長久手市のお母さんや職員の皆さんと、子育てサービスのヒントを探してみた

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テーマ:子育て

  • サービスづくり
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  • ユーザー視点

より豊かで暮らしやすい環境を実現するために、取り組みを続けているCOE LOGの活動。第1弾では「子育て」をテーマに、先進的な取り組みをおこなう識者や自治体、団体、子育ての当事者であるお母さんやお父さんたちとの対話を通じて、実情の把握や課題の洗い出しをおこなってきました。
次はいよいよ、ファーストパートで得た学びや気づきをもとに、課題解決につながるサービスの方向性を検討していく段階へ。

STEP. 0 プロジェクトの始まり
ファーストパートの出会いをもとに、いよいよ始動!

子育ての現状を知り、課題点を探るというファーストパートを通じて、子どもに対する教育、仕事と子育ての両立、地域社会とのつながり、安全の確保など、子育ての課題がいかに多様であり、根深いかということを肌で感じたCOE LOGのメンバー。
中でも、多くの悩みや意見が挙がった「親子間コミュニケーション」と「放課後の過ごし方」にフォーカスし、新たなサービスをつくるためのプロジェクトに着手することに。

サービスを考えるにあたり、COE LOGメンバーが最初に考えたこと……それは、今までのような一企業だけで考えるやり方から飛び出し、新しいアプローチでサービスをつくりたいという思いでした。
そこで、ファーストパートの活動の中でつながりを得ることができた長久手市民の方々や長久手市職員の方という強力なパートナーを迎えて、新たなステージに臨むことになりました。
市民、行政、そして民間企業である中部電力が、それぞれの立場から主体的にプロジェクトにかかわり、互いに意見を出し合う。その中で、より課題を明確化し、深掘りしながら課題解決へつながる道筋を探っていきます。

5つのプロセスを経てサービスづくりのヒントを探ります

STEP. 1 説明会
相手を知るためのインタビューとは? まずは、ワークショップでレッスン

プロジェクトのスタートにあたり、まずはメンバーが集まり、顔合わせ。
長久手市民の立場から参加するのは、ファーストパートの座談会にも登場していただいた、春山由加里さんをはじめ、子育てに奮闘する今枝麻里さん、饗庭知沙さん、鈴木優子さん。行政の立場からは長久手市役所の中川暁敬さんがプロジェクトチームに加わります。

ファーストパートでの出会いをきっかけに市民、行政、中部電力でチームを結成

まずはこのプロジェクトの意義について全員で共有しました。モノや情報があふれる今、これまでのように企業が自社の強みをもとにサービスづくりをするのではなく、ユーザーを中心に考えたサービスづくりが重要になっていきます。

このプロジェクトのゴールはユーザーとしっかり向き合い、ユーザー視点を生かしたサービスのヒントを得ること。そのファーストステップとして、相手の言葉や行動から本人も言葉にできていない心の声を見つけ出すインタビュー術について、ワークショップを通してレッスンしました。

ワークショップのテーマは「理想の財布」。それぞれが思い描く理想の財布をまずは絵や文字で表現し、その後、隣に座っているメンバー同士で互いの「理想の財布」についてインタビューをし合い、パートナーが描く「理想の財布」、ひいてはそこに秘められたパートナーの真意を掘り下げていきます。

ワークショップを通して、インタビューをするプロセスや意識を共有したメンバーたち。「いろいろな質問を投げかけられることで、自分でも気づいていなかった気持ちに気づくことができた!」という声も挙がりました。

STEP. 2 チャンスフォーカスセッション
2つの課題の共通部分を探り、調査の対象者と方法を探る

チャンスフォーカスセッションでは、フォーカスする「親子間コミュニケーション」と「放課後の過ごし方」という2つの課題に対して、何を、誰に、どのようにリサーチしていくかを決定していきました。

