手紙やはがきの郵便料金が、2024年10月1日から値上がりしました。値上げは、消費税の増税によるものを除き、1994年以来、30年ぶり。背景には、電子メールなどを使う人が増えたことで、郵便物の量が減り続けていることがあるようです。
はがきは85円に、手紙は110円に
主な新料金は、郵便はがきが63円から85円になりました。2024年11月1日から販売が始まった年賀はがきも85円です。定形郵便物の手紙は25g以下が84円から110円に、50g以下が94円から110円に、それぞれ値上げされました。
切手は、新たに12種類の販売を始めました。値上げ分を追加して貼れるよう、22円や26円が販売されています。デザインも新しくなり、85円切手の図柄は「松」、110円は「千鳥」が採用されています。
なぜ値上げ?
郵便を利用する人が減ったことが大きな要因です。日本郵便(東京)によると、国内の郵便の利用数は、2001年度の262億通をピークに、毎年減り続けています。2023年度は136億通と、ピークから半減しました。
また、燃料費の高騰や働く人の人件費の上昇が重なったことも影響しています。集配を頼んでいる運送業者に支払うお金も増え、2023年度の郵便事業は896億円の赤字になりました。事業が民営化されてから初めて赤字になった2022年度(211億円の赤字)に続き、2年連続となりました。
今後の課題は?
安定的な郵便サービスのためには、黒字化が課題になります。郵便の利用者が減る「郵便離れ」が進む中、どこまで事業の立て直しができるか先行きが見えない状況です。
今回は郵便料金の値上げで対応しましたが、これだけで今後も赤字がなくなるとは考えにくいです。配達する距離によって料金を変えるという案もありますが、郵便局に持って行く手間が増えてしまい、逆に利用する人が減ってしまう心配もあります。
郵便は、法律で全国どこでも、誰もが公平に使えるように決められています。全国一律の料金で、ポストに投函したらどこにでも送れることが、魅力の1つでもあります。
郵便制度に詳しい、東京成徳大の武井孝介教授は、「日常生活や経済活動に必要不可欠な社会インフラ(社会に必要な基盤)として維持していくには、国民が税金でその費用の一部を負担するなど、国が支えていくことも検討する必要があるのでは」と話します。
この記事は「中日こどもウイークリー」で2024年10月12日に掲載された記事を転載しています。