年収1,000万円の家計のやりくり!夫婦別財布で老後資金を貯める

年収1,000万円の家計のやりくり!夫婦別財布で老後資金を貯める

共働き家庭でも、老後資金に漠然と不安を抱える家庭は少なくありません。家計に関する悩みは、家族構成や住環境などによって人それぞれですよね。ここでは、世帯年収1,000万円、共働きで子どもが1人、夫婦別財布の家庭の家計を診断し、アドバイス。
2児の母でもある現役ママファイナンシャルプランナーの中村美帆さんが、家計管理・やりくりのコツを解説します。

中村美帆(なかむら みほ)

ファイナンシャルプランナー:中村美帆さん
「年収はある方なのになぜかお金が貯まっていかない」「自分に合った貯蓄法が定まっていない」など、収入の割に貯金ができないという話もよく耳にします。子どもの教育費のほか、セカンドライフを楽しく過ごすための老後資金などを準備するためにも、共働きで収入の多い今こそ貯める仕組み「貯め体質」を作っていくことが大切ですよ。

今回のお悩みと家計の現状

夫婦別財布。今は収入の範囲内でやりくりできているけど、この先不安…そんな漠然とした不安を抱えている方も多いかもしれません。

夫婦別財布。今は収入の範囲内でやりくりできているけど、この先不安…そんな漠然とした不安を抱えている方も多いかもしれません。
今回ご相談いただいたのは、お子様1人の3人家族・夫婦共働きの佐藤さん(仮名)。
お伺いした家計内容を例に、診断ポイントや改善点をチェックしていきましょう。
あなたの家計にも当てはまる共通点が見えてくるかもしれません。

◇家族構成
夫(会社員)
妻(自営業)
子ども(小学2年生)

◇手取り月収(合計45万円)
夫 30万円/月(ボーナス除く)
妻 15万円/月

◇1ヶ月の生活費(合計42.9万円)
食費:7万円
日用品費:2万円
水道光熱費:1.5万円
居住費:住宅ローン返済7万円+マンション維持費2.5万円
通信費:1万円
保険料:5千円/月+年契約30万円(学資保険)
教育費:学校6千円、習い事2.5万円
ガソリン・交通費:3千円(車なし、コロナ禍で外出は月2回程度)
交際費:2万円
お小遣い:6万円(夫4万円、妻2万円)
貯蓄・予備費10万円(冠婚葬祭や行事ごと、税金支払いなどに充てる費用含む)

◇保有金融資産
夫の確定拠出年金
妻の小規模企業共済
学資保険
終身保険
現預金

今回のケースと同じ子育て中の夫婦共働き家庭の家計相談は、実際に多いです。共働きの場合、夫婦別財布で管理しているという家庭も多いでしょう。

佐藤さんの家計は、お互いに収入もあり、一般的に見ても余裕のある家計です。
ただご本人たちは、夫婦別財布であること自体にはそれほど不便さは感じていないものの、貯蓄に対して漠然とした不安を抱えているそうです。

学資保険や確定拠出年金なども活用しており、佐藤さんの家庭の家計内容は、一見、将来に対して準備万全に思えます。しかし収入が多くても、同様の悩みを抱える方からのご相談は多いです。
まずは、現状の家計内容の問題点を探ります。

家計の費目別やりくりアドバイス

現状の家計を見る限り、収入の範囲内で支出も管理できており、大きな問題点はありません

現状の家計を見る限り、収入の範囲内で支出も管理できており、大きな問題点はありません。費目ごとに、さらに上手にやりくりしていくためのポイントをアドバイスしていきます。

食費

共働きだと食費は高くなりがちです。
しかし夫婦で納得していれば、無理に食費を抑える必要はないでしょう。食費を無理に削ろうとして生活にストレスがかかってしまっては逆効果です。
節約するところはしっかり抑え、価値のあることや満足度の高いものに対しては支出を我慢しないのも、快適な生活を送る上で大事なポイントです。

固定費

維持費がかかる車を持たず、公共交通機関やレンタカーなどをうまく利用して固定費をカットできています。生活に不便を感じないのであれば、車を持たないという選択肢は固定費の削減になります。家計の節約には、非常に効果的です。

教育費

お子さまの教育費については学資保険で将来の学費にもしっかり備えていますね。また、習い事への出費は子どもや家族にとって価値のあることと捉えて支出している様子がうかがえます。

将来への備え

夫婦それぞれで確定拠出年金や共済を活用しているところが高評価。共働きの場合は、ご夫婦それぞれで準備しておくことでセカンドライフへの備えが手厚くなります。

夫婦別財布なら話し合いを

夫婦別財布とのことですが、定期的に話し合ったり見直したりしているという佐藤さんご夫婦。別財布だからこそ、ライフスタイルの変化に応じた支出の見直しや意見交換が必要です。

改善点は、貯金できる仕組みづくり

家計簿を見る限り、支出が多すぎる費目などは見当たりません。むしろ、固定費を抑えてうまく節約しているという点ではとても優秀な家計です。毎月のやりくりも収入-支出は45万円-42.9万円とおおむね黒字家計です。
「支出面」については言うことなし、と言ったところです。

