小学生・中学生・高校生向けの塾は、個人塾から大手が運営するものまでさまざまです。最近ではオンライン授業に対応する塾も増えており、塾選びの選択肢も広がっています。
塾に通わせる際に親として気になるのは、塾にかかる費用ではないでしょうか。ここでは、塾にかかる平均費用について解説します。
子どもの塾の費用、平均は?
文部科学省が隔年で実施している「子供の学習費調査」には、保護者が1年間に支出した子どもの学習費の総額が公表されています。(※1)
令和3年度の調査から、学習塾にかかる費用を学年別にまとめたものが以下の表です。
小学生 1年間の学習塾費 (単位:円)
公立小学校 | 私立小学校 | |
平均 | 81,158 | 273,629 |
第一学年 | 31,181 | 171,797 |
第二学年 | 33,365 | 127,924 |
第三学年 | 54,172 | 208,636 |
第四学年 | 81,635 | 303,449 |
第五学年 | 125,821 | 433,441 |
第六学年 | 155,013 | 405,057 |
中学生 1年間の学習塾費 (単位:円)
公立中学 | 私立中学 | |
平均 | 250,196 | 175,435 |
第一学年 | 156,032 | 126,795 |
第二学年 | 203,859 | 181,436 |
第三学年 | 389,861 | 219,276 |
高校生 1年間の学習塾費 (単位:円)
公立高校 | 私立高校 | |
平均 | 120,397 | 171,149 |
第一学年 | 80,674 | 110,873 |
第二学年 | 107,774 | 179,923 |
第三学年 | 170,790 | 225,035 |
<令和3年度子供の学習費調査より/文部科学省>
上記の学習塾費に含まれるのは、毎月の授業料や模擬テスト代、教材費などです。
各学年で異なりますが、公立と私立でも大きく差があることが分かります。
公立の場合、小学校から高校の間で最も塾の費用がかかるのは、中学3年生です。年間389,861円、毎月に換算すると32,488円をかけています。
一方私立の場合は、小学5年生です。年間433,441円、毎月の支出としては36,120円です。(※1)
公立中学の場合、高校受験に備えて塾通いをする場合が多く、受験対策により中学3年生は最も費用がかかるようです。
私立小学校の小学5年生の塾費用が高いのは、中高一貫校の中学受験に向けて塾通いをするためだと考えられます。首都圏を中心に中学受験する小学生は増えており、塾通いも盛んになっているようです。
中学生の塾代はいくらかかる?
令和3年度の学習費調査によると、中学生の塾代は、公立中学で年間平均約25万円、私立中学で約18万円です。(※1)
ただしこの金額は、塾に行かない場合も含めた平均額。塾に1円以上支出がある場合の年間平均額を見ると、公立中学35万6000円、私立中学32万6000円。塾に行く場合には、年間32万円~36万円くらいかかると考えられます。
中学生は、私立よりも公立中学の方が塾にお金をかけているようです。
私立中学は中高一貫校が多く、そのまま進学する場合には高校受験をしないため、塾に行かないことも多いのでしょう。塾代0円の割合が、私立中学では約5割です。
中学生の年間学習塾費の分布
<令和3年度子供の学習費調査より/文部科学省>
高校生の塾代はいくらかかる?
高校生になると、行きたい大学や具体的な進学先を見据え、受験のための塾に通う人もいることでしょう。
文部科学省の学校基本調査によると、大学への進学率は60.4%と過去最高の水準となっています。(※2)
進学率は年々上昇している傾向にあるようです。
高校生の塾代を見てみると、令和3年度の学習費調査では公立高校の年間学習塾費は約12万円、私立高校は約17万円です。金額分布を見てみると0円の割合が、公立高校66.8%、私立高校61.7%と最も多く、半数以上は塾に通っていないことが分かります。
一方、1年間で1円以上を塾代に使っている場合に限定すると、年間40万円以上の割合が最も高く公立高校で11.6%、私立高校で16.7%。
塾に通う人のみの年間の塾代の平均額は、公立高校で36万3000円、私立高校で44万7000円です。(※1)
大学受験の塾に通うなら、年間36万円~45万円くらいの支出を覚悟した方がよさそうです。
高校生の年間学習塾費の分布
<令和3年度子供の学習費調査より/文部科学省>
小学生の塾費用の平均は?
最近では小学生のうちから、塾に通うのも珍しいことではありません。
学習費調査によると、公立小学校では約4割、私立小学校では約7割が塾にお金をかけています。(※1)
ただし、公立小学校と私立小学校で塾にかける費用にも差があるようです。
公立小学校の年間の塾費用の平均額は、約8万円、私立小学校は約27万円と、3倍以上の差があります。
公立小学校は私立小学校よりも塾に行かない割合が高いため、全体平均ではこのような差があると考えられます。
塾にお金をかけている場合の平均額をみると、公立小学校約21万円、私立小学校約38万円です。
公立小学校1年生の塾にかける費用は比較的低いものの、家での学習にかかる費用である家庭内学習費が32,175円。公立小学校の他学年の家庭内学習費は1万円台であるのに対し、1年生の時は3万円台と最も高い水準です。
塾には行かずに、まずは子どもの成長に合わせて学習するための教材や図書を買うなどして家庭内で学習習慣を立てているケースも多いのかもしれません。
小学生の年間学習塾費の分布
<令和3年度子供の学習費調査より/文部科学省>
塾の費用は、家計のいくらまで?
ここまで塾の費用について見てきましたが、家計の中で塾にどのくらいお金をかけられるかは家庭の経済状況によって様々です。
文部科学省の調査によると、世帯の年収があがるにつれて学習塾にかける費用も多くなる傾向にあるようです。
世帯の年間年収が400万円未満の場合、学習塾を含む補助学習費にかける平均金額は公立高校で9.9万円、私立高校で14.7万円です。
一方、世帯の年間年収が1,200万円の場合は公立高校で平均36.1万円、私立高校は49.4万円です。(※1)
家計に占める割合を換算すると、以下の通りです。
●年収400万円世帯の場合
公立高校…2.5%
私立高校…3.6%
●年収1200万円世帯の場合
公立高校…約3%
私立高校…4.1%
家計のうち3%とした場合、月30万円の収入のうち9,000円の塾代というイメージです。
家計のうち学習塾にどのくらいまでをかけるかは年収や環境によっても異なります。
他の習い事との兼ね合いや、子どもの成長に合わせてその都度家庭内で話し合っておくと安心ですね。
最後に
今回ご紹介した塾代は、あくまで平均値です。どのくらいまで学習費として支出するべきか、家庭環境や年収によってかける金額はさまざま。教育費と言っても学習塾のほかに習い事などの費用もあります。子どもの進学や成長に応じて、家庭内でその都度話し合って決めていけるとよいですね。
文:中村美帆
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中村美帆(なかむら みほ)
出産を機に金融機関を退職後、ママファイナンシャルプランナーとして独立する傍ら、カラダとココロの健康をテーマにヨガ講師・おやつ講師として活動。地産地消にこだわった親子おやつ教室や児童施設でのキッズヨガ教室など子育て支援にも携わる。
また、地元のお茶農家と連携したお茶ブランドTEA BASE「三重県産デカフェ茶」の企画販売を手掛け、地域で地元経済を応援する仕組み作りを目指して、多方面にて三重の魅力を発信中。三重県出身。三児の母。
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