片づけの意外な効果!子どもの考える力、決める力を育てよう

片づけの意外な効果!子どもの考える力、決める力を育てよう

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おうち時間が増え、子どもが遊んだオモチャが出しっぱなしで、「片づけなさい!」と怒ることが増えていませんか?片づけは、空間を綺麗にすることだけが目的ではありません。片づけは、生きていくうえで大切な考える力、決める力を養います。
片づけを少し違う視点から考えながら、お子さんと一緒に取り組んでみませんか?

あさおかまみ

筆者:あさおかまみ
愛知県名古屋市出身。大学で建築を学んだ後、設計事務所に就職。結婚後、1999年一級建築士取得。住宅の設計・現場管理に約9年携わる。出産を機に休職し、5年程、家事育児に専念する中で、家の設計以上に「暮らしの設計」こそが幸せに繋がることを実感。2014年にライフオーガナイザーを取得。現在は、家庭の片付けサポート、新築・リフォーム前の間取り相談、片付け講座、工場5S(整理整頓)指導、大学非常勤講師(住宅設計)を手がける。
HP:https://kura-sing.com/
instagram:@2mami20

片づけは選択するトレーニング

物も情報もあふれる現代。たくさんの物や情報と、うまく付き合えていないと感じている方は多いのではないでしょうか

物も情報もあふれる現代。たくさんの物や情報と、うまく付き合えていないと感じている方は多いのではないでしょうか。

私たちは、1日に35,000回の選択をしているというデータがあります。物事を選択するためには、自分なりの基準や、先を見通す力が必要です。

片づけのスタートは、物を選ぶこと。自分にとって必要かどうか?好きかどうか?それを選ぶことで、どんな気持ちになるのか?どんな影響があるのか?何かを選択することは、思考や気持ちと深くつながっています。

子どもは成長するにつれて、好みが出てきます。洋服の好みが親子で合わない話は、よく耳にします。もし、自分が選んだ服を誰かにダメ出しされたら悲しいですよね。それは子どもも同じ。
これがイイ!と選べるのは、思いがあるから。ぜひ、なぜ選んだのかを聞いてあげてください。好きな物を毎日手にできたら心が満たされます。なんとなく選んだ思いのない物は、大切にする気持ちが生まれにくく、すぐ飽きてしまいがちです。

お子さんの物を片づける時、捨てる物を選ばせていませんか?片づけの時は、好きな物、必要な物を選ぶようにしましょう。選んだものに対しては、否定せず受け取ってください。

片づけは、日常にある選択のトレーニング。物が多すぎると、選ぶのに負担がかるので、選びやすい適正な量に。親は、子どもが選択しやすい環境を整えてあげましょう。

また、お子さんと片づけをする時に、気をつけたいポイントがあります。それは、親が片づけて欲しいタイミングでやらないこと。親子とも、気持ちの余裕がある時に。イライラして最終的に怒ってしまうと、片づけが嫌なことになってしまいます。

片づけで決める力を育む

物を選んだら、次にアクションが必要です。「好きなぬいぐるみだから、飾っておきたい。」「大切な物だから、宝箱に入れておく。」どうするかを決めないと片づけは進みません

物を選んだら、次にアクションが必要です。「好きなぬいぐるみだから、飾っておきたい。」「大切な物だから、宝箱に入れておく。」どうするかを決めないと片づけは進みません。

もう使わなくなったのに、どうするか決められずに置き去りになっている物はありませんか?片づかないのは、決断の先送りでもあるのです。子どもたちは、この先、さまざまな決断を迫られます。小さな決断も、その結果は自分が責任を負うことになります。日常の片づけは、決める経験を積むチャンス。

部屋に転がっているお子さんの物を「どうしたい?」と問いかけてみてください。すぐに答えが出ない時は、選択肢を用意してあげても良いですね。それも難しいようなら、一緒に考えてみてください。

片づけというと、空間を綺麗にすることに意識が向いてしまいがちですが、それより大切なのは、片づけのプロセスにある「考える行為」です。

何をどれだけ所有して、どこへどうやって収納すると良いのか?答えは一つではありません。この場所に片づけようと決めても、うまくいかないかもしれません。それは、ダメなことではなく、また別のやり方を決めて、やってみたら良いのです。別の棚にしてみようか、箱の中に入れてみようか…決めたことができなくても、違う方法があることを学べるチャンス。

