「ファミリー・サポート(略称:ファミサポ)」という制度、聞いたことはありますか?
育児などでサポートを受けたい人、サポートをしたい人が登録をして、地域で子育てを助け合っていくしくみです。
この制度は、厚生労働省の発案でつくられ、設立・運営は市区町村でおこなわれています。平成17年度にスタートし、平成29年度には863市区町村で実施。各地で広がるファミリー・サポートですが、具体的にどう活用されているのでしょうか。今回は愛知県長久手市のファミリー・サポートの事例をご紹介します。
ファミリー・サポートってどんなしくみ?
出典:厚生労働省ホームページ
ファミリー・サポートは、仕事や急な用事で子どもの世話ができないとき、子育てを助け合う有償ボランティアです。主に小学生までのお子さんをもつ方に利用され、全国の自治体でおこなわれています。(対象児童、料金は自治体によって異なります)
ファミリー・サポートは、育児などでサポートを受けたい「依頼会員」と支援したい「援助会員」で成り立ちます。依頼会員からの援助の申し入れを受けて、アドバイザーが援助会員に打診。双方のマッチングをおこなっていきます。
<活動内容の例>
- 保育施設等までの送迎を行う。
- 保育施設の開始前や終了後又は学校の放課後、子どもを預かる。
- 保護者の病気や急用などの場合に子どもを預かる。
- 冠婚葬祭や他の子どもの学校行事の際、子どもを預かる。
- 買い物等外出の際、子どもを預かる。
- 病児・病後児の預かり、早朝・夜間等の緊急預かり対応(長久手市は病児・病後児は対象外)
<実施市区町村数> 平成29年度実績
- 基本事業 863市区町村
<会員数(平成29年度末時点)>
- 依頼会員(援助を受けたい会員) 57万人
- 援助会員(援助を行いたい会員) 13万人
長久手市、ファミリー・サポート登録講習会に潜入!
2月22日(土)愛知県長久手市「ながくてエコハウス」でおこなわれたファミリー・サポート会員登録講習会に編集部がうかがったので、その様子をご紹介します。
開始前のファミリー・サポート会員登録講習会場、このあとすぐ満席に。
講習会開始前、会場に集まっていた方に参加の理由を聞いてみました。
- Fさん(30代・女性/子ども1歳、3歳)
今は育児休暇中ですが、4月から職場に復帰することもあり、頼れるところがあれば準備をしておきたいと思い、話を聞きにきました。 - Sさん(40代男性/子ども2ヶ月/夫婦2名で参加)
夫婦ともに県外出身で近くに頼れる人がいない状況です。今年の冬に妻が職場復帰しますが、勤務先への通勤が片道2時間弱かかるので、前向きに利用を検討したいです。 - Iさん(30代女性/子ども5歳、9歳)
今すぐ使うというよりも、もし頼れそうなら頼りたいと、まずは情報収集をしたいと思い参加しました。
ファミリー・サポートの資料と合わせて、子育て中の方に役立つ資料も配付されました。
長久手市の登録講習会は年6回開催されています。この日の開始時間は10時でしたが、30分前から続々と人が集まり、あっという間に満席に。定員45名の会場で席が足りなくなり、椅子を追加して増席。52名(女性42名、男性10名)の方が参加し、真剣にお話を聞かれていました。
今回参加の方のうち、45名は依頼会員で登録、6名が両方会員(依頼会員と援助会員)での登録をされたそうです。
講習会は通常2時間程度でおこなわれますが、新型コロナウィルス拡大が懸念される時期だったこともあり、1時間弱に短縮して進められました。
<講習会の流れ>
- スタッフの紹介
- ファミリー・サポートのしくみ
- 活動の流れ
- 事故傷害補償について
担当者に聞いた!ファミリー・サポートの実情
長久手市で、ファミリー・サポートのコーディネートをおこなう担当スタッフの方に、詳しいお話を聞いてみました。
- 編集部
- 長久手市のファミサポの会員数はどのくらいいますか?
- 担当者
- 今年でサービス開始から18年目になりますが、援助会員さんが約80名、依頼会員さんが約600名、両方会員さんが約150名。3名の専属スタッフがアドバイザーとして、依頼会員さんと援助会員さんをマッチングしています。
- 編集部
- 援助の依頼に対してのマッチングはどのくらいですか?
- 担当者
- 2019年は約140件マッチングしました。
みなさん困って依頼して下さっているので、何とかマッチングできるようにアドバイザーが頑張っています。マッチング率は9割~9.5割です。
- 編集部
- 依頼会員さん、援助会員さんは、それぞれどんな方が多いですか?
- 担当者
- 依頼会員さんで圧倒的に多いのは、共働きのご夫婦です。専業主婦でも、外出するときや、出産に伴うご依頼もあります。
援助会員さんは子育てが落ち着いている年代の方が多いですが、幅広く登録してくださっています。0歳児がいるママでも両方会員として登録し、援助してくださる方もいますよ。
登録講習会への参加者、特に依頼会員の登録数が年々増えています。ただ、講習会に参加された方がすぐに援助の依頼をするというよりも、何かあった時のお守り代わりに登録されている場合も多いですね。
地域で助け合う子育てのあり方
めまぐるしく変わる社会情勢、少子高齢化など、子育ての課題も時代とともに変化しています。自治体、企業、NPOなど…さまざまな団体が子育て支援をおこなう中で、ファミリー・サポートは地域で支え合う子育てを実現する一つのカタチです。
中部電力では、2020年1月より長久手市限定の実証実験として「子育て支援アプリ」のサービスを開始。今回取材に伺ったファミリー・サポート会員登録講習会など、行政の行事や各種施設で開催されるイベントをご紹介しています。地域での子育てを支え、人と人をつなぎ、きずなをつくっていく。そんなアプリにしていけるよう、皆さんの声を取り入れて、よりよいサービスに進化させていきます。ぜひ、ご期待いただきながら、ご利用ください。
長久手市の子育てに関連する情報を集めて配信する「子育て支援アプリ」の詳細はコチラ
文:三輪田理恵 撮影:三輪田理恵