主体性が育つ!なぜ?と聞かない「メタファシリテーション」

主体性が育つ!なぜ?と聞かない「メタファシリテーション」

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子どもに「なぜ○○したの?」と聞いたときに、黙り込んでしまったり、ウソをつかれたりした経験、ないですか?
それはお子さんが悪いのではなく、こちらの聞き方に問題があるかもしれません。
人は「なぜ?」と聞かれると責められているような気持ちになり、つい言い訳をしてしまいがちに。
これは、大人も子どもも同様です。そこで役立つのが「メタファシリテーション」※1 です。
相手を尊重し、相手の自己肯定感を大切にし「なぜ?」と聞かなくても主体的に問題を解決できる方法。
この手法を知るイベントに参加したので、その内容をご紹介します。

話の聞き方が大切なわけ

わたしたちは普段、なぜ?と聞かれることが多いと思います。すると、つい、いろいろな言い訳を考えてしまいます。それは多くの場合、事実ではありません。
たとえば、子どものいる夫婦の会話を想像してみてください。

妻「なぜ子どもをお風呂にいれていないの?」
夫「なかなかご飯を食べてくれなかったからだよ。」
妻「なら、もっと早くご飯を食べさせればよかったじゃない!」
夫「掃除が終わらなかったんだよ…。」
妻「掃除にそんなに時間がかかるの?」
夫「・・・」

夫はさまざまな言い訳を言い、それに対して妻は正しいことを言う。次第にぎすぎすした雰囲気になり、夫は何も答えなくなる。こんな光景が想像できるかもしれません。この場合、夫が子どもをお風呂にいれていなかった原因が分からないばかりか、夫婦間の関係も悪くなってしまいそうです。
しかし、次のように尋ねてみたらどうでしょう。

妻「今日は何時に帰ってきたの?」
夫「6時だよ」
妻「帰ってきてからすぐ何してた?」
夫「メールをチェックしたかな(あ、そのあとスマホでニュースを見ていたな…)。」

この時、夫は帰宅後すぐの時間の使い方がまずかったことに気付くかもしれません。
このように、なぜ?ではない質問は、言い訳ではなく、課題の解決への気付きを促します。そして、この質問の仕方こそが、「メタファシリテーション」です。「対話型ファシリテーションの手ほどき」(中田豊一)という本を参加者全員で読んで、「メタファシリテーション」について学びました。

ちょっと変わった読書会

長久手子育て協力隊では、「まとめ」「発表」「対話」の三部構成からなるアクティブ・ブック・ダイアローグ®︎※2 という方法で読書会を開催しました。
今回はあらかじめ裁断された本を参加者が分担して読み、読んだ部分を3枚の紙にまとめました。
次に、まとめたものを著者になりきって順番に発表し、参加者全員で本の内容を共有します。
最後に、メタファシリテーションの大切なところ、使ってみて気づいたことを参加者同士で対話しながら確認し合いました。参加者が主体的に学んだことを実際にやってみることで、内容の定着や理解が深まりました。

長久手子育て協力隊では、「まとめ」「発表」「対話」の三部構成からなるアクティブ・ブック・ダイアローグ®︎という方法で読書会を開催しました

メタファシリテーションとは

メタファシリテーションは、簡単な質問によって相手の気づきを促し、自ら問題解決を促す手法です。
聞き手は相手にアドバイスをしたり、目的を設定したりすることはしません。そのかわり、事実質問を相手にし、さまざまな事実に気付くように促していきます。
事実質問とは「なぜ(why)」「どう(how)」の代わりに、「いつ(when)」「どこ(where)」「だれ(who)」「何を(what)」を使い、相手に事実を尋ねる質問です。これを繰り返すことにより、相手が自分を取り巻く事実を再確認し、問題の本質を知ることによって課題解決に導く手法です。ただし、相手が気づきを得るのには時間がかかります。聞き手は相手の気づきを信じて待つことも大切です。
ダイアローグでは、事実に関する質問(事実質問)を作るというワークを行いました。お互いの持ち物や趣味などを対話する中で、事実質問をすると相手の人柄が見えてきます。例えば相手のつけている腕時計について、

