忘れ物が多い子、時間に遅れがちな子、対策は?

忘れ物が多い子、時間に遅れがちな子、対策は?

子どもの忘れ物が多かったり、時間に遅れがちだったりすると、「うちの子大丈夫かな?」と子どもの発達が気になってしまうこともありますよね。「もしかしてADHD?」と気になるママ・パパも少なくないかもしれません。
忘れ物がひどい、時間に遅れがちなどには、子どもなりの理由があってのことです。
親がしてあげられる対策はあるのか、子どもの発達に詳しいいしづかみほさんに伺いました。

いしづかみほ

カウンセラー:いしづかみほさん
準備を整える、時間を守るといったことは、集団生活の場に入るとそれまで以上に気になるものですよね。けれど、それらは先天的に備わった技術ではなく、経験を通して身につけるもの。その学びにはそれぞれのペースがあり、癖があるという大前提を忘れずに、イラ立つ自分を許しつつ、根気強く見守っていきましょう。

忘れ物や遅刻、悩んでいるのは誰?

忘れ物で困るのも、遅刻して嫌な思いをするのも子ども本人なのですが、これらが親御さんの悩みになるのにはなぜでしょう?

「忘れ物をすると必ず休み時間に学校から電話がかかってきて、それを届けてくれと言われる。なんとか解決できないものか」というご相談をうけたことがあります。「そうやって解決できると知っちゃっているので、準備が不十分でも、本人はなんだかいつも余裕なんですよ~」と、ママは困っていらっしゃいました。

「朝、出かける時刻に間に合うように起こしているし、準備も急かしているのに、結局いつもギリギリになっちゃうんです」というご相談もよくあります。ママ自身もお仕事をしていて、「出勤に間に合わないんじゃないかとイライラしてしまい、つい声を荒げてしまう」と悩んでいらっしゃいました。

忘れ物で困るのも、遅刻して嫌な思いをするのも子ども本人なのですが、これらが親御さんの悩みになるのにはなぜでしょう?

「できればそんな思いはしないでほしい」「基本的な生活スキルだからちゃんと身につけてほしい」「ちゃんとさせられない親だと思われてしまう」など、背後にある気持ちはさまざま。解決したいと考えているのは、まずは「子どもではなくて親自身」ということを受け入れましょう。

忘れ物が多い原因は?

時間割を見て次の日の教科書やノートを用意する、連絡帳を見て持ち物をそろえる… 実はこれ、けっこう高度なことが要求されていることにお気づきでしょうか?

時間割を見て次の日の教科書やノートを用意する、連絡帳を見て持ち物をそろえる…
実はこれ、けっこう高度なことが要求されていることにお気づきでしょうか?

  • 次の日の授業用の教科書とノートを用意する。
  • 鉛筆やペン、消しゴムなどが使える状態で筆箱に入っているかを確認する。
  • 絵の具や体操着など、特別な持ち物があればそれを用意する。
  • ハンカチやティッシュを用意する。

など、準備品は各種あって、すべてもれなく用意することが要求されています。
学校は毎日同じものを持っていくわけではないところが、さらに難しいところです。
大人ならまだしも、これを全部小学校低学年の子どもたちが毎日こなすとなると…どうでしょう。「けっこう大変かもしれない」と思われませんか?

子どもの忘れ物を減らすには?

子どもが忘れ物をしなくなるために、親が心がけたいこと

子どもが忘れ物をしなくなるために、親が心がけたいのは

  • 介入度合いを調整しながら関わること
  • 子どもに課す課題を大幅に減らすこと

の2点です。
詳しく解説します。

介入の度合を調節しながら関わる

小学生の子どもたちは、準備の仕方を学んでいる最中。今まさに、訓練中なのです。
最初から完璧にできる人なんていません。みんな、学んでいくのです。
その時、親の助け方として参考になるのが、「介入の度合いの調整」です。

介入の度合いを高いものから順に挙げると

  1. 直接手を添える
  2. 見本を提示する
  3. 直接的な言葉で指示をする
  4. 間接的な言葉で気づきを促す

となります。

適切な手助けとは、相手の状態、状況によって介入の度合いを調整していくことです。

学校の準備をしている子どもに対して、いきなり「3.直接的な言葉で指示をする」や「4.間接的な言葉で気づきを促す」のように接していませんか?
「忘れ物がないようにね~」「ちゃんとチェックして~」などの親の声がけのみで、子どもがもれなく準備ができるのは、相当高いスキルを身につけた後です。
まずは、「1.直接手を添える」から。
時間も手間もかかりますが、一時間目の教科書をママが用意し子どもに手渡すという風にして、準備そのものを一緒にします。漏れがあったらその場で教えてあげましょう。これを、丁寧にやり続けることが第一ステップです。