まずは「親子間コミュニケーション」と「放課後の過ごし方」というテーマについて、より具体的な課題を洗い出すためのワークショップをおこないました。

メインとする2つのテーマについて、課題を感じるシーンを付せんに書き出して分類

チームごとの発表では、「親子間コミュニケーション」について、親が時間に追われていてすぐに子どもを叱ってしまう、長所ののばし方がわからない、親が子どもの声に耳を傾ける気持ちの余裕がないのではという意見がありました。
「放課後の過ごし方」については、放課後児童クラブに預けたいが子どもが行きたがらない、習い事に行かせたいが交通手段がないなどの課題をまとめました。

そもそも、さまざまな課題のベースとして「あるべき理想の親像に縛られすぎている気がする。親が自分を苦しめている部分もあるのでは?」という饗庭さんの鋭い意見や、「ゆっくり団らんする時間がなかなか確保できないので、子どもたちと一緒にお風呂に入って会話をしている」という今枝さんの工夫など、母親ならではの声が続々と飛び出しました。

母親ならではの視点も踏まえて、饗庭さんら長久手市民も積極的に議論

その後、各チームから挙がった課題に基づいてインタビューを依頼する対象者を検討しました。放課後児童クラブのスタッフ、通学路の交通誘導員、育児と仕事を両立している学校の先生、親に何でも話す子どもなどさまざまな意見が挙がる中で、特に重要視されたのは、やはり子育て当事者。
今回のリサーチでは、実際に育児に悩んでいる人、解決しようと模索している人など、子育ての当事者を対象とすることが決定されました。

STEP. 3 ユーザー調査
お母さんの本音とサービスのヒントを探るべく、ご自宅に訪問

小学校低学年のお子さんを持つ長久手市のお母さん方にご協力いただき、ユーザー調査を実施。子育て当事者の思考や行動、価値観、需要を理解することで、子育て全般、特に「親子間コミュニケーション」と「放課後の過ごし方」について、より具体的な課題点と解決策を探ります。

方法としては、まず事前調査として直近1週間程度の親子の会話内容のメモ、親子間のコミュニケーションに欠かせない物の写真撮影などを依頼しました。
その後、COE LOGメンバーがリサーチ対象者の自宅を訪問。子育てに関する情報収集の方法や、子育てサポートの体制、子どもに対する思いなどの現状をはじめ、今回フォーカスする親子間コミュニケーション、放課後の過ごし方に関する質問など、およそ3時間にわたるインタビューを通して、お母さんたちの実態を探りました。

今回のインタビューでは、自身も気づいていない思いや本音を導き出せるように、インタビュー方法も工夫しました。
例えば子育てに関する情報収集の方法を知るために、スマートフォンのホーム画面を見せていただいたり、生活の中における子育ての位置づけや重要度を脳内マップで表していただいたり。ご自宅に訪問しているという利点を生かして、子どもの工作の飾り方など、子どもとのコミュニケーションに使っているアイテムを見せていただき、暮らしの現場で子育ての様子を想像しながらインタビューをすることができました。

子どもの作品など、自宅ならではのアイテムも生活を想像する手助けに

STEP. 4 コンセプトメイキングセッション
インタビューから見えてきた、お母さんたちの困りごと

まずはリサーチ結果をダイジェスト動画などを使ってメンバー全員で共有。次のセッションでペルソナ(注)の骨子をつくるため、今回のリサーチ対象者のニーズを整理しました。

仕事にも育児にも全力投球するお母さんや、子どもとの時間を最優先にするお母さん、効率的な時間の使い方を追求するお母さんなど、環境も悩みもさまざま。それぞれのお母さんの人柄、会話の内容、テーマに関連した新しい発見と実感などについてメンバー全員で共有しながら、お母さんの望みや理想をキーワード化。その後、類似するニーズごとにグループ分けし、一つひとつのニーズの関連性や因果関係などを整理していきました。

