子育てを助ける新サービス開発への第一歩。ハッカソンでプロトタイプづくりに挑む

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テーマ:子育て

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ユーザー調査などを経て、より具体的に見えてきた「子育て」に関する課題。その課題を解決するサービスのアイデアを考えるイベントを開催しました。
イベントでは、中部電力などのエンジニアやデザイナーが、わずか1.5日間でサービスのプロトタイプを制作。その発表の場には、これまで一緒に活動してきてくれた、長久手市で子育てをするお母さん方や市役所職員の方が駆け付けてくれました。

長久手のユーザー調査で見えてきた「子育て」の課題

子育ての課題をより深掘りし、サービスにつなげるためにおこなってきたユーザー調査。「親子間コミュニケーション」と「放課後の過ごし方」にフォーカスし、長久手市の子育て家庭にインタビューをしてきました。そこから見えてきた子育ての課題を分析し、2タイプのママが抱える課題をまとめました。

友だち親子をめざすママの課題は、子どもとの信頼関係を築けているか不安、兄弟への平等な向き合いができない、いざというときに夫が頼れない存在である。母子ともに自立をめざすママの課題は、他者に頼ることができない、情報源が子ども・近しいママ友などに限定される、平日夕方の子どもの世話ができない、子育ての負担が自分にのしかかる。
ママのタイプによって子育ての課題も異なります

課題の解決をめざし、いよいよハッカソンがスタート

長久手市で見つけた子育ての課題を解決し、具体的なサービスアイデアを創出するために、今回はハッカソンという手法を使います。

ハッカソンとは、エンジニアやデザイナー、プランナーなどがチームを作り、決められた制限時間内でサービスやアプリケーションを開発すること。

今回のハッカソンは1.5日間で子育てに関する新しいサービスやアプリケーションを作り出します

ハッカソンでは短時間で成果を出すことが求められます

Day1 チームづくりとアイデア出し
いつもとは違うチーム編成で、イノベーティブなアイデアの創出へ

今回のハッカソンには、中部電力やデジタル系の関連会社から、新規事業に携わる開発者やデザイナーらが集結しました。日常的な担当業務にとらわれずメンバーをシャッフルし、5つのチームを結成。新しい着眼点との出会い、担当外のサービスとのマッチングなど、新たな化学反応に期待を込めました。

それぞれが自分の関心に合うチームを選んで、チームを結成しました

最初のアイデア出しでは、ユーザー調査のムービーや資料などを見ながら、子育ての現状と理想の姿とのギャップを洗い出していきます。次はそのギャップを埋めるためのアイデアをどんどん発想していきました。

付せんに書かれたアイデアはシートに収まり切らないほどに!

Day2 アイデアの具体化とプロトタイプづくり
アイデアを収束し、プロトタイプで「見える化」する

1週間後におこなわれたハッカソン2日目。
まずはDay1でたくさん出した理想の姿の中から、チームで取り組みたいテーマを1つ選びます。次は個人ワーク。一人ひとつ、その理想像を実現するサービスのシナリオを作成します。

サービスが困り事を解決していくストーリーを4コマ漫画のように描きます

全員分のシナリオができあがったら、グループ全員でそれぞれがやってみたいという案に投票します。チームによっては別々の案を組み合わせたり、一部分だけ採用してその他のコマはチームで新たに作ったりと、チーム内でシナリオをブラッシュアップしていきます。

軸がぶれないように方向性を確認しながら、アイデアを肉づけする各チーム
シナリオが決まったら、次はプロトタイプづくり。アプリケーションの詳細を考えてプロトタイプを作ったり、ビジネスの全体像を発表用資料にまとめたりしていきます。途中でチーム外のメンバーからも意見をもらい、さらに磨き上げていきます。

考えたサービスは各チームのデザイナーがプロトタイプに落とし込みます

Day2 発表
プレゼンに込められた、思いをつなぐ5つのアイデア

いよいよプレゼンテーションの時間へ。
会場には、長久手市役所の柴田浩善さん、中川暁敬さん、與語真利奈さんや、長久手市で子育てをサポートするNPO法人ながいくの田中直子さん、春山由加里さんも駆け付けました。これまで、長久手市長への取材長久手市での座談会をはじめ、子育てに携わる保護者の生の声を拾い上げて深掘りするユーザー調査など、COE LOGの一連の活動を通じて力添えをいただき、議論を交わしてきた皆さんです。

長久手市のお母さん方や子どもたちが見守る中、自分たちのアイデアを発表します

各チームからは次のようなサービスのアイデアが発表されました。

チーム「ポール」は、COOLな送り迎えサービス「Kids Follow」を考案。子どもの習い事の送迎をサポートするサービスで、アプリに登録されたメンバーの中から、お母さん自身が送迎者を選んでオーダーします。チーム「リラックにゃん」は、子育てのモヤモヤをすっきり!「コモレビ」を考案。程よい距離感で子育ての悩みを他者と共有するため、多種多様な子育てイベントの中から、その人に合ったイベント情報を選んで通知します。チーム「わんちゃんズ」は、子どもが積極的に情報を出してくれるようになるアプリを考案。子どもが進んで学校からのプリントを出すように促すためのアプリで、プリントを出したらポイントが加算され、累積ポイントによってご褒美がもらえます。チーム「ヘルプママ」は、子どもにもっと話してもらおう!!を考案。家族間の会話を生むアプリで、カレンダーアプリなどにゲーム性を付加します。音声入力でキャラクターに一日の出来事を話すとポイントをもらえます。チーム「アラジン」は、電柱をお迎えポールとして活用するサービス「アラジン」を考案。子どもの習い事の送迎をサポートするサービスで、自宅近くの電柱まで中部電力から派遣されたスタッフが送迎します。
お母さんの抱える課題に寄り添って練られた5つのサービス

