小学生の不登校の現状は?スクールカウンセラーインタビュー

小学生の不登校の現状は?スクールカウンセラーインタビュー

小学生の不登校の児童は約1%(令和2年度文部科学省調査)といわれています。決して多い数字ではありませんが、8年連続で増加しています。
文部科学省による「不登校」の定義は、

“何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因・背景により、登校しないあるいはしたくともできない状況にあるために年間30日以上欠席したもののうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの。”

と、されています。今回は、スクールカウンセラー(SC)として首都圏の小学校に勤務するヒロコさん(仮名)に取材をおこない、不登校の現状について聞きました。

注:お住まいの地域や学校、家庭により状況は全く異なります。あくまで一つの事例紹介として、お読みください。

ヒロコさん:公認心理師、精神保健福祉士

ヒロコさん:公認心理師、精神保健福祉士。
週2回、首都圏の小学校にスクールカウンセラー(SC)として勤務。
その他、専門学校のSC、企業のカウンセリングなどを行っている。3児の母。

SCの仕事内容は?

私の場合は、スクールカウンセラー(SC)として週2回、決まった曜日に小学校へ行っています。

私の場合は、スクールカウンセラー(SC)として週2回、決まった曜日に小学校へ行っています。主な業務は以下の3つです。

1)児童のカウンセリング
2)保護者のカウンセリング
3)教職員のカウンセリング

他にも、教室にいられない子どもの対応として、別室で勉強を見てあげることもあります。
勤務時間は9時~17時ですが、授業が始まる前に子どもと話したり、授業後に先生と話したり…となると、早出や残業になることもあります。

どのような相談が多い?

私が担当する小学校は児童数が多いこともあり、保護者から受ける相談がとても多いです。
宿題をやらない、家で癇癪をおこす、勉強についていけない、学校に行きたかがらない、受験勉強の相談など。
他にも「先生にこう言われて、うちの子こうなってしまって…どうしたらよいでしょう」と相談を受け、先生と保護者との橋渡しをすることもあります。

不登校の相談はどのようなもの?

「学校に行かない」には2パターンあります。1つは「理由が分かるもの」、もう1つは「理由がはっきりしていない、分からないもの」です。

理由が分かるもの

友達が嫌、先生が嫌、この教科が嫌など。理由が明らかなものは、その理由をどうしたら潰していけるか、相談をします。

理由がはっきりしていない、分からないもの

こちらの場合は、難しいです。
例えば、友達も好きだし学校も好き、だけど朝起きると学校に行きたくない…。お休みしている子でも、放課後に友達と遊ぶこともあります。
他にも、週1回面談している不登校の子は、私との面談後、教室でみんなと一緒に給食を食べて、先生と1時間お話をすることもできます。でも、毎日決まった朝の時間に学校に行くことができません。
理由が分からない場合、学校に行きたいと思っているのに、カラダに何らかの症状があらわれることもあります。多いのは、お腹がいたい、気持ちが悪いなど。そうした場合は、もしかしたら何かしらの病気の可能性もあるので、お医者様に診ていただくようにしています。

事例:「嫌なことから逃げてほしくない」

私のところに相談に来た時、お母さんの手首には痣ができていました。お話を聞くと、学校に行かせようと、お子さんと手首を引っ張るやりとりをしていたとのこと

私のところに相談に来た時、お母さんの手首には痣ができていました。お話を聞くと、学校に行かせようと、お子さんと手首を引っ張るやりとりをしていたとのこと。
お母さんは、お子さんに「嫌なことから逃げてほしくない」と、何としてでも学校に行かせようとしていました。
受験を控えたお子さんは、平日は学校後に学習塾へ通っており、帰宅は23時。朝、学校の宿題をやる…という生活をしていたそう。そのうち「学校に行きたくない」と訴えるように。
お子さんは、学校を休んで、塾の勉強や学校の宿題をやっていました。