ただ、佐藤さんの悩みでもある「将来の不安」を解消するために、「貯蓄の仕組み」について今一度見直す必要がありそうです。
佐藤さんの家計の場合、どのような仕組みを作っていくべきか、具体的にポイントを挙げてみました。

貯金の仕組みづくりには色分けを

将来への不安を減らすには、「冠婚葬祭などの出費に回すお金」と「将来の貯蓄に回すお金」とで貯蓄の中身も色分けをするのがおすすめです

将来への不安を減らすには、「冠婚葬祭などの出費に回すお金」と「将来の貯蓄に回すお金」とで貯蓄の中身も色分けをするのがおすすめです。

家計上、毎月10万円を貯蓄にまわしており、金額的には多いです。しかし佐藤さんは、この貯蓄の中から、行事ごとや子どもの合宿や発表会などの出費を捻出しているといいます。毎月貯めると同時に、毎月何かしらのイベントや税金支払いなどで、貯蓄分からの出費が多いと考えられます。その結果、「貯めていても貯まっている気がしない」という不安な気持ちが生まれているのではないでしょうか。
税金支払いや子どもの合宿・発表会など、定期的にかかる出費については、「出費用の貯蓄」として分けておきましょう。例えば、固定資産税の支払いや発表会などで年間およそ20万円の出費が見込まれるのであれば、毎月10万円の貯蓄費のうち、月2万円は支払い用、残り8万円は純粋な貯蓄用と、貯蓄の中身を色分けすることをおススメします。
貯蓄が「見える化」され、しっかり貯まっていく金額が見えるため、「貯蓄もしっかりできている」という実感もわくはずです。

不安解消には「ライフプラン」を

どれだけ貯蓄をしていても不安が消えない原因は、貯蓄の目的が定まっていないからかもしれません

10年先までのライフプランを立てると、漠然とした将来の不安が解消できるかもしれません。これから先の教育費や見えない出費。お金の心配は尽きないと考えている方も多いのではないでしょうか。
どれだけ貯蓄をしていても不安が消えない原因は、貯蓄の目的が定まっていないからかもしれません。

貯蓄の目的で大切なのは、

  • いつまでに
  • 何のために

を定めることです。

家庭にあったライフプランを立てることで、必要な貯蓄額が明確になります。

夫40歳414243444546474849
妻35歳363738394041424344
子8歳91011121314151617
イベント発表会・
旅行
発表会海外旅行・
冷蔵庫買替
中学入学・
発表会
旅行・
子どもの
短期留学(仮)
洗濯機
買替
高校入学
準備額
(万円)
1058020701020計225万円

上記はライフプランの一例です。
老後、20年30年先までとなると計画を立てるのは難しく感じるかもしれませんので、まずは5年や10年先のライフプランを立ててみましょう。
2年に1回は旅行に行きたいと思っていても、前後で大きな出費があるなら近場での旅行にしようというように、先の見通しを立てることで家計に無理なくイベントを立てることもできます。
家電製品はおよそ10年を目途に買替えを見込んでおくことで、直前で慌てる心配がなくなります。
上記のライフプランでは、5年後に80万円と大きな出費があります。5年間で80万円を貯めるために年間(80万円÷5年)16万円、いまから毎月1.3万円を貯めなければなりません。毎年ある税金支払い等の準備金にプラス1.3万円を貯蓄すると、5年後のイベントに備えられます。

ライフプランはあくまでプラン(計画)。定期的に見直し、家族で意見や価値観を共有していくことが大切です。
佐藤さんの場合は定期的に家計について話し合いも行っているので、その中にライフプランの計画も加えていただくとよいかもしれません。
簡単に、手書きでもパソコンでも思いつくイベントを書き込んでいき、そこからブラッシュアップしていきましょう。
ライフプランを立てておくと、将来の支出が見える化でき、それに向けて貯蓄をしているという実感もわいてきます。漠然とした不安をなくすには、ライフプラン立てはとても効果的なのです。

まとめ

ライフプランなどの計画性をもって家計と付き合い、やりくり上手になっていきましょう

まとまった教育資金や老後資金は、短期間で貯められる金額ではありません。長期的な将来への備えをしながら、目先の税金支払いや冠婚葬祭・旅行費用など、使うための貯金も必要。いずれにしても長い期間をかけて貯めていくものになります。
ただ、節約ばかりを意識し、生活そのものが楽しめなくなってしまっては本末転倒です。貯めている間も毎日の暮らしが豊かでいられるよう、ライフプランなどの計画性をもって家計と付き合い、やりくり上手になっていきましょう。

文:中村美帆

出産を機に金融機関を退職後、ママファイナンシャルプランナーとして独立する傍ら、カラダとココロの健康をテーマにヨガ講師・おやつ講師として活動。地産地消にこだわった親子おやつ教室や児童施設でのキッズヨガ教室など子育て支援にも携わる。
また、地元のお茶農家と連携したお茶ブランドTEA BASE「三重県産デカフェ茶」の企画販売を手掛け、地域で地元経済を応援する仕組み作りを目指して、多方面にて三重の魅力を発信中。三重県出身。二児の母。
URL:  https://teabase.stores.jp/
Instagram : @mihocoto

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