お母さんたちのニーズをカードに書き出し、グループ分け

この議論の中では、夫婦関係が一つのキーワードに。「夫婦間の話があまり出てこなかったけれど、その分潜在的な問題の大きさを感じる」と鈴木さん。
ユーザー調査での実感から、饗庭さんは「夫婦間で家事の分担はできていなくても、コミュニケーションの役割分担はできている方もいた」と話し、今枝さんは「父、母としてそれぞれ子どもとは交流できているけれど、夫婦間のコミュニケーションが不足しているケースもありました」と振り返りました。また「夫婦間、親子間のコミュニケーションを同時に解決できるといい」という鈴木さんの意見も。
理想的な親になりたい、バランスよく生活をしたいなど、インタビューから見えてきたさまざまな要望や悩みが飛び交いました。

(注)ペルソナとは、ユーザー調査で得られた結果から、典型的なユーザーのゴール、態度、意識、行動などのパターンを導出して、ユーザーを代表するモデルとして仮想の個人をつくる方法から導き出された仮想モデル。
― 参考:『UXデザインの教科書』安藤昌也 2016年

STEP. 5 ペルソナセッション
リサーチ、分析から見えてきたペルソナとは?

最終セッションは、ペルソナの骨子づくりと、ペルソナが課題を感じるシーンのピックアップ。前回のセッションで見えてきたお母さんたちの要望や理想をもとに、ペルソナの人物像や背景となるストーリーを膨らませ、「親子間コミュニケーション」と「放課後の過ごし方」を中心に、ペルソナが直面する子育て課題を選びます。

セッションの冒頭では、前回のセッションで導き出したニーズマップや、ペルソナの分類マトリクスを振り返り。そこから導き出したペルソナ候補は2つ。

  • ペルソナA……関係豊富な子育て環境でも不安と小さな苛立ち。友だち親子を目指すママ
  • ペルソナB……助け合いと自己完結の間で葛藤する、母子ともに自立を目指すママ

この2つのペルソナに対して、パーソナリティ、夫との家事・育児の役割分担、子育てに関するニーズ・価値観、子どもの放課後の過ごし方を話し合いながら設定。その後、個人ワークとグループワークによって、それぞれのペルソナが持つ課題や課題を感じるシーンを深掘りしていきました。

ペルソナAを担当したチームは、子どもが病気にかかってしまったという場面を課題を感じるシーンとして想定。中部電力の奥村が「兄弟が立て続けに流行の病気にかかってしまい、お母さんがパートタイムの仕事を長期間休まざるを得ない状況。職場へ対する罪悪感にもさいなまれているお母さんを救うために『旦那さん1日休みチケット』をつくるというアイデアが出ました」とまとめました。

ペルソナBの発表は、中部電力の本橋が担当。「子どもが放課後児童クラブに行きたくないと言い出した場面。理想的な解決策としては、放課後児童クラブが子どもにとって楽しい場所になること。多様な選択肢が増えるといいと感じます」。さらに饗庭さんからは「このペルソナの方はマンション住まい。マンション内の友だちの家で遊ばせてもらうなど、昔の長屋のように、今の時代ならではの隣人関係によって放課後の課題を解決できる部分もあるかも」と、友人の事例を参考に異なる視点からの意見も挙がりました。

次はいよいよ、みんなで導き出した、ペルソナが課題を感じるシーンをヒントに、それらを解決できるサービスを考えるハッカソンへ。ハッカソンは、中部電力の開発メンバーや外部のデザイナーと共に進めていきます。