Q「今日その時計をつけてきたのはどうして?」
A「うーん、なんとなく。」
Q「もらった時の気持ちはどう?」
A「まあうれしかったかな」

何か答えにくい質問だと思いませんか?しかも、質問に対する答えは、事実ではなく、答え手の気持ちです。話し手の話しにくい質問であるだけでなく、答え手にも話し手にも気づきが少ない質問になってしまいます。しかし、このように質問するとどうでしょう。

Q「いつからつけているの?」
A「自分の誕生日だよ。」
Q「誰かからもらったの?それとも買ったの?」
A「夫からもらったよ。」

事実質問することで、その時計が夫からもらったプレゼントであるということが見えてきます。
ところで、このプレゼントを妻が気に入っているかどうかを知るためには、どんな質問をしたらよいでしょうか。たとえば、以下の3つの質問について考えてみましょう。

Q1「この時計、気に入っている?」
Q2「週に何回くらいつける?」
Q3「先週会った時も夫からもらった時計をつけていた?」

Q1に対して、妻は「気に入っている」と答えたとしましょう。しかし、これは、妻の考えであって、事実かどうかはわかりません。ひょっとしたら忖度して答えているかもしれません。
Q2も同様です。「週に2回くらいかな」と答えても、それも妻の頭の中にある数字は、あいまいな印象でしかないかもしれません。
ところがQ3はどうでしょう。おそらくこれは事実に基づいて答える以外にありません。
つまり、Q1、Q2は事実質問ではなく、Q3は事実質問です。もし、Q3で、「つけていた」と答えれば、付け加えて、「昨日は?」「その前は?」と聞いていくと、「毎日つけていた」という本人も意識していなかったことがわかることもあるのです。事実質問で過去を正確に思い出してもらうことによって、「気に入っている」要素を思い出してもらうことができるのです。

メタファシリテーションを使って

今回は、相手のことをよく知ることを目的として、お互いの持ち物について、なぜ?を使わない質問を重ねるワークを行いました

今回は、相手のことをよく知ることを目的として、お互いの持ち物について、なぜ?を使わない質問を重ねるワークを行いました。
聞き手と話し手に見守り役を加え、3人1組で順番に質問をしていきます。普段「なぜ?」に慣れている身からするとなかなか難しく、質問が出てこなくなることも。苦戦しながら「いつ」「どこ」「だれ」「何を」を駆使して質問を重ねていきました。
以下は、ワークを終えた参加者の感想です。

「メタファシリテーションは繰り返し実践して習熟するので、難しいけどやってみたい」(Iさん)
「事実質問をいつも使うわけではないので、どんな場面で使うかを考えたい」(Tさん)
使えそうな場面を見つけて実践してみるのが大事だと思いました。

「面白かったので本を買って読みます。」(Tさん)
「具体例があるとさらに実感を持てるのかも。本の続きを読んでみたい。」(Sさん)
「事前に本を購入して参加した。つい、どうしたの?と聞いちゃうけど…目から鱗だった。」(Dさん)
手法に興味をもち、さらに知りたいという気持ちが高まったようです。

「友人の息子さん夫婦に教えたい。抱えている問題は誤解から始まっている気がするから。こんなふうに話せたらもう少しお互いのことがわかるかも。」(Oさん)
夫婦間の問題解決にも役立ちそうです。

「大学の授業で、(学習場面における)ファシリテーターの役割を聞いたが、よくわからなかった。そのときは数人のグループのファシリテーターをしたが、司会者とファシリテーターの違いがよくわからないまま進めていた。今回の方がファシリテーションについてよくわかった。」(Tさん)
教育現場でのファシリテーションにも役立ちそうです。

