本当は、子どもの笑顔が見たいのに。家事や育児に追われてしまって、優しい言葉をかけられない・・・そんなママもいるのではないでしょうか?日頃の声がけは、子どもの自尊心に大きな影響を与えます。日本以上に「自立」を大切にするアメリカでは、ママが子どもに対してよく使う言葉があります。今回はアメリカに住む筆者が、アメリカ式の子育てをヒントに、参考にしたいポジティブ・フレーズをご紹介します。
結果だけじゃない!がんばりをほめるポジティブ・フレーズ
I’m proud of you:あなたを誇りに思うよ
アメリカ人はほめるのが上手で、年齢に関係なく、相手をよくほめます。日常の会話でも「Good」や「Nice」と声をかけるのは当たり前。日本人からしたら少々大げさに感じるほどです。
例えば、「I like your smile」など、相手の良いところをごく自然に言葉にして伝えてくれます。こうした文化的な背景もあり、アメリカの子どもはほめられることに慣れています。
日常からほめられていることで、『自分は大切な存在なんだ』と自分を肯定でき、自尊心が育てられるのでしょう。
「I’m proud of you:あなたを誇りに思うよ」という言葉は、子どもが親から言われて嬉しいほめ言葉のひとつ。
子どもにとっては『自分が認められている』という自己重要感を感じられます。そして、『親が幸せそうにしている』という安心感も得られます。
アメリカの学校のテストでは、子ども達全員がトロフィーやメダルなどをもらえるようになっています。順位だけではなく、努力に対しての賞も用意されているそう。たとえテストでよい点を取れなかったとしても、結果ではなく、がんばった姿勢がほめられます。
「I’m proud of you」に近い言葉を日本語で日常会話に使うなら、『やったね!ママも嬉しいよ』でしょうか。もし、テストの結果が良くなくてお子さんが不安そうにしていたら、『がんばったね!ママはすごいと思うよ』など。この言葉を参考にして声をかけてあげてくださいね。
子どもの気持ちを受け止めるポジティブ・フレーズ
I’m listening:ママは聞いているよ
アメリカでアメリカ人の家族と付き合っていて驚くのは、小さな子どもも自分の言葉で堂々と人前で話をするということ。同年代の日本人の子どもと比べて、アメリカ人の子どもは精神的に自立していると感じます。小さな子どもが自分の言葉で話せるのは「幼いころから自立心を養う」というアメリカの育児方針によるものかもしれません。
アメリカでは親が子どもを「ひとりの個人」として接します。朝食では「パンにバターを塗る?ジャムにする?」、着替えでは「今日はどんな服を着る?」など。日常生活の中でちょっとした質問を重ねて、子どもが「自分で考えること」を大事にしています。子どもがうまく話せないときも、親が答えを言うことはしません。そのかわりに、「I’m listening:ママは聞いているよ」と言葉をかけます。
忙しい日々を送っていると、ぐずぐずしている子どもに対して、ついイライラしてしまいがちです。難しいかもしれませんが、まずは子どものペースを守ってあげましょう。『うんうん』とあいづちを打ってあげるだけでも十分です。親に気持ちを受け止めてもらった子どもは、ポジティブな気持ちでいられますよ。
どんなときも愛情が変わらないことを伝えるポジティブ・フレーズ
You are loved:あなたは愛されているよ
日本では、小学校高学年くらいになった頃から、少しずつスキンシップは薄れていきますよね。アメリカでは、年齢にかかわらず子どもをハグしたり、おでこや頭にキスをしたりする文化です。
親から子どもに「I love you:アイラブユー」と声をかけるのは日常茶飯事。アメリカで暮らしていると、アメリカ人はほめ上手なことに加えて、ポジティブな感情表現がダイレクトだと実感します。
愛情表現としては「I love you」がテッパンですが、「You are loved:あなたは愛されているよ」も、子どもに安心感を与える温かい言葉。たとえ子どもが落ち込んでいたとしても、『いつだって自分は愛されている』と実感できるのではないでしょうか。
直接的な愛情表現が苦手だと言われる日本人ですが、恥ずかしがらずに、ぜひお子さんへの愛情を言葉にしてみましょう。『◯◯が大好きだよ』というママの愛情にあふれた言葉が、子どもに愛されている自覚を与えます。そして、子どもの自尊心が自然と育っていくのではないでしょうか。
最後に
今回は、ほめ上手&愛情表現が上手なアメリカのママのポジティブ・フレーズをご紹介しました。「自分を愛する」という子どもの自尊心は、『ありのままで愛されている』という愛情によって高められます。日本式子育て、アメリカ式子育ては違いがあり、それぞれに良い部分があります。普段使い慣れない言葉かもしれませんが、良いところはどんどん参考にして取り入れてみてくださいね。
文:林日向子