物価高が続く昨今、ガソリンや米をはじめとした食品など、生活に欠かせないものの値段も急騰しています。すぐに価格が下がることが見込めない今、どんな対策を立てれば良いでしょうか。自身も父親として子育て中であり、家計に近いところからもアドバイスを行うファイナンシャルプランナー（FP）の近藤賢一さんに、心構えや対策を教えてもらいました。
※情報は取材当時（2025年6月上旬）のものです
FP事務所RAC代表 近藤賢一（こんどう・けんいち）さん
南山大学経済学部卒業後、求人広告営業や人材あっせん事業のコンサルタントなどを経て、FPとして独立。年間100世帯以上の家計相談や資産形成に関するアドバイスを行っている。小学校PTA会長でもあり、Youtubeチャンネル「教えて！こんけん先生」では、子どもへの金融教育に関する動画を配信中。
ガソリン価格高騰への対策は？
価格上昇の原因は？
2023年頃からガソリン価格は高騰し、2025年1月には全国平均で1リットル180円に達したこともありました。これは、コロナ禍が明けて原油の需要が高まったことや、産油国である中東諸国の政情不安や原油の減産、円安が進行したことなどが原因です。どの要因も一朝一夕に改善されることは見込めず、それなりの高値が続く、もしくはこのレベルの価格が通常になることを想定して、対策を考える必要があるでしょう。
対策は？
まず簡単にできるのが、ガソリンスタンドのアプリや、ポイント還元の活用です。また、大型倉庫店併設の格安のガソリンスタンドなど、低価格のスタンドを利用するのも良いでしょう。
抜本的な対策として、たとえば自動車購入時に、電気自動車やハイブリッドカーを選択肢に入れてみるのも良いかもしれません。近年、比較的安価な電気自動車も出ているので、ランニングコストを考慮して選ぶのもアリですよね。
さらに車を持つこと自体を考え直し、「持たない」という選択もあり得ます。レンタカーだけでなく、カーシェアサービスも盛んな今、必要な時だけ使えるサービスを活用することで、車の維持費が節約できるのは大きなメリットです。人生において車を持たないことで、ざっと1000万円ほど支出が減るという試算もあります。ガソリン高騰に対しては、車購入の時点で、少し対策を考えてみても良いかもしれません。
食品の価格高騰への対策は？
価格上昇の原因は？
ガソリンと同様に、米をはじめとした食品などの価格もかつてないほどに急激に高騰し、家計を直撃しています。
原因は、円安による輸入コストの増加や原材料価格の高騰、原油価格の高騰により製造コスト・物流コストが上昇し、最終的に食品価格に反映されていると言われています。
米に関しては、2023年の猛暑で生産量が減ったことが発端と見られていますが、インバウンド需要やその他の要因も絡まり、急激な価格高騰が起きているようです。
対策は？
食品なども、価格が短期で急激に下がることはないはず。政府からの補助金もいつも期待できるわけではありません。輸入品はもちろん、さまざまな商品、サービスが値上がりする傾向は、今後も覚悟しておかなければなりません。
物価が下がらないことを前提に、まず出来ることとしては次のようなものがあります。
②無駄な支出を減らす
③運用して資産を増やす
1番すぐに出来るのは、②の無駄な支出の削減ですよね。たとえば次のような固定費を見直すことで、年間で大きな削減になります。
・スマホ料金プランの見直し、乗り換え
・保険の見直し
特に複数の保険に入っている場合は重複している内容がないかチェックし、さらに、職場の福利厚生などとも見比べて、不必要なプランやオプションを解約しましょう。こうした見直しは、1度行えば年間の支出を一気に下げられるので、ぜひ重い腰をあげて点検してみてください。
最後に
昨今では、世界的な情勢の変化がダイレクトに日本の消費者にも影響を与えることが多く、特に物価の高騰は長いスパンで対策をしなければならない課題です。小さな対策を積み重ねるのに加えて、現在の価格が大きく下がらないことを前提に、家計全体や働き方を見直す機会に出来ると良いですね。
文・聞き手：きずなネットよみものWeb編集部