「アクティブ・ブック・ダイアローグ、初めてで楽しかったです。」(Hさん)
「要約時はもやもやでも(発表で)話が繋がってスッキリして、終わった時は気分爽快です。」(Hさん)
「2時間で手に入れることができない情報量をみんなで分担して手に入れられたのがよかった。」(Tさん)
「一冊の本を読み合って説明し合うと、面白いし、お互い知り合えてよかった。」(Oさん)
アクティブ・ブック・ダイアローグ®の読書会も好評でした。

対話型ファシリテーションを使うタイミングは、ゆっくり丁寧に話が聞ける場面がよいと思います

対話型ファシリテーションを使うタイミングは、ゆっくり丁寧に話が聞ける場面がよいと思います。

  • 子どもとのお風呂の時間
  • 子どもが寝た後の夫婦のコミュニケーション

などがおすすめです。わたしはこの会の後、お風呂で長女とこんな会話をしました。

わたし「今日、何をして遊んだ?」
長女「ねこごっこをした」

わたし「猫ごっこで何をしたの?」
長女「みんなで寝た。猫は夜行性だから夜になったらみんなで起きて、朝になったら寝る。」

わたし「どこでしたの?」
長女「和室の座布団で。寝るときは座布団に潜って寝る。」

わたし「だれがやったの?」
長女「全員」

わたし「全員てみんな?」
長女「みんな」

わたし「ほかには?」
長女「家族ごっこをした」

わたし「だれと(やったの)?」
長女「○ちゃんと□ちゃんとやった」

わたし「(家族ごっこでは)なにをしたの?」
長女「みんなでままごとをしてご飯を食べた。わたしはお姉ちゃん役をした」

わたし「お父さんとお母さん(の役)はいないの?」
長女「いないお家なの。でもみんな大きいからおうちのことができるの。大学生くらいかな」

わたし「○ちゃんは何役?」
長女「はじめはおねえちゃんだったけど、お母さんがやりたくなってお母さんをやってそのあとお姉ちゃんにもどった」
わたし「じゃあお母さん復活したんだね?」
長女「そうだね」

わたし「お父さんはいないの?あ、男の子いないからいないのか」
長女「うん」

わたし「とうちゃんがいたらお父さんになれた?」
長女「どうかなあ」

こんな感じでお風呂の中で会話しました。とりとめもない会話ですが、読書会の間に遊んでいた子どもの様子がよくわかりました。

最後に

会の後に、この読書会に参加してくださった、この本を出されている認定NPO法人ムラのミライの松浦さんから、とても貴重なお話を聞かせてもらいました

会の後に、この読書会に参加してくださった、この本を出されている認定NPO法人ムラのミライの松浦さんから、とても貴重なお話を聞かせてもらいました。

「メタファシリテーションは相手の自己肯定感を上げます。それは、相手が自分で気づくことができるから。人はなぜと聞くとつい言い訳を言ってしまうので、それを事実質問に置き換えることが大切です。
事実のみを尋ねることで、思い込みに囚われることなく自らの経験を正確に捉えることができます。また、話し手の気づきを促し、みずから解決に向かうように助けていくことがファシリテーターの仕事です。それは友達同士でも同様でしょう。人は、なぜと聞かれると責められているような気持ちになります。なぜを使わない聞き方を心がけることで、相手を責めずにホンネを聞くことができるのです。」

みなさんも、メタファシリテーション、使ってみませんか。

※1メタファシリテーション
※2アクティブ・ブック・ダイアローグ®︎

文・写真:Hiroki&Shino

筆者:Hiroki&Shino
長久手子育て協力隊員。
育休中の父ちゃん(学校の先生)と長久手市職員の母ちゃんです。7歳と2歳の姉妹を育てています。Mojaiik(もーやいーく)という名前で、人と人とがつながり、子育てが楽しくなるようなイベントを開いています。

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