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2024年10月、これまでで1番大きい素数が見つかったというニュースがありました。より大きな素数の発見は6年ぶりです。巨大な素数を探す世界的プロジェクト「グレート・インターネット・メルセンヌ素数探索(GIMPS)」が鍵になりました。
素数って?
素数とは、2、3、5、7、11、13……のように、1とその数自身でなければ割り切れない2以上の整数のこと。古代ギリシャや中国では、素数に関する2000年以上前の記録が見つかっています。
無限に存在することが知られていますが、その数が素数かどうか簡単に判定する方法はありません。いろいろな数で割って、割り切れないことを確かめればいいのですが、数字が大きくなるほど大変です。前回の発見は2018年12月。同じGIMPSで見つかりましたが、今回より1600万桁以上小さい数でした。
どうやって見つけた?
GIMPSでは、「メルセンヌ素数」という素数を探します。2を何回も掛け算してから1を引いた数は、「メルセンヌ数」といわれ、その数が素数の場合、「メルセンヌ素数」といいます。メルセンヌ数に限ると、素数かどうかを判定する方法があり、効率的に探せることがポイントです。ちなみに、17世紀にこの法則を研究したフランスのマラン・メルセンヌの名前にちなんで名付けられました。
GIMPSは、このメルセンヌ素数を探すプロジェクトです。何千人ものボランティアたちが参加し、それぞれが持つコンピューターの一部を使って、手分けして、メルセンヌ素数を探しているのです。
素数の発見はすごい?
GIMPSは1996年に始まりました。その前から見つかっていたものを含めると、メルセンヌ素数の発見は今回で52個目。素数に詳しい愛知工業大の松本耕二教授は「いずれ誰かが見つけるとわかっていた。でも、探すのは大切なこと」と話します。
新しい素数を探す人たちを駆り立てているのは、もっと大きな素数を知りたい、発見したい、という好奇心です。でも、素数を見つける利点はそれだけではありません。
スマートフォンなどのデータ通信は、他の人に盗み見されないように暗号化されています。素数同士の掛け算を利用した「素数暗号」がよく利用されていて、使える素数の数が増えるほど暗号も解読が難しくなります。
身近なところで素数は生活を支えているんですね。
この記事は「中日こどもウイークリー」で2025年2月8日に掲載された記事を転載しています。