3月は卒業のシーズン。ともに過ごした仲間との別れは悲しいものですが、新しく始まる生活に胸が高鳴る季節でもあります。
今回は、名古屋市の草叢(くさなぎ)BOOKS 新守山店の協力のもと、この春、小学校・中学校・高校を卒業する人におすすめしたい本を3冊セレクトしました。同店店長・吉富圭さんのコメントもあわせてお楽しみください。
※本の画像をクリックすると出版社のサイトに移ります
小学校卒業生向け
「ハックルベリー・フィンの冒けん」
作:マーク・トウェイン
訳:柴田元幸
出版社:研究社
価格:2750円
発売日:2017年12月20日
主人公の少年トムが自然豊かな小さい町で、親友のハックたちとともに、さまざまな冒険を繰り広げる小説「トム・ソーヤーの冒険」。その続編である本作は、ハックと黒人奴隷ジムの逃避行を描いています。
「トム・ソーヤーの冒険」は、言うまでもなく全児童必読作ですが、小学校卒業のプレゼントには、少しばかり苦みもある、こちらをおすすめします。アメリカ文学研究・翻訳の第1人者である柴田元幸さんによる訳と、オリジナルイラスト174点を収録した、小さな宝もののような1冊です。
中学校卒業生向け
「竜馬がゆく」(文庫版、全8巻)
※画像・下記データは新装版・第1巻のものです
作:司馬遼太郎
出版社:文藝春秋
価格:869円
発売日:1998年9月10日
かつての武田鉄矢青年を夢中にさせたことでも知られる歴史小説であり、たぐいまれな青春小説を中学校卒業のプレゼントにおすすめします。
坂本竜馬の描かれ方については賛否両論あるようですが、司馬遼太郎の書く竜馬の、とりわけ「まだ何者でもない」時代の彼の輝きは不滅です。読めば、この人を好きにならずにはいられないし、この国と世界を面白くするため、何かを始めずにはいられないでしょう。
高校卒業生向け
「ぼくがゆびをぱちんとならして、きみがおとなになるまえの詩集」
著:斉藤倫
画:高野文子
出版社:福音館書店
価格:1320円
発売日:2019年4月10日
詩が好きで、本に囲まれて1人で暮らす「いい年をしたおっさん」の「ぼく」と、近所に住む小学生の「きみ」の対話が20篇の詩としてつづられています。
対象年齢は「小学中学年から」という児童書ですが、「ぼく」と「きみ」の淡々としたひと夏を描いたこの物語を読めば、その思いがけない深みにハッとさせられることでしょう。難解とされる現代詩を日常生活に引き寄せる、良いきっかけにもなると思います。
漫画家・高野文子さんによる美しい装画と、何よりもこの素晴らしいタイトルのこの本は、これから新しい一歩を踏み出す高校卒業生への、ささやかで優しい記念品です。
最後に
新しい一歩を踏み出す季節にぴったりな3冊を紹介しました。素敵な本から元気をもらって、良いスタートを切れるといいですね。
この記事は「TSUTAYA」などを運営するカルチュア・エクスペリエンスの協力のもと、作成しました。