第一ステップができるようになったら、一時間目の授業の教科書とノートはママが用意して見せます。そして「二時間目の分を同じように用意してみて」と本人に真似をさせてみましょう。次の段階がまだ早かったかな?と感じたら、また前の介入段階に戻る。これを繰り返します。

2.ができたなと思ったら、3.の直接的な言葉で指示をする段階にトライしてみましょう。「一時間目は国語の教科書とノートだよ」「教科書とノートを準備しよう」といった声がけをしていきます。
4.はさらに介入の度合いが少なくなります。
「準備はできたかな?」「教科書以外で必要なものは入れられた?」など、「準備ってどこからどこまでだっけ?」とか「教科書以外の必要なものってどんなもの?」と、本人が考える余地を作るような声がけをします。

大切なのは、習慣にできるまで根気強く関わること。
これは、子どもの根気より親の根気が試されるところですよね。最初の丁寧な関わりが、ゆくゆくはお互いの「楽」につながります。がんばりどころと言えるでしょう。

子どもに課す課題を大幅に減らす

あれもこれもちゃんとやってほしい!となると、当然、注意すること、叱ることが多くなってしまいます。「本当は毎日子どもたちと笑い合って楽しく過ごしたいのに、なかなか現実はそういかなくて」と感じられているママ・パパは、子どもたちに課した課題を一度撤回しましょう。

要求する水準が高ければ高いほど、数が多ければ多いほど、子どもに指摘することが増えてしまいます。ゆえに、お互いに苦しくなってしまうものです。
そこで、考えたいのが「課す課題を減らすこと」です。
もしも「こうして欲しい」と思うことが10個あったら、それを減らしましょう。7~8個ではなく、1~2個にするのです。どうしてもここだけは、という1個。これならば本人もすぐに達成できると思われる1個。それを吟味して決めます。
そして、その1~2個のことが達成出来たら、盛大にほめましょう。

盛大にほめた上で、さらによくするにはどうしたらよいのか、新しい目標としてはどんなものがあるのかを伝え、次の達成目標を確かめ合う。そしてまた、手助けをしながらともにそれを達成していくことで、少しずつ忘れ物も減っていくはずです。

子どもたちがちゃんとしてくれたら楽になるわけではないのです。
言わなくてもやってくれるから楽になるわけではないのです。
注意することを減らせば、楽になるのです。

子どもたちの問題にしてしまうのではなく、親子一緒にクリアしていくミッションだという気持ちで取り組むことをおすすめします。

「忘れ物が多い」悩みと併せて多いのが、「時間に遅れがち」だという悩みです。
忘れ物のチェックに時間がかかってしまい、学校に遅れそうになったりする経験は、誰にもあるもの。
ただ、子どもがいつも時間に遅れがちだと、親も気になってしまいますよね。
次章から、原因と対策を考えていきましょう。

時間に遅れがちなのはなぜ?

時間に遅れそうなのに、なかなか準備をしない、のんびり準備をしていて時間がかかり過ぎる…そんな子どもの様子に悩むママ・パパも少なくないはず。

時間に遅れそうなのに、なかなか準備をしない、のんびり準備をしていて時間がかかり過ぎる…そんな子どもの様子に悩むママ・パパも少なくないはず。
子どもがなかなか準備をしなかったり、準備に時間がかかったりする理由はなんなのでしょうか?

例えば朝の準備の場合、服選びにすごくこだわりがあるとか、朝ごはんのメニューが気に入らず不機嫌になってしまうなど。子どもたちがなかなか準備をしないのには、それ相応の理由があるものです。

時間に間に合わせようと注意したり怒ったりする前に、まずは子どもの様子をしっかりと観察してみてください。可能であれば、どうしてそうなのかの理由を本人から聞き出せるとよいですね。

注意したいのは、普段から肌の感覚過敏があったり、洋服選びにこだわりが激しかったり、尋常ではない偏食があったりする子の場合です。
叱ったり急かしたりすることでは、解決できません。
日頃から子どもの過敏さやこだわりを親が理解し、対処の仕方をいくつか知っておくことが解決のポイントです。

