この記事は「中日こどもウイークリー」で2025年4月12日に掲載された記事を転載しています。
新生活が始まり、新しそうな制服に身を包んだ児童生徒を見かけますね。学生服には100年以上の歴史があります。愛知県小牧市にある誉(ほまれ)高校では、全国的にも珍しいパーカの制服を導入。どんな狙いがあるのでしょうか?
軽やかな着こなし
紺色のパーカを軽やかに着こなす生徒たち。胸元には校章、フード右側には銀色のローマ字で校名が記されています。見た目は、スポーツブランドの洋服のよう。カジュアルにも見えますが、他の制服と同系色で、きっちりとした印象も持ち合わせています。
誉高では2023年、制服を刷新するのをきっかけに、新たにパーカの制服を作りました。以前は、パーカを学校で着ることは校則違反でしたが、生徒たちからの要望もあり実現。入学式などの式典では、ブレザーを着ることが義務付けられていますが、それ以外は特に決まりはありません。
8割の生徒が毎日のように着用
冬は、部活で着るアンダーシャツを中に着たり、上からブレザーを羽織ったり。夏でも、冷房で肌寒い時にTシャツの上から着ることも。どんな着方でも動きやすいよう、ジャージーのような柔らかな素材が使われています。学校によると、約8割の生徒が毎日のように着用し、自分なりの着こなしで過ごしています。
生徒たちからの評判も上々です。「生地に伸縮性があって、通気性も良いので着心地が良い」と3年の藤井心愛さん(17)。同じく3年の中村拓亮さん(17)も「家でリラックスする時も着ています」とお気に入りの様子。シャツなどと比べて洗濯もしやすいことも好評だそうです。
パーカを採用したことで生徒たちの生活に乱れはないといいます。制服が特徴的なことで、登下校時に他校の生徒と判別がつきやすく、防犯上でもメリットがあるそうです。
制服を手掛けた、学生服メーカー「トンボ」(岡山市)によると、パーカの制服を採用する学校は、全国的に増えています。他にも、近年の暑さ対策としてハーフパンツの制服や、フリースの素材の制服も開発されました。「多様性を問われるようになった今、ジェンダーレス制服をはじめ、新しい着こなしのアイテムとして求められているのでは」と担当者は話します。
いずれもトンボ提供
学生服の歴史
学生服の歴史は、明治時代初期の着物から洋服への移行期間に、男子大学生らがおそろいの洋服を着始めたのが起源とされています。その後、高等女学校に通う女子のはかま姿が社会的に認知されたことで普及したと考えられています。そもそも、学校指定の制服は何のためにあるのでしょうか?
学校制服に詳しい、お茶の水女子大の難波知子准教授によると、どんな服を着ているかで友達との関係を気にしたり、家庭の経済状況による格差を心配したりせずに済みます。「毎日の服装を自分で選ぶことが煩わしい人もいる。制服があるといろいろ気にしなくても済むこともある」と話します。
ただ、学校はいろんな考え方や個性を持った人が集まっています。難波准教授は、「一律の答えは出ない」とした上で、「冠婚葬祭の時に着られるなど、便利な面が多いことが長年着続けられる理由の一つなのでは」と推測します。