みんなでプロセスを一覧できるようにグラフィックレコーディングを実施

プロジェクトメンバーのコメント

今枝麻里さん
地域住民や行政、企業というそれぞれの立場や世代、性別などを超えて、多角的な意見を聞くことができ、とても貴重な経験になりました。普段は「NPO法人ながいく」などの活動を通じ、お母さんたちの意見を聴く機会が多いので、男性や子育て経験のない女性の意見は特に新鮮でした。
春山由加里さん
限られた時間の中で、深層心理を探るということの難しさを改めて痛感しました。本当の意味での悩みは、短時間で引き出すことは困難かもしれませんが、だからこそ継続していくことが必要。今回の取り組みで、まずは一歩を踏み出せたことに意味があると感じます。
饗庭知沙さん
まずは「お母さんはみんな頑張っているんだ!」という率直な感想を持ちました。仕事のように、母親に対する客観的な判断基準がないからこそ自分を責め、追い込んでいる部分もある。もっと自分を褒めて子育てを楽しめるお母さんが増えるように、今後も地域住民の一員として意見を提供していきたいです。
鈴木優子さん
同世代のお母さんたちの状況を垣間見ることができ、とても興味深かったです。ただ、今回のリサーチ対象者の状況や環境、価値観などを見ると、多少なりとも偏りを感じたので、これをスタートとして、今後も当事者の声を吸い上げる取り組みが続くと良いと感じました。
長久手市役所 中川暁敬さん
私たちも市民の方の意見を聴く際に、ワークショップやインタビューをおこなうことはありますが、今回のプロジェクトでは、インタビューの手法や結果の導き出し方などが非常に斬新だと感じました。今後も継続して共創関係の構築をしていきたいと感じます。その第一歩として長久手市で子育てをテーマにしたイベントを開催するなど、これから共に取り組ませていただく活動を非常に楽しみにしています。

中部電力では、これまでの一連の内容を踏まえて、今後も地域住民の方、自治体の方とともに取り組みを進めながら、子育てに関する「どうにかしたいな」「あったらいいな」という声に応える道筋を探り、具体的なサービスやイベントの実現へつなげていきます。

2ヶ月間、毎週のように集まっていたので、すっかり仲良しに!

プロジェクトメンバーで座談会!
地域住民×行政×中部電力で子育ての課題を考えたら見えてきた未来

多様で根深い子育ての課題と、真正面から向き合ってきた今回のプロジェクト。ファーストパートで取り組んだ識者の方や子育て現場への取材。そしてセカンドパートでは、地域住民の方の生活空間にお邪魔する形で子育ての当事者にインタビューを実施するなど、新たな試みの連続でした。一連のプロジェクトを振り返り、長久手市民の春山さん、長久手市役所の中川さん、そして中部電力の奥村が、それぞれの立場から感じたこと、得られた気づきなどを改めて振り返りました。

座談会でプロジェクトを振り返る3人。右から長久手市役所の中川さん、長久手市民の春山さん、中部電力の奥村

地域住民の生の声を聴き、熱量の高さを実感

― 改めて、今回のプロジェクトを進行する中で感じた思いは?

奥村

私たち中部電力が、従来のように電力を供給するという役割にとどまらず、世の中をより良くし、暮らしやすいしくみづくりを考える上で、地域住民の方の生の声を直接聴かせていただきたいというのが発端でした。
もともと私自身も、大学時代にまちづくりについて学んだことをきっかけに、未来のまちを良くしたいという思いを抱いて中部電力に入社しました。
プロジェクトを通じて長久手市のNPOの方や市役所の方とのご縁にも恵まれるなど、活動が広がりをみせていく中で強く感じたことは、長久手市民の方々の熱量の高さです。今回の取り組みが、未来のまちづくりの第一歩になればと感じます。

中川

行政という立場は、幅広い市民の方に対して、平等にサービスを提供することが基本的な役割のため、どうしても拾いきれない声、支えきれない部分が生じてしまいます。だからこそ、地域住民の方同士の支え合いや、別の立場である民間企業の方の協力などは、今後不可欠になってくる。今回のプロジェクトで市民の方、企業の方と共にプロジェクトに取り組めたことは、私たちにとっても非常に意義のあることです。

― 春山さんはどのような思いでこのプロジェクトに参加されたのでしょうか?

