モンテッソーリ教育とは?特徴と家庭で取り組む方法

モンテッソーリ教育とは?特徴と家庭で取り組む方法

モンテッソーリ教育は、世界でも広がっている教育法のひとつ。日本でもモンテッソーリ教育の観点を取り入れた教育施設が増えており、世界各国の著名人が幼少期に学んだ教育法としても知られています。
今回は、気になるモンテッソーリ教育について、特徴や家庭での取り入れ方法について解説していきます。

モンテッソーリ教育とは

モンテッソーリ教育とは、1900年代初頭に女性医師でもあり教育者でもあるマリア・モンテッソーリ氏が考案した教育法です

モンテッソーリ教育とは、1900年代初頭に女性医師でもあり教育者でもあるマリア・モンテッソーリ氏が考案した教育法です。おもに0~6歳の子どもに対して、発達に応じた適切な環境を用意することで、子どもは自ら成長できるという考え方です。

医師ならではの視点から、子どもの観察を通して確立された教育法と言えます。
モンテッソーリ教育では、子どもの成長や発達段階に合わせた「教具」と呼ばれる道具を用いて子どもの発達を促します。ただし必ずしも大人が強制するのではないのがポイントです。子どもの自主性を尊重し、子どもが本来持つ自ら育つ環境を整えるというスタンスがモンテッソーリ教育の基本です。

100年前の教育法であるモンテッソーリ教育が今の時代も受け入れられている理由の1つが、個々の発達に合わせて個別に対応をしていく点です。
ひとつの教育法を全員に当てはめるのではなく、子どもによって環境やサポートの仕方を変えていくという考え方は、むしろこれまでの一斉教育とは大きく異なるものです。多様性を重視する現代にこそ通用する教育スタイルだと考えられています。

モンテッソーリ教育の特徴

モンテッソーリ教育の大きな特徴のひとつが「教具」です

モンテッソーリ教育の大きな特徴のひとつが「教具」です。
子どもの発達に合わせた「教具」と呼ばれる道具を用いながら、子どもの成長過程や発達段階に寄り添った教育を行います。教具は特性ごとに、「日常生活の練習」「感覚」「数」「言語」「文化」の5つに分かれています。子どもが自分で使いやすいサイズや機能を持ち合わせた道具です。
それぞれの教具に基づく活動の一例をご紹介します。

「日常生活の練習」としての教具

教具は、家庭にあるものを利用します。特別なものではありません。ポイントは、子どものサイズに合わせたものを選ぶ点です。
例えば料理や洗濯など、家庭と同じ活動を子どもたちが手にとって体験しやすいよう子どもサイズに合わせた調理器具などを使って活動します。その他、布にボタンやファスナーを縫い付けて何度も着脱の練習のために繰り返し行ったり、裁縫などの練習に糸通しなどがあったり。大人の真似をしたい子どもにとって、とても興味深く魅力的な活動です。

「感覚」としての教具

感覚教具は視覚、触覚、味覚、嗅覚、聴覚のものに分けられており、子どもの五感を伸ばし、より豊かな感性を広げるためのツールと言えます。
感覚教具のひとつに「はめ込み」というものがあります。異なる大きさの穴に視覚を使ってはめ込んでいくという活動です。間違えても自分で訂正して何度も繰り返すことで、そのうちに大きさの感覚を掴んでいきます。

「数」としての教具

モンテッソーリ教育の考えでは、子どもたちは4歳頃から「数」に興味を持ち始めると言われています。単なる算数や計算ではなく、数の世界に親しみ、ものが並ぶ様子や並べたときの多さや重さなど、視覚的な違いも活動の中で体験します。

「言語」としての教具

身の回りにある言葉を自由に使えるようにするための教具です。
動物やたべものなどの絵が描かれたカード等を使って語彙を増やしたり、場合によってはカードではなく本物の野菜や動物を見て視覚的に吸収したりします。話す、書く、読むという順に習得し、その先にあるコミュニケーション能力を養い、言葉の世界を広げていく活動です。

「文化」としての教具

文化の活動は科学をテーマとした領域とも言われ、体験を通して身の回りの世界を知る活動です。
これまでの活動の積み重ねが文化の活動に繋がっており、対象年齢は5~6歳とされています。特定の道具を用いるというよりは、その時の活動内容によって日常生活にあるさまざまなものが教具になっているようです。
探求心や、周りのものごとに興味を持つ子どもたちに対して、より自分と他者、自分と世界を繋げる活動と言えるでしょう。

モンテッソーリ教育ではこれらの教具を通して、子どもの感覚や集中力を養い、また、子どもの成長を促すサポートを行っています。一方的に教具を強制するのではなく、毎日の活動の中から、そのときやりたいことを自分で選ぶというのが本来の教育スタイルです。
教具の特性もさまざまですが、個々の特性の向き不向きや進み具合は子どもによって異なります。
教具を用いることだけがモンテッソーリの教育法ではなく、教具がなくてもモンテッソーリの教育法はさまざまな場面で取り入れられます。
次章では、家庭での取り組み例をご紹介します。

家庭で取り入れるには?

