教育資金の貯め方、小中学生・高校生から貯めるには?

教育資金の貯め方、小中学生・高校生から貯めるには?

住宅資金や老後資金と並んで家計の三大支出と言われているのが教育資金。
子ども1人当たりの大学までの費用はおよそ1,000~2,000万円と言われています。
この先の教育資金について、不安に感じている方も少なくないはず。ここでは、子どもが2人・3人の場合の貯め方のコツや、貯め始めるタイミング別のポイント、教育資金が足らない場合の公的な支援制度についても合わせて解説していきます。

2人・3人の教育費を貯めるには

教育資金は1人分でも1,000万円以上かかると言われています。

教育資金は1人分でも1,000万円以上かかると言われています。
当然、兄弟が増えると教育資金は増えていきますが、兄弟の年齢差などによっても貯め方や必要な資金は異なります。
兄弟の人数分を貯めるには、兄弟ごとに「貯め分ける」ことが重要です。

例えば2歳差の兄弟の場合、毎月2万円ずつを2人分、15年貯めていくとすると

2万円/月×2人×12月×15年=720万円

合計720万円、一人当たり360万円が貯まります。

兄弟まとめて貯めてしまうと、いざ使う際に、どちらの子にどのくらいかかっているのかが分かりにくくなってしまいます。
例えば、理系大学に進学するとなると平均よりも多くの学費が必要になる可能性もありますし、国公立の文系大学に進学した場合は、想定よりも少なく済むこともあり得ます。

進路が決まってから上乗せで貯める必要があるのか、貯めた分で賄えるのか、兄弟ごとに分けておくと管理がしやすいです。

3人分を貯めるための工夫

3人兄弟の場合、余裕があれば第一子の分を少し多めに貯めておくことをおススメします。例えば、第一子20,000円、第二子15,000円、第三子10,000円として貯めておくと、第一子で余った分の教育費を下の子に回すこともできます。
また、第一子にかかる教育費を参考にすることで、下の子にかかる学費がより明確になり貯める際に調整しやすくなります。

子どもが3人いれば、お金が必要な時期が重なることもあれば、ばらばらなこともあるでしょう。ただ最も教育費がかかるのは大学入学時です。この時期を見据え、子どもひとりひとりにいつ教育費が最も必要か、ライフプランを立てて資金計画を立てておきましょう。

小学生・中学生から貯める方法

教育資金の準備と聞くとまず学資保険を思い浮かべる方も多いかと思います。

学資保険の加入は難しい

教育資金の準備と聞くとまず学資保険を思い浮かべる方も多いかと思います。
しかし学資保険は加入できる年齢が6歳までのものも多く、小学生から教育資金を準備する場合には契約できないケースもあります。
また、学資保険で積み立てが出来たとしても、進路次第では満期を迎える前に学費が必要になる可能性も否定できません。
途中解約するとなると、元本割や保険料が割高になることがあります。

定期預金やNISAなどを活用

大学への進学を考えた場合、小学1年生から大学入学までの期間はおよそ12年。
10年以上の積立期間があり、教育資金を貯めるのに十分な期間と言えます。
定期預金であれば、着実に貯めることができ、万一、中学や高校で私立受験をする場合にも使いたいタイミングでお金をおろすことも可能です。
一方で、低金利時代の今、教育資金の目標金額に向けて定期預金の金利だけでお金を増やしていくのは望みにくいものです。そこで、資産づくりの一つとして活用したいのがNISAです。
預金とは異なり元本保証はないものの、利益が非課税になるなどのメリットがあります。
元本保証ではないためリスクはありますが、資産運用のひとつとして活用することもできます。

中学生から貯めるコツ

中学生から教育資金を準備するとなると、大学入学までおよそ6年間しかありません。
例えば6年間で300万円を貯めようとすると、1年間で50万円、毎月に換算するとおよそ42,000円を貯めていく計算です。
ただし、これまでの支出に加えて4万円もの貯蓄を新たに捻出するのはなかなか難しいものです。
中学生から教育資金を貯める場合には、毎月しっかり貯蓄をする前に、一度支出面を見直してみましょう。できれば家族で共有して支出を見直し、協力して教育資金が貯まる家計を目指します。
投資も一つの活用方法ではあります。
しかし投資期間が短い場合、解約時に元本割れなどの当初の投資金額を下回るリスクを抱えることを認識しておくべきです。
積立期間が短い場合や積み立て途中に解約する可能性がある場合などは、安定性の高い預金などの方法が安心です。

高校生から貯めて学費は足りる?