春山

私は関西出身で、主人も愛知県とはゆかりがないため、周囲にサポートしてくれる知人や親戚などがいない環境で育児をスタートしました。私自身、長女が小学校に入学する際に「小1の壁」に直面した経験もありますし、情報収集や子どものトラブルへの対応など、まだまだ悩みは尽きません。せっかく縁があって長久手市に住んでいるのだから、この地域で子育てをして良かったと思えるまちにしたい。そのために少しでも役に立てるのであればという思いで参加しました。

今枝さんも自分の子育てに苦労したからこそ子育て環境をよくしたいと取り組む一人

自治体と民間企業の化学反応で相乗効果を

― 地域住民、自治体という関係性に、中部電力という民間企業が加わることについての期待感はありますか?

春山

非常に大きな期待感を持っています。私は長久手市の若手職員と市民が協働で進める「なでラボ」というプロジェクトや、子育て支援に取り組む「NPO法人ながいく」の活動に参加していますが、自治体と市民は密な関係性を築きやすい反面、アイデアが煮詰まることもありますし、スピード感のある進展が難しいという側面も。中部電力という民間企業が加わることで、互いに化学反応が起きて画期的な動きを生むのではないかと感じます。

中川

そうですね。例えばユーザー調査の手法一つをとっても、スマートフォンの画面を検証材料にしたり、実際の生活空間である自宅でヒアリングをしたり、すごく斬新だと感じました。行政という立場上、すべてを同じ形で取り入れることは難しい面もありますが、プロジェクトが進行していくプロセスから参加させていただいたことで、互いに相乗効果が生まれていると実感します。
ただ、今回のように例えばご自宅への訪問というスタイルに協力してくださる方というのは、もしかしたら限られた一部の方なのかもしれません。行政の立場としては、今回の調査を参考にさせていただきながらも、サイレントマジョリティーの方々の声にも、常に思いを巡らせていたいとも感じました。

春山

確かに、調査のために自宅に他人を迎え入れるということに抵抗を感じる人も少なからずいるはず。あらゆるケースを網羅することは難しいですが、今回の調査内容をベースにしながらも、その他大勢の家庭に対していかに想像を働かせてニーズを把握するかが重要。そのために、周囲にいる友人や知人の実例や本音を踏まえた情報提供など、地域に住んでいる生活者としてできる限りの協力をしていきたいです。

― プロジェクトの旗振り役として、中部電力が感じたことは?

奥村

地域住民の方の声、意見を聴くことの難しさを改めて実感しました。今回取り組んだ子育てのテーマについても、一つの課題に対して多様な解決策があり、家庭の状況など背景や要素による根本的な原因もさまざま。
これまで中部電力では、新しい商品やサービスを考える際、主に会社内のスタッフが中心となって意見を出し合い、形にしてきました。しかし一企業だけでできることには限界があります。だからこそ今回、オープンイノベーションというスタイルで地域住民の方、自治体の方と一緒に取り組めたことに心から感謝していますし、今後も大勢の方に、継続的に参加していただきながら、雪玉をゴロゴロ転がすようなイメージで、どんどん大きく意義のあるものに成長させていきたいです。

さまざまなお母さんから聴かせていただいた声をヒントに必死で考えます

10年後も継続できる共創関係で常にアップデートを!

― プロジェクトを通して得られた新しい視点や、新たな取り組みへとつなげるために見えてきた課題はありますか?

春山

これまでワークショップやNPOの活動など、いろいろなシーンで子育てについて考え、議論してきましたが、常に母親目線で、母親同士で意見を交換していました。しかし今回の調査を通じて見えてきた「夫婦間コミュニケーション」のように、家庭内のすり合わせ、意思疎通によって解決できることもある。実際に悩んでいるお母さんだけではなく、子育てにかかわるお父さん、学校の先生、近所の方などさまざまな立場や視点から課題をとらえることで、新しい解決方法が見えてくる可能性があるということを強く感じました。