そして、そんな子どもたちの予想外にかかる時間を考えて、準備を始める時間、タイミングを考え直してみましょう。

待ち合わせなど、相手がいる場合には、事前に「時間通りにいかないかも」とひと言伝えておくことも、自分の心の余裕につながります。

時間を守ろうと努力することも大切ではあります。
でも、それと同じくらい、苦しい時や困っている時に助けてもらうという姿勢も大切です。

登校時間に遅れがちな子の対策

朝の寝坊や遅刻の原因はさまざま

朝の寝坊や遅刻の原因には、

  • 起きられない
  • 起きてもぼーっとしている
  • 準備に時間がかかる
  • 機嫌が悪い
  • 学校に行きたがらない

など、理由はさまざまです。そして、その理由によって対処法は違います。

まずは、

  • 前夜の就寝時間から見直す
  • 起こし方を工夫する

の2点を見直してみてください。

前夜の就寝時間から見直す

朝起きられないのが遅刻しがちな原因だとしたら、生活リズムや睡眠の環境を見直してみましょう。
本人がすっきり起きるためには何時間の睡眠が必要なのかを理解します。
たっぷり寝ているはずなのに深く眠れていないということもあります。そうした時には、睡眠の質を上げる工夫をしましょう。

よい睡眠がとれる環境は人それぞれです。
音があった方が眠れる子もいれば、無音が良い子もいる。真っ暗な方が眠れる子もいれば、少し明るさがある方が眠れる子もいる。お布団の肌触りや寝る部屋の環境がそれを左右する場合もあります。子どもに合った睡眠環境を見直してみましょう。

起こし方を工夫する

朝、子どもを起こす時にも工夫はできます。
声がけだけでは起きない、という子はけっこういるもの。
おなかを、やさしく何度かトントンするとぱっちり目を覚ます、少しゆすると目を覚ます、という子どもたちもいます。
自分の子どもの特徴を理解し、確実に目を覚ますアプローチを見つけられると楽になるはずです。
起きてもぼーっとしているという時には、脳も体もしっかりとは目覚めていないのかもしれません。窓際につれていって太陽の光を浴びる、お水を飲む、交感神経を優位にするとされるペパーミントやオレンジ系のアロマを嗅ぐ、冷たい水で手を洗うなど、工夫をしてみましょう。
それでもどうにもならない時は、ひとりで悩まず、学校の先生に相談してみましょう。家での現状を話し、何かよい方法はないかを、一緒に考えてもらうのです。学校に遅刻してはいけない!ということを私たちは大前提にしていますが、それによって苦しくなってしまうなら、助けてもらってよいのです。

遅刻をしない、時間を守る、ということは、いずれ社会に出る時には必要となるスキルです。そして、小学校の間はそれを身につける最初の期間。

大切なのは、なぜ子どもがそうであるかを理解し、どうしたらミッションをクリアできるかをともに考え、手助けしていくことです。どんどんママ・パパが、助けましょう。そして、先生方にも助けてもらいましょう。

子どもにかける言葉を変えてみて

困りごとの対処法を考え出す時に助けとなるのが、私たち大人の側の意識の変化を促す「言葉の使い方」です。

困りごとの対処法を考え出す時に助けとなるのが、私たち大人の側の意識の変化を促す「言葉の使い方」です。

「忘れ物をしないためにどうするか」ではなくて、「準備を整えるためにはどうするか」。
「遅刻をしないためにはどうするか」ではなくて「時間を守るためにはどうするか」。

このように、問題の方に向きがちな意識を、達成すべきミッションに向ける工夫をします。

そして、一回一回の目標をはっきりと決めます。
「ママに助けてもらいながら教科書とノートはちゃんと準備ができた」という目標が達成できたら、次に「自分ひとりで準備できた」など。
「朝、時間通りに起きられた」という目標が達成できたら、次に「家を出る時間を守れた」「家を出るまでに、少し余裕の時間をもてた」など。できることが増えていることに気づくと、子どもの自信につながります。

最後に

きちんと荷物をそろえて出かけるにはどうしたらよいか、どんな工夫が必要かを、子どもたちは今、学んでいる最中です。

きちんと荷物をそろえて出かけるにはどうしたらよいか、どんな工夫が必要かを、子どもたちは今、学んでいる最中です。
それが習慣となり自然とできるようになるまでは、どうしても手助けが必要です。できないことを注意したり叱ったりすることよりも、できていることは何で、できていない点は何か。どうしたらできるようになるかを伝えていけるとよいですね。

文:いしづかみほ

大手進学塾の講師を経て、不登校、発達症、虐待とネグレクト、愛着障害等々の教育相談と学習指導、カウンセリングを20年にわたり行ってきた。漫画家。イラストレーター。カウンセラーでセラピスト。
著書「マンガでわかる!発達症との向き合い方」(impress Quick Books)

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