もうすぐ入園・進級!子どもの不安を解消する声かけとは?

もうすぐ入園・進級!子どもの不安を解消する声かけとは?

入園や進級を迎えるこの季節は、親も子どももそわそわ、ドキドキ。子どもが言うことを聞かなくなったり、泣き止まなくなったりするのは、新しい環境への不安や緊張のあらわれかもしれません。そんな時、どんなことに心がけ、声がけしたらよいのか考えてみましょう。

子育てアドバイザー 高祖常子さん

高祖常子さん(子育てアドバイザー、キャリアコンサルタント)
資格は保育士、幼稚園教諭2種、心理学検定1級ほか。NPO法人ファザーリング・ジャパン理事ほか各NPOの理事や行政の委員も務める。子育て支援を中心とした編集・執筆ほか、全国で講演を行っている。著書は『男の子に厳しいしつけは必要ありません』(KADOKAWA)、『感情的にならない子育て』(かんき出版)ほか。3児の母。

脅しは子どもを不安に追い込む

入園や進級を前にして、子どもが言うことを聞かないことが増えたり、着替えなど今まで上手にできていたことに時間がかかったり。そんな時ついつい「もうすぐ○○組になるのに、恥ずかしいよ!」「そんなことだと、○○園に入れてもらえないよ」なんて言ってしまっていませんか。

でも、こんな言葉を毎日のように浴びせられたら、子どもはどんな気持ちがするでしょう。「できない自分はダメな子なんだ」「自分だけできなかったら、恥ずかしいんだ」「○○園に入れてもらえなかったらどうしよう」など。どんどん不安が高まったり、自信がなくなったりしてしまうかもしれません。

入園・進級の前は、子ども自身いろいろな不安を持っている時期

その結果、「幼稚園に行きたくない」「年長さんになりたくない」なんて、言い出す子も。親自身が脅すような言い方をしていなくても、祖父母など周囲の大人からの声かけによって心配になっているかもしれません。そうでなくても入園・進級の前は、子ども自身いろいろな不安を持っている時期だと心得ておきましょう。

親の心配は問題解決型で考える

入園・進級したわが子が、「自分でできなくて困らないように」「恥ずかしい思いをしないように」と心配するのが親心です。しかしその思いの強さから、脅すような声かけをしてしまいがちに。叱咤激励のつもりであっても、子どもを追いつめたり、からかったりするような言動は避けましょう。

ではどのように考えたらいいのでしょうか。
そもそもの親の不安を整理してみましょう。まず「できなかったら困る」ではなく、「できていたら安心」なことを考えてみましょう。たとえば「自分で着替えができるようになってほしい」なら、着替えの練習をしてみるのも一案です。

時間がかかって無意識に手を貸していたなら、「じゃあ、着替えの練習をしてみよう」と時間があるときにやってみるのもいいですね。ズボンを履きにくいときには、「ここを持って引っ張ると履きやすいよ。やってみよう」というように。

叱咤激励のつもりであっても、子どもを追いつめたり、からかったりするような言動は避けましょう

上のボタンを留めるのが難しくていつも親に留めてもらっているなどの場合、着替えやすい服を用意してあげるのもいいですね。着替えにくい服は週末に着ることにして、平日は子どもが着脱しやすい服装を子どもと一緒に選ぶのもおすすめです。

上履きの左右を間違えてしまう場合は、左右そろえたときに完成するイラストをマジックで描いてみるのも一案です。

子どもの不安は小分けにして軽減

子ども自身も、入園・進級がうれしい反面、不安も持っています。そして多くの場合は、「何となく不安」という感じです。その「何となく不安」な気持ちは、赤ちゃん返り的な行動に表れることも。今まで自分でできていたのに「できない」「ママやって」というようなことを言います。

そんなときは、まず安心させること。安心・安定の基本は、否定せず受け止めることです。不安な気持ちを持ってはいけないわけではありませんし、その気持ちは大事にされることが必要です。
「自分でやりなさい!」などと言わずに、「そうか、一緒にやろうね」 と受け止めましょう。

そのうえで、どんなことが不安なのかを会話を通して確認していきましょう。この作業は子どもにとっても、自分の気持ちを言語化できる作業につながります。気持ちの言語化は、思春期になったときにもとても重要です。
「ボクは、何が不安なんだろう」と考え、言葉で伝えてみる。次に「その困りごとをどうしたら解決できるのか」と問題解決型の思考に変えていけるようになります。
具体的な不安に対しては、たとえば以下のように解決していきましょう。

入園のイメージを持つ

新生活に対してイメージがつかないことが不安であれば、実際に見ることで安心できるかもしれません。たとえば、入園する園の登園時間に合わせて行ってみたり、日中に園で遊ぶ子どもたちの様子を見たりするのもよいですね。

一人だけじゃない!

知らない園に自分一人だけが行くような気持ちになっているかもしれません。そんな時は「近所の○○くんも一緒だよ」などと伝えてみましょう。顔見知りがいるというだけでも心強くなるかもしれません。
また、どの子どもにとっても入園は初めてのこと。「みんなドキドキしているんだよ」と自分だけではないことを伝えて、気持ちを楽にさせてあげましょう。

顔見知りがいるというだけでも心強くなるかもしれません。

困ったときはどうする?

知らない環境で誰に頼ったらよいかが分からず、不安になっているかもしれません。
子どもには「困ったことがあったら、何でも先生に伝えれば大丈夫だよ」という声かけ をしておきましょう。先生を頼っていいんだということがわかっていれば、安心できるはずです。

最後に

年度の切り替えの時期は、親自身も仕事や生活の変化などがあって落ち着かないもの。でも、子どももいろいろな不安を抱えています。親自身の不安は、なるべく具体的に解消しながら、子どもの不安に寄り添っていきましょう。入園・進級までの生活リズムを整えることも大切です。安心した生活を規則正しく送ることで、気持ちも安定し、体調も整っていくでしょう。

「園には新しいおもちゃがあるよ」「大好きなキャラクターの通園グッズでそろえようか」など、親からは、なるべくポジティブな声かけを心がけましょう。
「キミなら大丈夫!」という親の笑顔が、きっと子どもの背中を押してくれることでしょう。

文:高祖常子

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