長時間のセッションに付き合ってくれた子どもたちにも感謝です

中川

多様な立場、視点からとらえるという意味では、行政としても同様です。長久手市は現状日本一若いまちではありますが、20年後、30年後には他の自治体と同じような少子高齢化の状態に直面することは明らか。市民全員の今の生活を維持していくために、行政の力だけでできることには限界があります。
そのため長久手市では「第6次長久手市総合計画(ながくて未来図)」の策定に向けて、市民の方に10年後のまちがあるべき姿について、理想の未来像を考えていただきました。10年後、その理想の姿を実現させるためには、地域住民の方はもちろん、地域にかかわりのある民間企業とのタッグも不可欠に。さらには長久手市内とその周辺の大学なども巻き込んだ、産学官民の連携によって、多くの方にまちづくりに興味を持っていただけるよう、積極的に協力を求めていきたいです。

奥村

さらに私たちとしては、民間企業という立場にも広がりを持たせ、自社のみならず他の企業とも共創関係を築いていきたい。長いスパンで活動を続けるためには、ビジネス的に成立させていくしくみづくりも必要です。その前提に立った上で、プロジェクトを通じて得られた気づき、成果を新しいサービスとして具現化し、発展させていく過程では、今回ご縁をいただいた皆さんをはじめ、より多くの方を巻き込みながら継続していきたい。

春山

10年後には、社会全体の子育てのスタイルも変化しているでしょうし、私たち自身も子どもの成長と共に悩みや課題が変わっていく。常にアップデートが求められるテーマだと思うので、この先10年後、20年後も、私たち地域住民も行政も携わることができるようなベースをつくっていただけたらうれしいです。

奥村

ありがとうございます。地域にしっかりととけ込みながら、地域住民の方の声にスピード感を持って応え続けていくためにも、ぜひ密に連携が取れる関係性を構築し、継続していきたいです。

Profile

今枝麻里さん
東京都出身。システムエンジニアの夫の転勤をきっかけに名古屋市へ移り、その後、豊田市を経て長久手市へ。夫婦、小学校3年生の長男、年長の長女の4人家族。自身で子育てサロンの運営もおこなう。
春山由加里さん
会社員の夫、小学校3年生の長女、1歳の長男と暮らす4人家族。兵庫県出身で、夫の勤務先が豊田市だったことから8年前に長久手市に転入。自身も名古屋市の企業で正社員として勤務する共働き世帯。
饗庭知沙さん
神奈川県出身で就職に際して愛知県へ、結婚を機に長久手市に転入。現在夫と小学校3年生の長男、1歳の長女と暮らす。長男の出産後は早々に職場復帰をしたものの、長女の誕生を機に育児休暇を再取得し、地域とつながる機会が増えた。
鈴木優子さん
夫、小学校2年生と年中の兄弟、愛犬と共に暮らす。現在はweb関連の在宅ワークや、ベビーマッサージの講師など、子どもと過ごす時間を最優先しながら仕事を続ける。次男が小学校に進む頃には仕事でのステップアップもめざしたい。
中川暁敬さん
長久手市に隣接する尾張旭市出身。幼い頃から発展していく長久手の姿を近くで見てきた。妻との二人暮らし。現在は長久手市役所情報課に所属し、市の広報活動に携わる。「閉塞感がなく未来志向なところが長久手の魅力」と語る。

参加した中部電力社員のコメント

奥村香保里
このプロジェクトの結果として、新たなサービスや商品の実現をめざしていますが、それは決してゴールではありません。今後も皆さんと協力しながら、長期的視野で取り組んでいけるような体制づくりに尽力していきたいです。
荒木岳文
地域住民の方や行政の方と協力し、一つのアウトプットの形につなげていくという取り組みは、大いに可能性を秘めたプロセスですし、画期的だったと感じます。こういう取り組みが一イベントではなく、今後も継続できるようなしくみづくりが肝だと感じます。
本橋雅和
インタビュー後、いろいろな角度や視点から意見交換を重ね、客観視できたことは非常に有意義でした。開発者の視点からは、つい技術的な部分の見解にとらわれがちですが、実際に子育てをしている方々の顔をイメージしながらソリューションを考えられるようになったことは大きな財産です。

※肩書きは取材当時

協力/NPO法人ながいく

文/花野静恵

撮影/丹下恵実

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