サービスデザインでまなんだ「ユーザー視点」の重要さとは?

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COE LOGの活動を通して、子育てをしながら家事や仕事にと、多くのタスクを抱えて奔走する子育て世代の姿を目の当たりにしてきました。
少しでもその負担や悩みを軽減し、子育て世代がより楽しく子育てに向き合う一助になりたい……そう模索する中で私たちがたどり着いたのは、「子育て支援アプリ」というアイデア。
今回、「サービスデザイン」という手法を通じてサービスづくりを進めてきた中部電力の久保壮一郎、梶田瞳美、中電シーティーアイの竹本弘美がこれまでを振り返りました。

ユーザ視点を取り入れた「サービスデザイン」への挑戦

ー 「子育て支援アプリ」とはどのようなものですか?

久保

「昨年度実施した子育てハッカソンで出たアイデアの1つです。「サービスデザイン」という手法によってサービスづくりを進めてきました。

サービスデザインとは、顧客の視点からサービスの機能と形態を扱うもので、サービスのインターフェースが顧客にとっては有用かつ利用可能で望ましいものであり、提供者にとっては効率的で独自性があるものを目指す、分野横断的なアプローチです。
サービスデザインとは、サービス提供者が顧客の視点を取り入れたうえでサービスの機能・形態を生み出すことをいう

ー サービスデザインという手法を体験していかがでしたか?

梶田

サービスデザインに対しては、ぼんやりとしたイメージしかありませんでした。ただ、実際に形にできれば、ユーザー視点でつくる新たなサービス構築の方法として、画期的な事例になるのではないかという思いを抱いたのを覚えています。

今回のプロジェクトはSTEP1からSTEP6へと進行していく。STEP1はサービスの全体像を把握する「課題整理」。STEP2はサービスの仮説検証と不足している要素の検討をする「仮説検討」。STEP3は知見を有する専門家やステークホルダーへのヒアリングをおこなう「調査」。STEP4はサービスの詳細検討とサービスのコンセプト検証をおこなう「サービス検討」。STEP5は価値体験を体現するコンセプトづくりをおこなう「プロトタイピング」。そして最後が主にサービスのコンセプトについてヒアリングをおこなう「検証検討」である。
今回、サービスデザインをおこなううえで経たプロセス。座談会の時点ではSTEP4までが完了していた

梶田

3人のお子さんを持つお母さんでもある竹本さんがプロジェクトに入ったとき、自分では思いつかないような意見に、すごく納得させられました。例えばイベントの情報を精査する際、オムツ替えできる場所があるかとか、食事中に騒がしくしても大丈夫かとか。子育て当事者ならではの視点の重要さを痛感しました。

竹本

母という視点は持ちつつも、私自身がエンジニアであるという点で葛藤はありました。どうしてもシステム面の現実性などから考えてしまい、それが思考の足かせとなってしまって、システムの専門知識を持たない一般の方がどういう動線で使うかなど、自由に発想できないということも。そういった点では、ユーザーの声を直接聴くというステップはすごく意義があったと思います。

左から竹本、梶田、久保。竹本の「母目線」での意見から多くの気づきを得たという梶田

お母さんが求める“人的サポート”を支える役割

ー ステークホルダーの話を聞くというステップ(STEP3)では、どのような気づきが得られましたか。

竹本

私はどちらかというと、子育て中のお母さんの悩みに共感してしまって、情報を発信するという自分の立場にジレンマを感じた部分もありました。例えば、わずかな時間でも子どもと離れて、大人同士で他愛もない話をするような空間を提供するとか。あるいは、日々仕事と家事に追われて、子どもとしっかり向き合えないお母さんには、月に何回かでも、家事を丸ごと請け負って子どもとべったり過ごせる日をつくってあげるとか。やはりお母さんが一番うれしいのは人的支援ではないかと感じます。そういう意味で、情報発信という自分の役割に、もどかしさを感じたことも事実ですね。

開発者であり母親でもある竹本は、時に自分の立ち位置に迷うことも

久保

だからこそ、人的な支援を提供している団体や行政の情報をしっかり届けること。“人的サポート”を支える、助けるための情報発信という意味で、意義あるものにしていきたいですよね。

サービスデザインの取り組みへの不安感と手応え

セッションの様子。サービスに関わる人たちから得たインタビューを振り返り「本当に価値のあるサービスとは何か」を考えた

ー 不安に感じた局面は。

久保

通常、サービス開発の工程では、ソリューションが決まったところからスタートすることが多いです。曖昧な要件に対して、認識のズレを埋めていきながら、どのように収束させていくかという部分に多くの労力を割きます。だからワークショップなどで、思いつきの意見がどんどんふせんに書かれて貼られ、発散されていく様子を見ていると、どこかで収束させなければいけないのだと、すごく不安になりました(笑)。
ただ、考えてみたら新しいものをつくるのだから不安は当たり前。だからこそ仮説を検証し、見直すというプロセスにつながるのだと思い直したら気持ちが楽になりました。

サービスを利用するユーザーへの理解を深めるためにセッションを重ねた。そのセッションで貼られたふせん

お母さんの悩みを解決する双方向のサービスに

サービス完成に向け責任感を感じつつも、大きな期待を抱く三人

ー 今後の展望についてお聴かせください。

梶田

サービスを一方向的な情報の配信だけではなく、お互いがやりとりできる、双方向のコミュニケーションが生まれるものにしていきたいです。さらに、一回の利用だけではなく、継続して使ってもらえるものにすることが目標です。そのためにも、必要なときに見てもらえて、お母さんの悩みをしっかり解決できるサービスに成長させなければと感じます。

竹本

お母さんは本当に忙しいので、スピード感を重視して、待たせないサービスにしたいですね。

久保

今秋からは実際にフィールドに出て、将来のユーザーとなるお母さんの生の声を聞きます。多様な学びを受け取ってサービスに反映させながら、勇気を持って新たなサービスの誕生へ向けてプロジェクトを進めていきます。

編集後記

サービスデザインという慣れない手法に戸惑いは感じつつも、子育て課題を抱えている市民の皆さまに喜んでいただけるようなサービスを作り出そうと切磋琢磨している様子を感じ取ることが出来ました。私もサービスデザインに参加させていただきましたが、これまでとは全く異なる視点で子育て課題と向き合うことが出来たため、非常に有意義な経験となりました。「何ができるか」よりも「何が求められているか」をこれからも追及し、より良いサービスとして皆さまにお届けして長くご利用いただけるように一緒に頑張りましょう。(中部電力 荒木岳文)

文:花野静恵

撮影:古里綾乃

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