スポーツの秋、運動不足の大人は気を付けて!【医師解説】

スポーツの秋、運動不足の大人は気を付けて!【医師解説】

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スポーツの秋がやってきました。子供たちの運動会や地域のイベントなどで、普段運動不足の大人が、つい頑張りすぎてしまうこともあるでしょう。そしてスポーツをする時、多くの人はケガしないよう、入念な準備運動すると思います。しかし、その準備運動こそが危険なのです。今回は、スポーツをする時に注意すべき点について解説していきます。

その準備体操が危険です

私が子供の頃、運動会の日には準備体操として必ずラジオ体操をさせられていましたが、子供ながらに「これって何の意味があるのだろう?」と疑問を感じていました。しかし、準備体操には体を温めて筋肉の柔軟性を上げ、ケガを防ぐ効果があります。

特にデスクワークが中心の大人は、仕事やストレスで体が硬くなりがちです。その状態で急に体を動かすと、関節や筋肉に思わぬ負担がかかったり、体を上手に制御できずに転んだりして、捻挫や肉離れなどをしてしまうことも。準備体操を行うことで筋肉の柔軟性が上がり、運動能力を十分に発揮できます。しかし、その準備体操が、思わぬケガの原因になってしまうケースがあるのです。

準備体操にストレッチはOK?

運動前の準備体操として、ストレッチを行うことで筋肉を伸ばしている人は多いと思います。ストレッチには大きく分けて、「静的ストレッチ」と「動的ストレッチ」があります。

静的ストレッチ

筋肉や腱にゆっくりと伸びを感じながらストレッチすることを指します。

筋肉や腱にゆっくりと伸びを感じながらストレッチすることを指します。例えば、太ももの前側の筋肉(大腿四頭筋)を伸ばす時は、立った状態で片足を後ろに持ち上げて膝を曲げ、足首を手で掴みます。そして、かかとをお尻に近付けて、この状態を15~30秒程キープします。静的ストレッチは硬くなった筋肉を柔らかくし、関節の可動域を広げるだけでなく、リラクゼーション効果もあります。

動的ストレッチ

筋肉を伸ばしながら、同時にジョギングのような適度な運動をとり入れることで、筋肉の柔軟性やバランスを改善します。体を動かし、心拍数を上げて筋肉に血液を送り込み、さらに体温も上がって、ストレッチの効果的が高まります。

そして、動的ストレッチには「ダイナミックストレッチ」と「バリスティックストレッチ」の2種類があります。

ダイナミックストレッチは、筋肉を伸ばした状態で反動を利用して一定のリズムでバウンドさせながら、さらに筋肉を伸ばすことで柔軟性を向上させる方法です。 ダイナミックストレッチは、筋肉を伸ばした状態で反動を利用して一定のリズムでバウンドさせながら、さらに筋肉を伸ばすことで柔軟性を向上させる方法です。

運動前は動的ストレッチを

一般的に、運動前に静的ストレッチをするのは推奨されていません。体がリラックスするので協調運動(複数の動作を連携させて行う運動)ができなくなり、むしろケガの原因になるとも言われています。

運動前には動的ストレッチをするようにしましょう。ラジオ体操は動的ストレッチに分類されます。しかし、動的ストレッチの中でもバリスティックストレッチは注意が必要です。体が温まる前に勢いよく反動をつけて筋肉を伸ばしてしまうとケガの原因にもなります。

運動不足の人がスポーツをする前には、無理のない範囲で動的ストレッチを行い、少しずつ体を温めながら関節の柔軟性を上げるようにしてください。

運動後には整理体操を

整理体操は、筋肉や関節をリラックスさせ、疲労の回復を図ることを目的として運動後に行われます。激しい運動をした後、クールダウンせず急に動きを止めてしまうと、運動によって蓄積した疲労物質が除去されず、疲労回復が遅れてしまいます。そのため、整理運動として軽いジョギングやウォーキングを行うことで、体への負荷を徐々に下げ、さらに静的ストレッチをすることで心身がリラックスします。

多くのトップアスリートを指導しているトレーナーによると、「寝転がった状態で誰かに手足を持ってもらい、軽くゆすられるだけでよい」ということでした。私も実際に体験してみると、心身ともにリラックスできました。さらに、使い過ぎた関節を氷で冷やしてアイシングするのも効果的です。

そもそも準備体操って必要なの?

日本の武道は、昔の武士達が身を守るための術技から始まっています。昔の武士が突然敵に遭遇し、「ちょっと待たれい! 準備体操をしてからじゃ」なんてことはなかったでしょう。急に動いてもけがしないような体の使い方を身につけていたはずです。

例えば、歩き方ひとつをとっても、私たち現代の日本人は右足を前に出したら、左腕を前に出すというように手と足を交互に動かしながら歩きます。さらに詳しく見ていくと、前に出した足を地面につけ、その足に体重をかけながら地面を蹴るという動きになります。

昔の日本人は着物を着ていたため、着崩れしないように両手を振って歩くことはしませんでした。

昔の日本人は着物を着ていたため、着崩れしないように両手を振って歩くことはしませんでした。骨盤を前の方に出し、重心を移動させながら歩いており、地面を蹴るための力を蓄える必要がなかったのです。

私の道場ではケガをしないための体の使い方として、「足を踏ん張らないこと」を教えています。先ほどの現代の歩き方で走ったり、ジャンプしたりすると、「踏ん張る」動きにつながります。例えば、バスケットボールやサッカーなどで急な方向転換をする時、膝と足首に力を入れて踏ん張る動きをしなくてはなりません。そして踏ん張った時に膝関節の半月板損傷や靱帯損傷、アキレス腱断裂、肉離れ、足関節の捻挫などを引き起こすケースがあります。

一方、武道の体の使い方は、昔の武士の体の使い方に由来しているので、「踏ん張る」動きをしません。うっかり転びそうになった時には踏ん張るのではなく、「うまく転ぶ」のです。この転び方は、「受け身」として柔道などでも教えられています。スウェーデンで躰道(たいどう)を教えている友人は、「子供たちに転び方を教えたら、ケガが90%減った」と話していました。

力を抜いて上手に転ぼう!

私の叔父が子供の頃、「柿を食べようと柿の木に登り、落ちて骨折をした」という話をしていました。それを聞いた別の叔父は、「余計な力を入れるからケガをするんだ。自然に任せて力を抜いていたら、落ちてもケガはしない」と自慢していました。

転び方も同じだと思います。柔道の受け身は知らなくても、転びそうになったときに踏ん張らず、力を入れず倒れてください。そうすれば、大きなケガにはつながらないはずです。

ある会社がおこなった調査では、子供の運動会に出場してケガをした男性の7割が「想像していたほど身体が動かなかった」と答えています。スポーツの秋、運動不足を感じている人は少しずつでも身体を動かす習慣を身につけ、ケガをしにくい健康な身体を目指してください。

文:十河剛

筆者:十河剛 (そごうつよし) 先生

十河剛 (そごう・つよし)
済生会横浜市東部病院小児肝臟消化器科部長。小児科専門医・指導医、肝臓専門医・指導医、消化器内視鏡専門医・指導医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター。
診療を続けていく中で、“コーチング”と“神経言語プログラミング(NLP)”と出会い、2020年3月米国 NLP&コーチング研究所認定NLP上級プロフェッショナルコーチの資格を取得、2022年全米NLP協会公認NLPトレーナーとなる。また、幼少時より武道の修行を続けており、現在は躰道七段教士、合気道二段、剣道二段であり、子供達や学生に指導を行っている。
「子供の一番星を輝かせる父親実践塾」Voicyにて毎朝6時から放送中。
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