子どもが高校生になり、いよいよ大学などへの進学も目前。

子どもが高校生になり、いよいよ大学などへの進学も目前。
この時期から大学資金を貯めると、貯蓄できる期間は最長でも3年です。短い期間で多額の教育資金を貯めるには毎月の支出にも影響が出てきます。
限られた貯蓄期間を最大限活用するため、大学入学時までは教育資金に手をつけないことを前提に、確実に貯めていく必要があります。
進みたい大学や進路がある程度定まっていれば、その大学に必要な入学金や授業料など、具体的に年間でどのくらい費用がかかるかを調べておきましょう。
日本学生支援機構の調査によると、大学での年間の学費は国公立で約60万円、私立で131万円と言われています。(※1)
また、理系や文系、さらに選択する学部によってもかかる費用には差があります。入学資金なども含め、まずは大学1年目にかかる費用を目標として貯めていくことをおススメします。漠然とした教育費よりも、具体的な金額を目標とした方が貯まりやすいものです。

教育費がない時に活用できる制度

教育費の準備をしていたつもりが進路変更やさまざまな事情により足らない、という事態も起こり得るかもしれません。
教育費の不足には、一般的に金融機関の教育ローンでも対応できます。
しかし教育ローン以外に条件を満たせば利用できる公的な支援制度がいくつかあります。
文部科学省のホームページには、教育費負担に関する支援として活用できる制度が紹介されています。(※2)
自宅外から通う大学への進学を考えている、海外留学を考えているなど、進路によって活用できる公的制度もあります。詳しくは、学校やインターネットで確認してみてください。

小・中学生向け支援

就学援助制度

小中学生の子どもがいる家庭に対し、学用品費や修学旅行費等を援助する制度です。(※3)
所得制限等の規定があり、各市町村によって受給対象者が異なります。

高校生向け支援制度

高校生等奨学給付金

授業料以外の教育費負担軽減のための、低所得世帯を対象とした給付金制度です。(※4)
制度の詳細については各都道府県が窓口となっています。

大学生向け支援制度

日本学生支援機構奨学金

大学時の入学金や授業料に対して、学費の給付や貸与を受けられる制度です。(※5)
奨学金の種類により申込資格等が異なるため、事前に奨学金の種類をチェックしてみてください。

地方創生を対象とした教育費支援

地方大学へ進学する学生を対象とした無利子奨学金の地方創生枠や、地元企業への就職者に対し奨学金返還の支援制度などもあります。(※6)

海外留学に関する支援制度

文部科学省による、官民協同海外留学制度「~トビタテ!留学JAPAN~」は、高校生や大学生を対象とした海外留学の支援制度です。(※7)

大学進学時に限らず、子どもの進学先ごとに活用できる制度が複数あります。
また進路先や自治体により、独自の支援制度がある場合もありますので、窓口に問い合わせるなどして適用条件を確認してください。

最後に

教育資金は、貯め方も家庭ごとにさまざまです。

教育資金は、貯め方も家庭ごとにさまざまです。
家計の支出を見直し、貯蓄に回せる金額を捻出できるよう工夫をしていきましょう。
さらにおすすめしたいのが、子どもが社会人になってからも、できる限りこれまで通りの金額を貯め続けることです。あくまで、可能な範囲で構いません。
教育費が終わったからと、貯めることをやめてしまうともったいないです。
せっかくついた「貯めグセ」を、そのまま老後資金やゆとり資金の貯蓄に繋げておけると、ご自身の将来への備えも安心できますよ。

文:中村 美帆

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中村美帆(なかむら みほ)

中村美帆(なかむら みほ)
出産を機に金融機関を退職後、ママファイナンシャルプランナーとして独立する傍ら、カラダとココロの健康をテーマにヨガ講師・おやつ講師として活動。地産地消にこだわった親子おやつ教室や児童施設でのキッズヨガ教室など子育て支援にも携わる。
また、地元のお茶農家と連携したお茶ブランドTEA BASE「三重県産デカフェ茶」の企画販売を手掛け、地域で地元経済を応援する仕組み作りを目指して、多方面にて三重の魅力を発信中。三重県出身。三児の母。
URL:  https://teabase.stores.jp/
Instagram : @mihocoto

参考
※1 令和2年度学生生活調査結果
※2 年齢層別の教育費等の主な負担軽減策
※3 就学援助制度について(就学援助ポータルサイト):文部科学省
※4 高校生等奨学給付金:文部科学省
※5 独立行政法人日本学生支援機構
※6 「奨学金」を活用した大学生等の地方定着の促進 – デジタル田園都市国家構想実現会議事務局
※7【文部科学省】トビタテ!留学JAPAN – その経験が、未来の自信。

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