えば進学や趣味、習い事などの選択が、今後自分の人生にどのような影響を及ぼす可能性があるかなど、人生の選択肢を広げるような情報提供の場をつくりたいと感じました。
𠮷川由紀
ワークショップなどを通じて、中部電力という会社が地域の方から信頼をしていただいていることを実感しました。例えば子どもたちの習い事送迎サポートなど、地域に密着している企業だからこそできる、新発想のサービスにも可能性を感じました。
本橋雅和
例えば子育て世代以外にも子育ての現状や実情を知ってもらうなど、さまざまな地域課題を当事者以外の市民も「自分ごと化」して考えることが重要だと気づきました。今後はあらゆるライフステージで、中部電力との接点を感じていただけるようなサービスを提供していきたいです。
荒木岳文
今回のプロジェクトを通して、エンジニアという立場にとらわれず、地域の中に飛び込み、生活者目線での課題感を肌で感じること、発掘することの重要性を強く感じました。新事業のみならず、中部電力と地域社会の皆さまとの距離を縮めていくための活動や既存コンテンツの活用にも取り組んでいきたいです。
梶田瞳美
「子育て」の課題を考えるとき、つい親目線での課題解決ばかりに目が向いていましたが、子どもが主役なのだということを改めて感じました。地域の方々の話に耳を傾ける時間、場を設けることで、価値やサービスの提供だけに固執しない、広い視野での対話ができたことは、非常に有意義なことだと感じました。

文/花野静恵

撮影/高見尊裕

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