子育てのイライラに!アンガーマネジメントを活かすには?

子育てのイライラに!アンガーマネジメントを活かすには?

部屋は散らかし放題、朝になっても起きない、言うことを聞かない…。子育てはイライラの連続で、時には感情がドカンと爆発してしまうママもいるのでは?子育てに追われるママは、とにかくストレスがたまりがち。イライラが募るあまり、心にもないことを子どもに言ってしまうこともあるかもしれません。
今回ご紹介したいのは、子育てにも活かせる「アンガーマネジメント」。怒りの感情と上手に付き合う心理トレーニングを、取り入れてみませんか。

稲垣真紀子(いながきまきこ)

監修:稲垣真紀子(いながきまきこ)
はぐくみサポートゆめたまご代表
日本アンガーマネジメント協会認定アンガーマネジメントコンサルタント®
幼稚園・保育園勤務を経て、2008 年より子育て講座の企画、運営スタッフとして活動。
1000組以上の親子をみてきた経験に、アンガーマネジメント・コミュニケーション心理学を用いた子育て講演や保育士教員研修に定評あり。近年は子育て支援プログラムの導入、個別サポートにも力を入れている。HP

アンガーマネジメントとは?

アンガーマネジメントとは、怒りの感情をコントロールする心理トレーニングのこと

アンガーマネジメントとは、怒りの感情をコントロールする心理トレーニングのことで、1970年代にアメリカで発祥しました。アンガー(anger:怒り)をマネジメント(management:管理)して、怒りの感情を対処するテクニックです。アンガーマネジメントでは、怒りの感情自体を否定していません。怒りの裏側にある、感情(辛い・悲しい等)に目を向けることが大切だと言われています。アンガーマネジメントは、子育てはもちろん、夫婦関係や仕事にも活かせます。

アンガーマネジメントができるようになると、自分で自分の感情を客観視しやすくなります。「自分がどういうことで怒ってしまうか?」という傾向と対処法を知っておくと、子どもに怒りを爆発させずにすむでしょう。

なぜ、怒りが生まれるの?

子育てで忙しい毎日、ただでさえイライラしているママですが、子どものふとした言動に感情が爆発することはありませんか?

例えば、

  • □ 忙しい朝、食卓で子どもが牛乳をこぼした
  • □ 出かける間際になって、「ママ、トイレ~」と言われた
  • □ 前々から言っていたのに、子どもが宿題を終えていない

といった、子どもの言動に怒ったり、イライラしたりするママもいるかと思います。

なぜ、私たちが怒ってしまうかというと、自分が信じている理想が、裏切られたと感じてしまうから。子育てに当てはめると、親が「〇〇すべき」と思っていることを、思い通りに子どもが行動しないために、怒りが生まれてしまいます。
「牛乳はこぼさずに、きちんと飲むべき」「トイレを早めに済ますべき」「宿題を早くすべき」…。親が子どもに対してもつ「こうして欲しい」という理想と現実のギャップによって、「なんでできないの?」と腹が立つのです。この「べき思考」を少し緩めるのが、アンガーマネジメントの方法のひとつ。例えば、「牛乳を少しこぼすくらいならいいか」と許容範囲を広げれば、子育て中のイライラを軽減できるでしょう。

カッとした怒りを静める方法

子育てでやってしまいがちなのは、不必要に怒りすぎてしまうこと。反射的に子どもを怒鳴りつけてしまったことはないでしょうか?
ここでは、子育て中ママにもおすすめの、アンガーマネジメントの実践方法を見ていきましょう。

子育てでやってしまいがちなのは、不必要に怒りすぎてしまうこと。

6秒待つ

アンガーマネジメントで実践しやすいのは、まずカッとしてから6秒をやり過ごすこと。6秒待てば、理性が働くといわれています。深呼吸をして、気持ちを落ち着けるのもいいですね。

怒りのレベルを10段階で点数化する

怒りの感情が生まれたとき、自分がどれくらい怒っているのかを数値化してみましょう。「あの時と比べたら、別にたいしたことないかも?」など、自分の感情を客観視できます。

その場をいったん離れる

イラっとした時は、子どもと少し距離を置いて、洗面台や寝室などへ移動することもおすすめ。その場を離れる時には、また戻ってくることを必ず伝えます。いったんその場から離れてリセットすることで、精神的なゆとりが生まれるでしょう。

魔法の言葉を唱える

「きっと大丈夫」「そんなに怒ることでもない」など、自分が落ち着く言葉を唱えて、怒りを静める方法もあります。アンガーマネジメントでは、この方法を「コーピングマントラ」と呼びます

怒りの内容を記録に残す

「怒りの記録(アンガーログ)」は、自分がどんなことに怒ってしまうのかを客観視するアンガーマネジメントの方法。カッとなった時は、スマホのメモ帳や手帳などを使って「何に対してイライラしたのか?」をメモ。記録に残すことで、自分の怒りのパターンや傾向が分かります。

怒りを爆発させない心構え

「怒る必要がある・そこまで怒らなくてもいい」の境界線を明確にするのも、アンガーマネジメント

許容範囲を広げる話を出しましたが、「怒る必要がある・そこまで怒らなくてもいい」の境界線を明確にするのも、アンガーマネジメント。
食べ物をこぼすことを例に挙げると、食事を床にポロポロこぼしながら食べることが「許容できないこと」。そして、トレーに少しこぼすことは「許容できること」など、自分の中で怒ることの境界線を明確にすれば、無駄にイライラせずにすむでしょう。

また自分がイライラしそうなことの予防策を考えておくのも、子育てに活かせそうなテクニック。子どもが食事をこぼして床が汚れるのに我慢がならないなら、子どもの席の周りに新聞紙を敷いて、汚れてもいいようにしておく…。そんな生活の工夫次第で、子育てのイライラが少しラクになるかもしれません

子どもを、どう叱ればいい?

褒める教育に注目が集まる中ですが、褒めるだけではなく、時には叱ることも必要です。アンガーマネジメントを意識すれば、感情的にガミガミ怒るのではなく、効果的な𠮟り方ができるように。アンガーマネジメントで、上手に怒りを伝えましょう。

例えば、許容範囲を超えてしまった子どもに対して…

リクエストとして具体的に伝える

「ちゃんとしなさい」と叱っても、ママからの曖昧な言葉に、余計に子どもが混乱してしまうことも。「今度は、こうして欲しい」「今度は、こうして欲しくない」などをなるべく穏やかに伝えて、具体的にリクエストします。

解決思考で話をする

感情に任せてキツイ言葉を言ってしまうことも、子育てママの悩みの種。上手に叱れなくて、後悔した経験を持つママもいるでしょう。アンガーマネジメントで意識したいのは、解決策や未来に目を向ける解決思考です。怒りをエスカレートさせて感情に心を支配されるのではなく、「次はどうしたらいいのか?」という視点を持つようにしましょう。

最後に

怒りは、人間にとって当たり前の感情

思い通りにならない子育てに、すっかり疲れ切ってしまうこともあると思います。怒りは、人間にとって当たり前の感情。ですが、感情的になって収拾がつかなくなるまで怒ってしまうと、大切な子どもを必要以上に傷つけてしまうことも。そして、そんな自分自身に対しても自己嫌悪に陥ってしまいかねません。
今回の記事を参考に、アンガーマネジメントを子育てに取り入れることで、不必要なイライラが少しでも軽減されたら嬉しいです。

文:林日向子

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