子育て、家事、仕事・・・毎日やることがいっぱいで、とにかく忙しい!というママパパに。
また、マルチタスクで仕事に追われているビジネスパーソン、受験勉強などのプレッシャーと戦う学生さんなど。
日々忙しくストレスフルな生活をしている人におすすめしたいのが「マインドフルネス」。
マインドフルネスは、「心のストレッチ」ともいわれ、自分自身の状態に意識を向けて心を整える方法です。
今回は、ストレス解消はもちろんのこと、たくさんのメリットがあるといわれるマインドフルネスとは何か。その効果と、簡単にできるやり方についてご紹介します。
マインドフルネスとは?
マインドフルネスとは、「mind(意識)」「fullness(満たされている)」という語源から成り立つ言葉です。「今、ここ」に集中しているということ。今、自分の置かれている状態、この瞬間に焦点をあて、雑念に囚われていない状態のことです。
マインドフルネスとは、もともとは2600年前に、仏陀が提唱した心の持ち方。仏陀が提唱…というと、宗教的で怪しいものと思われる方もいるかもしれません。
しかし、マインドフルネスは、医学、心理学、スポーツ、ビジネスの現場で活用されている方法。アップルの創業者 スティーブ・ジョブズが実践していたことでも有名です。大手企業でマインドフルネスを取り入れているところもあり、アスリートや数多くの著名人も取り入れています。
なぜ、マインドフルネスが必要?
ストレス社会といわれる現代は、モノも情報もあふれています。
目の前のことをあれこれ同時にこなしながら、さらにその中で過去の記憶を思い出したり、未来の予定を立てたり…頭の中は大忙し。
いろいろなことを同時におこなうマルチタスクは「仕事をこなしている感」はありますが、脳にはストレスがかかることが分かっています。
以下があてはまる人は、脳にストレスがかかっているかもしれません。
- 疲れやすい
- やる気がわかない
- なんだか不安
- イライラしている
- 集中力が続かない
- 寝付きが悪い
- 物覚えが悪くなった
- 考えがまとまらない …など
これらは、自分自身の性格や能力の問題ではなく、脳が疲れてしまっていることで本来の力を発揮できていない可能性があります。
マインドフルネスの効果とは?
マインドフルネスの効果については、複数の機関で検証されています。科学的根拠に基づいた方法ともいえ、以下の効果が期待できると言われています。
- ストレス解消
- ストレス耐性の向上
- 感情コントロール力の向上
- 他人に優しくなれる
- 仕事のパフォーマンスのアップ
- 睡眠の質の向上
- チームワークの向上
- 免疫機能の改善
- 老化防止、ダイエット …など
子どもやパートナーに対して優しく接したいのに、イライラしたり、感情をぶつけたりしてしまう人に。また、いつも忙しいビジネスパーソン、学校・部活・受験勉強で疲れている学生さんに。
コロナ禍で健康や免疫力の向上に注目が集まる中で、マインドフルネスはすべての人に有益とも言えそうです。
マインドフルネスの身近な例
マインドフルネスには、さまざまなやり方があります。実は難しいことではなく、普段から私たちが無意識にやっていることもあります。
身近なマインドフルネス
たとえば、パソコンを使っているときに、複数のウィンドウを開いて、同時にいろんなことをこなそうとすると、容量オーバーで動きが悪くなります。
そんな時はウィンドウのタブを閉じて、今やるべきタスクだけにしますよね。
これは、作業効率を上げるために「今、ここ」に集中するアクションの1つです。
他にも、頭の中であれやろう、これやろうと考えている時。やることを付箋や手帳に書き出して、優先順位をつけて、1つずつ片付けた経験はないでしょうか。作業効率を上げるために、やっている行動。これも「今、ここ」に集中するアクションといえるでしょう。
マインドフルネスでない状態
人はいつも、頭の中でいろいろなことを考えています。未来の不安、焦り、心配など、こうしたネガティブなこと以外にも、あの仕事どう進めようかな、今晩何を食べよう、なども含まれます。
そして、過去の後悔や誰かに言われた言葉など、頭の中では、過去や未来に思いを巡らせてひとりでおしゃべりをしています。
この、ひとりでずっとおしゃべりしている状態は、マインドフルネスではない状態。頭があれこれ忙しく働き、余計なストレスを生み出すことになります。
しかし「今、ここ」に集中することが大切だと分かっても、日常生活や仕事では、複数のことを同時に考えなければいけないシーンばかりです。
目指したいのは、頭の中が必要以上に忙しくなった時、自分で気づくこと。
そして、パソコンの余計なウィンドウのタブを閉じるようにして、今必要なことだけに集中すること。
そのためには、意識的に「今、ここ」に集中するマインドフルネスな状態を1日の中で数分でも作ることが大切です。そして、マインドフルネスな状態がどのようなものかを知ることで、自分の心をコントロールしやすくなります。
マインドフルネスのやり方
マインドフルネスには、さまざまなやり方があります。ここでは、今日から簡単にできて、短い時間で変化を実感できるやり方を3つご紹介します。
呼吸のマインドフルネス