各チームがプレゼンテーション中に披露したプロトタイプはまるで本物のスマホアプリのよう。その完成度の高さに会場からは歓声が上がりました。

送迎サービス「Kids Follow」アプリのプロトタイプ
情報発信サービス「コモレビ」アプリのプロトタイプ

各チームのプレゼンテーションに対しては、NPO法人ながいくのお母さん方や長久手市役所の職員の皆さんから一言ずつフィードバックをいただきました。NPO法人ながいくの皆さんからは、「使ってみたい」、「長久手市で実証実験をしてほしい」などの声が寄せられた一方、「もっとこうしてみては?」などの改善に向けた意見も。長久手市役所の皆さんからは市の現状や施策にもとづいた意見があがりました。ユーザーならではの実感のこもったフィードバックに、サービスを考えた参加者たちも納得の様子でした。

右からNPO法人ながいくの春山さん、田中さん、長久手市役所の與語さん、中川さん、柴田さん

すべてのプレゼンテーションを終え、長久手市の子育てをよくしようと取り組むお母さんの視点から、NPO法人ながいくの田中さんがコメント。「これまでインタビューやワークなどを通じておこなってきた活動が、このようなアイデアにつながるのだと感心しました。そのうえで、子育てのサービスを考えていただく皆さんにお伝えしたいのが、家庭と家庭のつながりの重要性です。個々の家庭内のコミュニケーションに終始するのではなく、保護者の方が行き詰まったりつまずいたりしたときに、近隣の方や地域の場所などに助けを求められるような環境が理想。そんなまちづくりにつながるサービスを生み出していただけたらうれしいです」

自分を追い込んでしまうお母さんの話など、育児の現状を訴える田中さん

取材活動、ユーザー調査、サービスデザインなど、およそ半年間をかけて取り組んできたCOE LOGの活動。今日のハッカソンはその1つの成果であり、新たなステップへ向けての土台づくりができたという大きな手応えを感じることができました。今後もまちの方々とのつながりの中から課題を吸い上げ、イベントやサービスなどを通じてフィードバックをいただきながら、課題解決をめざしていきます。

参加メンバーの生き生きとした表情が印象的だったハッカソン

参加した中部電力社員のコメント

栗林修
今日生まれたアイデアを実現していくために、利用する側、協力者、サービスを提供する側、それぞれの有益性をしっかりと見極め、検証していくことが必要です。そのためには「課題を知って、聴いて、学んで、つなげていく」という活動の継続が肝に。今後も長久手市の行政の方やNPOの方をはじめ、さまざまな地域コミュニティの協力を仰ぎ、連携しながら実現性を高めていきたいと考えています。
奥村香保里
何度もサービスの本質、課題に立ち返りながらアイデアを集約する中で、核となったのは、一連の取材活動で得た知識やユーザー調査で触れた生の声。今日のハッカソンでも、長久手市のお母さん方や行政の方の意見を、エンジニアをはじめ制作スタッフが直接聴くことができたのは非常に意義深いことだと感じました。これをより良いまちづくりの一歩として、将来的には連携する地域を広げていきたいです。
清田雄平
課題と向き合いながら、中部電力の資産や既存のサービスを活用するという枠組みの中で、アイデアを形にできたことは1つの成果。ただアイデアは、生まれたときのまま大きくなるケースはほとんどありません。今後は引き続き行政や市民の方とのつながりを深め、継続的に皆さんの声に耳を傾けながら、今日のアイデアをブラッシュアップし、実際の課題解決につなげていくことが我々の責任だと感じます。
荒木岳文
一連の取材活動やユーザー調査、さまざまなワークなどを通じ、課題が明確になった状態でスタートを切れたことで、より有効なハッカソンになったと思います。ただし、まだ途中段階。ここから実際のサービスにつなげ、さらにまちの方や行政の方などからフィードバックをいただきながら改善を重ねていくというサイクルを、しっかりと構築したいと考えています。
梶田瞳美
課題を抱えているまちの方、協力していただけるNPOや行政の方など、実際のエンドユーザーの方が身近にいる状態で考えられたことは、非常に有意義だったと感じます。今後は事業性を確保しつつも、課題を抱える方、協力してくださる方など、まち全体がハッピーになれるようなサービスを実現できるように、取り組みを進めていきたいです。

※肩書きは取材当時

協力/NPO法人ながいく

文/花野静恵

撮影/川本聖哉、丹下恵実

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