片づけのサポートに伺い、お子さんと一緒に片づけをすると、どの子も自分が必要な物を選び、どうするのか決められます。横で、お母さんが「高かったのに!」なんて事情を言うことも。もちろん、私も経験あります。親も一緒に、決める経験を重ねる機会と思って、付き合ってみてはどうでしょう。

収納は頑張らない方法にする

多くの情報の中には、さまざま収納術もあります。片づけは生活に必要な行為ですが、空間を美しくするためより、暮らしやすくするのが目的

多くの情報の中には、さまざま収納術もあります。片づけは生活に必要な行為ですが、空間を美しくするためより、暮らしやすくするのが目的。探し物がない、すぐに物が出し入れできる、家族の誰でも片づけられる、というのが理想です。

お子さんと暮らす生活空間の中で、いつもスッキリと片づき、綺麗な状態を目指すのは難しいこと。それより、散らかっていても、片づけようと思った時に、無理なく片づけられることを目標に。そのためには、物の量や収納方法を考える必要があります。

「片づける」は、物を元の場所に戻す行為。物を出すことは、必要に迫られた時や、欲求や興味関心からの行動なので、赤ちゃんでもできます。一方、戻すことは、学習しないとできるようになりません。

「片づいている」と感じる状態が、家族で違う経験はありませんか?それは人によって、特性の違いや、習得の差があるから。違うのは当たり前で、違って良いのです。
誰かのやり方を押し付けるのではなく、相手もできるよう歩み寄ることも片づけには必要。できるだけ「簡単に戻せる収納にすること」が、お子さんや、片づけが苦手な人も無理なくやれるコツです。

元に戻しやすい方法を考える

では、実際のわが家のラク収納の事例を紹介します。まずは、息子の服の収納です。

小学生になって個室を与えた際、服は衣装ケースの引き出しに入れるようにしました。引き出しごとに、トップス、パンツ…と種類に分けて収納。引き出しを開けたら見てすぐ分かるように、畳んだ服は立てて並べて入れるようにしました。一般的には、お手本のような収納の形です。

ところが息子は、洋服を出したら引き出しは開けっ放し。出した時に、並んだ服がぐちゃぐちゃになっても気にしない。自分で元に戻す時は、一つの引き出しに一緒に入れてしまう…と、全くルールを無視。

そこで私は、できないことをさせるのではなく、簡単にできる方法に変更。閉められない引き出しは無くして、オープンの棚に箱を並べて、服は放り込むだけに!また、少々グチャグチャでも、できるだけ探さなくても済むように、子どもと服の分け方を考え、枚数も絞りました。

できない方法をやめたことで、私が余計なストレスを感じることが減りました。

実際のわが家のラク収納の事例を紹介します

そして、わが家の食器棚。オープンの棚に食器を並べているので、扉を開けたり閉めたりする必要がありません。食器は、種類の違う皿を重ねないようにし、棚板の間隔もゆとりがあるので、出すのも戻すのも楽です。よく使う食器しか棚に並べていないので、ホコリも気になりません。(個人差はありますが…)
収納は綺麗さを目的にするよりも、いかにラクに戻せるかを考えると、頑張らない片づけに近づきます。

最後に

親自身も、できない片づけに困っていることがあると思います。
片づけられない物は、なぜ必要と思って選んだのですか?たくさんの物の中で、なぜそれに決めましたか?どんな時に、それを選んで使いますか?どこに収納すると使いやすいですか?考えて、一つ一つ、答えを出して行動してみてください。

片づけの方法は、たくさんあります。自分がやりやすい方法を選んでやってみる。うまくできなかったら、違う方法を試してみましょう。

素敵!使いやすそう!と選んで買ってみたものの、やっぱり違うなんてこともありますよね。それを、持ち続けるのか?手放すのか?どちらかを選んで決める。暮らしが快適になる方は?気分が上がる方は?考えてみましょう。

「ちょっとやってみよう」という気持ちになってもらえましたか?
綺麗な見た目にとらわれず、お子さんの生きる力を育む機会と捉えて、ぜひ取り組んでみてくださいね。

文:あさおかまみ

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