「呼吸」に意識を向ける方法です。
やり方
① 姿勢を正して座ります
後ろに寄りかからず、上半身を背骨で支える姿勢です。頭と首と背筋を一直線にして、垂直に座ることができていれば、長座でも椅子に腰かけてもOKです。
②自然な「呼吸」に意識を向けます
いつも通りの呼吸、自分が心地よいと感じる呼吸をします。頑張る必要はありません。
呼吸を吸った時の胸やお腹の膨らみ、吐いた時の動きなど、体の隅々の感覚を感じ取りながら、ゆっくり呼吸をします。
時間がなければ1分でも大丈夫。まずは、数分間でも良いので毎日継続して実践することが大切です。慣れてきたら10分~30分を目標にしてみましょう。
ポイント
雑念は「気づく」そして「受け流す」
もし雑念が起きた時は、ただそれに「気づく」こと。たとえば、嫌なことを思い出してしまったら、それを思い出している自分に「気づく」こと。そして、その雑念を流し去るようにしましょう。
何かを思い出したら…ただ、それだけ。「なんであんなことしてしまったんだろう」「あのときこうやって言い返せばよかったな」など、思い出した雑念を深めないようにします。
目的を持たない
「○○のためにマインドフルネスをしよう!」「これをやってスッキリしよう!」などと思わないこと。目的を持ち、頑張ってしまうことで、余計な思考が働いてしまいます。
もし目的を持ってしまったら、そう思っている自分にただ「気づく」ようにしましょう。「マインドフルネスをする」ということだけを目的にします。
上手にやろうとしない
上手にできたかどうか評価しないようにしましょう。上手くやろうとする自分がいたら、「私は今、上手くやろうとしていたな」と、ただそのことに「気づく」だけでOKです。
食べるマインドフルネス
体感的にマインドフルネスの考え方、概念を知るのにおすすめの方法は、「食べる」マインドフルネスです。
やり方
普段、食事をする時にテレビやスマホを見ながら、誰かとおしゃべりしながら食べている人は、一人で食事に集中してみてください。
例えば、白飯であれば・・・米の色、艶、粒の大きさ、を目で見て確認します。
その食べ物にはじめて出会って、はじめて食べるような気持ちで観察しましょう。
口に運んでその温度、かたさ、食感などを十分に口の中で感じ、しっかり咀嚼して味わいながら食べます。
飲み込んで、喉から食道を通って体の中に入っていく感覚を感じます。とにかく「食べる」ということに、全神経を集中させます。
実際にやってみるとよく分かりますが、目の前の食事に集中するだけで、自分自身の感覚が変わります。自然と嚙む回数が増え、食事の味もしっかり感じられて、お腹がいっぱいになるはずです。これはダイエットにも効果的な方法といえます。
次の食事で、ぜひ全力で「食べる」マインドフルネスを試してみてください。
動くマインドフルネス
呼吸や食べること以外でも、「動くマインドフルネス」を日常生活の中に取り入れることができます。
人は寝ている時以外のすべての時間、あちこちに意識をめぐらせ頭をフル稼働しています。日常の隙間時間で、このフル稼働スイッチをオフにするのが「動くマインドフルネス」です。
やり方
たとえば、歩いているとき。歩きながら、自分の「動き」に意識を向けます。右足と左足の体重移動、地面にどう足の裏が接して、どう動いているのか。どこの筋肉を使っているのか、血液の流れ、心臓の拍動、足先から手先、頭の先まで、自分の体の感覚に意識を向けて、それを感じていきます。
他にも、通勤電車に乗っているとき。電車の揺れに対して自分の体はどう対応しているのか。自分の体の感覚に意識を向けてみるのもよいでしょう。
歯磨きをしているときに、全ての意識を歯を磨くことに集中するのも手軽にできるマインドフルネスです。歯1本1本の凹凸、歯茎に歯ブラシが当たる感覚、水の温度・唾液の温度など。テレビを観ながら、何かをしながら歯磨きをしている人は、歯磨きに意識を集中してみるのもおすすめです。
マインドフルネスを続けるコツ
マインドフルネスは、多くの効果があると言われているもの、即効性のあるものではありません。ストレッチや筋トレのように継続することでジワジワ効いてくるものになります。
1回試してみた実感以上に、やればやるほど、継続するほどに効果が高まります。
ただ、そうと分かっていても、忙しい中で続けることは難しいですよね。
継続するためのコツは「~する時にマインドフルネスをする」と、決めてしまうこと。
たとえば、朝起きたら~する、ランチの後に~する、お風呂の前に~する、寝る前に~する、などです。
毎日必ずやる行動とセットにして実践すると、忘れることもなく、継続しやすくなりますよ。
最後に
マインドフルネスとは、自分自身の状態に意識を向けて心を整える方法です。継続することでより高い効果が期待できるので、まずは1日1分でもOK。できそうなことから試してみましょう。
頑張らなくて大丈夫。まずは「マインドフルネスを実践する」ということだけに意識を向けていきましょう。慣れてきたら少しずつ時間をのばし、続けていくことで、心や体、パフォーマンス向上によい効果が期待できるはずですよ。
文:三輪田理恵
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