起立性調節障害ってどんな病気?【中日こどもウイークリー】

起立性調節障害ってどんな病気?【中日こどもウイークリー】

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朝、頭痛やだるさがひどくてどうしても起きられない。でも、午後になると体調が良くなる。こんな症状に悩んでいたら、「起立性調節障害」という病気かもしれません。思春期に発症しやすく、学校に行くことができない人もいます。

朝、頭痛がひどくて起きられない

「おなかが痛かったり、頭が痛かったりして、だんだん朝に起きられなくなりました」。

「おなかが痛かったり、頭が痛かったりして、だんだん朝に起きられなくなりました」。神奈川県横浜市の中学3年生、中山知佳穂さん(15)が話します。小学校6年生の5月のことでした。

学校は遅刻が増え、夏休みが明けた新学期からは、欠席も多くなりました。学校に行きたくないわけではないのに、どうしても体を起こすことができません。病院を4、5カ所回り、やっと原因が分かりました。自律神経の働きの不調で、体を起こした時に、体や脳への血流が低下する「起立性調節障害」でした。

自律神経とは、血圧の調整や体温の維持など、自分の意思とは関係なく働く神経のことです。このバランスが崩れると、血流の調節もうまくいかず、立ちくらみやめまい、頭痛、腹痛、倦怠感などの症状が現れます。

当事者同士の交流会発足

中山さんは、血圧を上げる薬などを飲んで治療を開始。でも、中学1、2年生の時は体調が悪くほとんど学校に行けませんでした。

話す相手は家族だけ。「同じ病気の当事者同士であれば、分かり合えることもある。安心して話せる場所がほしい」と思ったそう。そこで中学2年の5月、「起立性調節障害の子どもたちの会」を発足。今は、神奈川県、茨城県、兵庫県などの中高生12人が会員となり、月に1度オンラインで交流会を開いています。

「サボっている」と誤解も

起立性調節障害チェックリスト

起立性調節障害は、午前中は調子が悪く、午後になると徐々に回復することも多いです。外見だけでは分からないため、「怠けている」「サボっている」と誤解されることも。中山さんは、病気を正しく伝えたいと考え、「子どもの輪―起立性調節障害を当事者から広める会」もつくりました。1月下旬にリーフレットを完成させ、まずは神奈川県内の中学校で配布してもらいたいと考えています。

中山さんは、中学3年の春から体調が整ってきて、授業が受けられるようになりました。でも学校に行けず、とてもつらく感じている人が今もいます。「こういう病気があることを、少しでも多くの人に理解してもらえたらうれしい」と話します。

中学生の約1割に症状

日本小児心身医学会によると、起立性調節障害は小学校高学年から多くなり、中学生の約1割にみられます。

残念ながら、まだ特効薬はありません。血圧が低ければ血圧を上げる薬、頭痛やめまいがあれば鎮痛剤やめまい止めなど、症状を和らげる治療をします。昭和大の田中大介教授によると、高校を卒業するころに良くなる子も多いそうです。体調が完全に戻らなくても、午後から活動するなど、体調に合わせた生活を送っている人もいます。

周りの人は何ができるでしょうか。起立性調節障害の症状のつらさ、学校に行きたくても行けないつらさを知り、気持ちに寄り添うことが、病気に悩む人の大きな力になります。


この記事は「中日こどもウイークリー」で2025年1月18日に掲載された記事を転載しています。

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