子どものやる気がない、集中力がない、イライラしている、体調がすぐれない・・・ひょっとしたらその不調は冷えのせいかもしれません。本来、子どもは大人よりも体温が高いですが、最近では子どもの冷え性や低体温性が増えているといわれています。要因として現代社会の環境の変化もあげられますが、その中で何ができるか。簡単チェックとおうちでできる改善法をご紹介します。
子どもの冷え性簡単チェックリスト
「冷え」と言っても、本人に自覚がなく、端から見ても分からないことが多いもの。子どもが冷えているのかどうか、まずは、以下に当てはまるものがないかチェックしてみましょう。
- □ 平熱が36.5度未満である
- □ エアコンの効いた部屋にいることが多い
- □ 外で遊ぶよりも、室内で遊ぶことを好む
- □ 寝起きが悪く、なかなか起きてこない
- □ 手足やお腹が冷えている
- □ 顔色が青白い
- □ 風邪をひきやすい、体調を崩しやすい
- □ 落ち着きがなく、イライラしている
- □ やる気がない、無気力、ぐずぐずする
当てはまるものが多い場合は、冷え性の可能性が高いかもしれません。昔と比べて格段に便利になり、生活様式が変わった現代。
冷暖房が完備され、便利な生活で体を動かす機会が減り、テレビやゲームをする時間も増えています。夜更かしをする子、朝ご飯を抜く子も多くなってきました。
これによって、血流の低下や自律神経の乱れが起こり、子どもの冷え性が増えているといわれています。
自律神経は、人間の体に備わっている自動制御装置のようなもの。日中の活動モードでは交感神経が優位になり、夜にはリラックスモードの副交感神経が優位になります。
本来であれば、体温を含む体の調整も自律神経が自動的におこなってくれるはず。しかし、食事・運動・睡眠などの生活習慣の乱れや過度のストレスが原因で、大人も子どももこの調整が難しくなっています。
体のリズムを整えて冷え対策を
現代は、室内と室外の気温の差が大きい生活環境です。特に小さな子どもの衣服は体温調整がしやすいように、汗をかいたら脱ぐ、寒くなったら一枚着る、ができるように工夫しましょう。
そして、大人の冷えも子どもの冷えも、自律神経を整えることが大切です。まずは、食、運動、睡眠で生活リズムを整えること。生活リズムの乱れは自律神経を乱し、体にさまざまな不調をもたらします。
一日の体温は同じではなく、朝方には最も低く、徐々に上がって、起床から11時間後の夕方にピークがきます。このメリハリをきちんと作ってあげることで体のリズムを作りやすくなります。そのためにできることとしては、
<朝の習慣>
- 朝起きたらコップ1杯の水を飲み、体の循環を促す
- 太陽の光を浴びる
- バランスのよい朝ご飯を食べる
<昼の習慣>
- 体を動かして体温をあげる
<夜の習慣>
- 強い光を浴びない
- 寝る前に頭を活性させてしまうスマホやゲームを避ける
食事・運動・睡眠が生活リズムのすべてに繋がっていきます。そして、子どものためにすぐにできることとして、食生活、特に朝ご飯のとり方が大切なポイントになります。
朝ご飯で1日のリズムをつくる
文部科学省の推進する「早寝早起き朝ごはん」運動もあるように、子どもが一日元気に過ごすカギは朝ご飯にあります。その理由として、以下があげられます。
<体をしっかり目覚めさせる>
人間は、目から入る光で脳の体内時計を、食べ物によって内臓の体内時計を動かして体に朝を伝えます。朝ご飯を食べて、目覚めさせてあげること。そして、しっかり嚙んで食べることは覚醒のホルモン「セロトニン」もつくり出します。
<日中の活動のエネルギーをつくる>
脳のエネルギー源となるのは「ブドウ糖」。エネルギー源が不足してしまうと、集中力がなくなり、頭も働かなくなってしまいます。また、朝ご飯を抜いている子どもは体温が低いというデータもあります。体温を作るのは食事と運動。朝ご飯をしっかり食べて、体温をつくることが大切です。
<夜の眠りの材料をつくる>
朝起きて、14時間~16時間後に睡眠のホルモンである「メラトニン」が分泌されます。
メラトニンの働きによって眠気がおきて、深い眠りに誘われます。そして、このメラトニンの材料をつくるのが食事。
メラトニンをつくるためには、必須アミノ酸の「トリプトファン」を食事からとる必要があります。トリプトファンは、豆類、魚、卵、穀類などに多く含まれ、ビタミンB6と一緒にとることで脳内での合成がおこなわれます。
トリプトファンが「セロトニン」になり、セロトニンが夜になるとメラトニンに変わるというプロセス。朝ご飯を抜いてしまうと、夜の睡眠の質まで下げてしまいかねません。
つまり、朝ご飯では炭水化物だけでなく、タンパク質やビタミンなど、バランスのとれた食事をとることが、快眠のコツ。それが、自律神経をととのえ、温められる体をつくります。
今日からできる体を温める食事法
大人も子どもも体を冷やさないために、まずは冷たいモノをとり過ぎないこと。そして、内側からあたためるために、栄養をしっかりとることが大切です。
<腸内環境から自律神経を整える>
腸の働きには自律神経が大きく関わっています。腸が本来の機能を発揮できなければ、食べた物を消化・吸収することができず、栄養を体のすみずみまで届けることができません。
腸のためにおすすめなのが「発酵食品+食物繊維」。善玉菌の栄養源になる納豆、ヨーグルト、キムチ、味噌が腸内環境を整えます。そして、野菜をたっぷりとることで腸内の善玉菌を増やし、便をつくります。
<体を温める食べ物をとる>
体を温める食品として有名なのは生姜ですが、それだけではありません。冬が旬の野菜、根菜類や発酵食品は体をあたためるものが多いです。
●体を温める食品例
タマネギ、ニンニク、ニンジン、カボチャ、シナモン、鮭、鶏肉、エビ、玄米、納豆、キムチ、唐辛子、黒砂糖など
夏が旬のものや南国育ちの食べ物は体を冷やす食品が多いのでとり過ぎないように注意しましょう。
●体を冷やす食品例
トマト、ゴーヤ、なす、キャベツ、レタス、ほうれん草、スイカ、メロン、パイナップル、緑茶、白砂糖など
冷やす食品を食べる時は、調理に工夫をしてみましょう。体を温める食品と合わせたり、温める調味料である味噌・しょうゆ・黒砂糖、スパイスなどを使ったりするのがおすすめです。
(注:刺激の強いスパイスは子どもの消化器官がつくられる10歳以降にしましょう)
最後に
子どもの冷えを改善するために、基本となってくるのは毎日の生活習慣。食事・運動・睡眠、全て大切です。何から始めたらよいか分からない・・・という場合は、まずは朝ご飯から変えてみてはいかがでしょうか。バランスのよい朝ご飯をしっかり嚙みながら食べて、お子さんが笑顔で1日をスタートできるようにサポートしてあげてくださいね。
※当サイトにおける情報の提供は、診断・治療行為ではありません。診断・治療を必要とする場合は、適切な医療機関での受診をおすすめします。
文:三輪田理恵(上級睡眠健康指導士/
先端医科学ウェルネスアカデミー代議委員)