私がお母さんにお伝えしたのは「本当に“嫌なことから逃げる子”なら、学校を休んでおうちでダラダラしていたはず。でも、この子は、学校を休んで勉強をしているのですよ。全く、逃げてないです。お母さんは『学校を休む=嫌なことから逃げる』と考えているかもしれません。でも、お子さんにとっては、学校と塾の両立に苦しんでいた状態。いわば、Wワーク状態で、疲れて果てていたのです。少し、お子さんに対する要求水準が高すぎるかもしれません。」と。
お母さんは、面談を終えて帰るときに「うちの子は逃げていたわけではないんですね…」
と言われて、帰っていかれました。
お子さんの見ている世界と、お母さんの見ている世界が違っていた…そんな事例だと思います。

不登校の親のNG対応とは?

スクールカウンセラー(SC)の大事な役割、不登校対応のひとつが親御さんの支援だと考えています。不登校にとって、一番避けたいことは親御さんが「焦ること」だと思うからです。
「新学期だから大丈夫じゃない?もう学校に行けるんじゃない?」
「SCと面談したんだから、もう行けるんじゃない?」…など。
本人は、学校に行きたいけど行けない状態です。それを追い詰めるように「もう行けるんじゃない?」という声がけは、お子さんにとってプレッシャーになってしまいます。
親御さんであれば、お子さんの将来を心配するのは当たり前。将来を脅かす障壁になりそうなものは取り除きたいですよね。焦るのも仕方がないです。
その親御さんの気持ちを受け止めるのがSCの仕事だと思っています。
4年間不登校だった子の親御さんが「私が焦ると、子どもが不安定になる」とも言っていました。

親の疲れた心の保ち方

親御さんの支援がSCの大事な役割。なので、気軽に頼ってほしいと思っています。
ある不登校のお子さんを持つ親御さんが「1日中家に子どもがいるので、子どもがSCと面談している時間が、唯一自分の自由時間になる」と言っていました。その親御さんは、面談の時間に、図書館をブラブラし、それが唯一自分に戻れる時間だと。
親御さんも疲れているはずです。そんな風にSCを使っていただいてもよいと私は思っています。親御さん自身も、ご自身のことを大切にしてほしいと考えています。

不登校の前兆を見逃さない

いきなり不登校になる子は少ないので「前兆」が現れたら早めに相談してください。
不登校の勉強会で先生が言われていたのは、不登校になるのには以下のパターンがよく見られるとのこと。

休み始める前の年に年間10日以上休むようになります。5月、10月など、新学期や、長期連休のあと、しばらく頑張って学校に行って、疲れてそのあとからポツポツ休み始めます。
そこから、少しずつ不登校になるパターンが多いよう。
そのため、休む日にちが増えた時や、登校渋りが増えてきた段階で手を打ってほしいのです。
私の学校でも、登校渋りの段階で面談を始めることがあります。それによって、親御さんの付き添いなしで学校に行けなかった子が、少しずつ一人で行けるようになったケースも。
気になる兆候があれば、早めに相談してほしいです。

最後に

特に小学生でも高学年になると、しっかりと自分の意志と自我を持ちます。力ずくで学校に行かせる…ではなく、話を聞いてあげる。どうしたいかを聞いてあげてほしいです

特に小学生でも高学年になると、しっかりと自分の意志と自我を持ちます。力ずくで学校に行かせる…ではなく、話を聞いてあげる。どうしたいかを聞いてあげてほしいです。
ただ「辛い」とだけ言って、どう辛いかが言葉にできない、理由が自分でも分からないお子さんもいます。そんな時も、親御さんはいつもお子さんの味方になってあげてほしいのです。
そして、SCはお子さんの味方であり、親御さんの味方でもあります。
地域によって、SCの在籍日数もまちまち。もちろん相性もあると思います。でも、もし気になることがあって、まだ相談されたことがない場合は、気軽に頼っていただけたらと思っています。

聞き手:COE LOG編集部

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