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「軟骨無形成症」という難病を抱えながら、ダンサーとして活躍するDAIKIさん(30)。128㎝の身長は「自分のブランド」と話します。2024年は大河ドラマで俳優にも挑戦。人生を変えたダンスとの出合いと、今後について聞きました。
小学生で難病に気付く
DAIKIさんが自身の特徴に気付いたのは、小学4年生のとき。「背が小さい」「足が遅い」「手が短い」……。同学年の人と比べて、自分の体に抱いていた違和感を、学校にあったパソコンのインターネットで調べました。
軟骨無形成症とは、骨が成長するための細胞の一部がうまく働かず、身長や腕、指など全身の骨が伸びにくくなる病気です。2万人に1人くらいの割合で生まれるとされ、全国に約6000人の患者がいると推計されています。
「難病だと知ったときはショックでした。それまでは、例えばいっぱいご飯を食べれば大きくなれる、と信じてやってきたのです。今までの努力は何だったのだろう、という思いになりました」。帰宅するやいなや「どうして伝えてくれなかったの」と母親に迫ると、「いつか自分で気付いたとき、前向きに受け止めてくれると思った」という答えが返ってきたそうです。
ダンスとの出合い
それでもDAIKIさんは「頭で分かっていても、受け止めるのは難しかった」と振り返ります。学校では、自分の外見に向けられる心ない言葉に傷つき、けんかに明け暮れる日々。投げやりになりかけていた中学時代、友人が踊っているのを見て、ダンスの存在を知りました。
中でもDAIKIさんが共感し、のめり込んだのが、社会への怒りなど激しい感情をダンスで表現する「クランプ」。「怒りをけんかではなく、ダンスで伝えることができるようになってうれしかった」そうです。
大学では保健体育の教員免許も取得。卒業後は先生として働くことを希望していましたが、採用してくれる学校はありませんでした。「ダンスしか生きる道はない」と心に決めたDAIKIさんは、障害の有無にかかわらず楽しもうと結成されたダンスチーム「ソーシャルワーカーズ」に加入。2022年からは、代表を務めています。「病気や障害のために、ダンスをしたくてもあきらめてしまう子もいる。誰でも通えて、交流できるようなダンススタジオを作りたい」と今後の目標を語ります。
大河ドラマにも挑戦
ダンサー以外にも活動の幅を広げているDAIKIさん。現在放映中のNHK大河ドラマ「光る君へ」では、初めて俳優に挑戦しました。演じたのは陰陽師、安倍晴明に従う「須麻流(すまる)」というオリジナルキャラクター。謎めいた存在感は、大きな話題を呼びました。
出演がきっかけになり、街中で出会った子どもたちから声をかけられる機会も増えたそうです。これまでの人生で何度も挫折を味わってきたDAIKIさん。「障害のある人でも活躍することが当たり前と感じられる社会になってほしい。自分が先駆者になって道を開いていきたい」と力を込めます。
この記事は「中日こどもウイークリー」で2024年10月5日に掲載された記事を転載しています。