モンテッソーリ教育では、子どもに合わせた環境を大人が見守る、サポートするということに重きをおきます

モンテッソーリ教育では、子どもに合わせた環境を大人が見守る、サポートするということに重きをおきます。一方的に押しつけるのではなく、子どもの成長を促し見守るという考え方です。
ただ単に教具を揃えるのではなく、子どもに見合った環境を整えることが大事であるとされています。
これまでに紹介してきたモンテッソーリ教育の基本である、「子どもの成長に合わせた環境を整える」ことや「子どもの自主性を尊重してあげる」ことは、家庭の日常生活にも取り入れられます。
家庭で取り入れるためのポイントは以下の3点です。

  • 子どもが自分でできることはなるべく自分でというスタンスで接する
  • 親が「先回り」をしない
  • 必要なときはすぐにやってあげるのではなくまずは声掛けから

生まれたときからそばにいるお母さんにとって、子どもが今してほしいことや必要なことはだいたい分かってしまうものです。子どもが欲求する前に先に察して準備してしまうこともあるでしょう。しかし、そのクセがついてしまうことで、大人になってからも指示待ち人間になってしまうというケースも少なくありません。
とは言え、特に忙しいときは子どもの動作をゆっくり待っていられない!というときもあるかもしれません。まだできないことに対して子どもが困っているなら、「手伝ってほしいなら言ってね」と、声がけから始めてみるのも一つの方法です。
毎回ではなくても、将来を見据えて子どもの自主性を尊重することを考え、ときには子どものサインに対して鈍感でいる・見守るというスタンスが結果的に子どものために繋がることになるかもしれません。
また、日常生活の中で子どもが自分ひとりでできるような工夫をしてあげることも大切です。
例えば出かける前にハンカチを出して鞄に準備するという動作。1人でできるように、子どもの手が届く位置にハンカチをしまっておき、出し入れしやすいように促します。
また、手洗いも子どもがひとりで最後までできるように、工夫してみましょう。洗面所の蛇口に手が届くよう台座を置き、手拭きタオルを取りやすい位置に置くとよいですね。
親が手伝うことなく子どもが最後まで一人でできるようになると、それだけで子どもの自信に繋がります。それらが積み重なることで、また別なことにもチャレンジできる気持ちが芽生え、自己肯定感が育まれていくことでしょう。

最後に

モンテッソーリ教育法は、子どもの観察の積み重ねから生まれた教育法です

モンテッソーリ教育法は、子どもの観察の積み重ねから生まれた教育法です。
自信がつくことで「やってみたい」というや探求心が芽生えます。少しの時間、親の手を止めて、一緒に夕飯の支度をする、お迎えの帰り道に立ち止まる子どもに寄り添ってみる。その積み重ねが子どもの自己肯定感を育み、社会で生き抜くための自立心を養うことに繋がっていくのかもしれません。
忙しい日常の合間、少しの時間子どもと目線を合わせてみることで、大切なわが子の成長や発見を親子で楽しめるとよいですね。

参考文献
「子どもの才能を伸ばす最高の方法 モンテッソーリメソッド」堀田はるな 著(あさ出版)
「0~6歳のいまをたのしむ モンテッソーリの子育て」月刊クーヨン編集部(クレヨンハウス)

中村 美帆

出産を機に金融機関を退職後、ママファイナンシャルプランナーとして独立する傍ら、カラダとココロの健康をテーマにヨガ講師・おやつ講師として活動。地産地消にこだわった親子おやつ教室や児童施設でのキッズヨガ教室など子育て支援にも携わる。
また、地元のお茶農家と連携したお茶ブランドTEA BASE「三重県産デカフェ茶」の企画販売を手掛け、地域で地元経済を応援する仕組み作りを目指して、多方面にて三重の魅力を発信中。三重県出身。二児の母。
URL:  https://teabase.stores.jp/
Instagram : @mihocoto

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