この記事は「中日こどもウイークリー」で2026年2月7日に掲載された記事を転載しています。
野球の強豪国が世界一の座を争う「ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」が日本やアメリカなどで開かれています。過去5回の大会のうち3度の優勝を誇る日本の活躍を期待する声が高まる半面、今回は熱戦をテレビで気軽に楽しむことができそうにありません。一体、何が起こっているのでしょうか?
WBCが遠い存在に!?
大谷翔平投手が最後の打者から空振り三振を奪った瞬間、マウンド上に広がった日本ナインの歓喜の輪。強敵のアメリカを相手に大接戦の末、日本が3-2で競り勝った決勝の大熱戦を、今も鮮明に覚えている方もいるのではないでしょうか。

2023年3月の第5回WBCの決勝で、日本が栄冠を勝ち取ってからまもなく3年。でも、前回まではテレビの前で手に汗を握りながら見守ることができたWBCが、私たちにとって遠い存在になってしまいそうです。
全試合が有料配信のみ
その理由は、アメリカの動画配信大手のネットフリックスが、WBCの日本での独占放映権を獲得したからです。その結果、大会の全47試合はネットフリックスだけがライブと、見たいときに見られるオンデマンドで配信することになりました。ネットフリックスは会員制で有料。前回まで見ることができた地上波やBSなどで中継する計画はありません。
背景には、前回大会で30億円(推定)だった放映権料が、今回は150億円(推定)と高額化したことがありそうです。近年、オリンピックやサッカーのワールドカップなどの国際大会は、放映権料が高額化しています。

さらに、WBCならではの問題も。WBCは、アメリカ大リーグ機構(MLB)とMLB選手が立ち上げたワールド・ベースボール・クラシック・インクという企業が主催しています。WBCというコンテンツで稼ぎたい主催者と、日本人の活躍で会員を増やしたいネットフリックスで、思惑が一致して、独占配信が決まったとみられます。そもそも野球振興のために参加してきた日本とは考え方が異なります。
「地上波などで観戦できないと、今後はWBCや野球自体への興味や関心が失われていくのでは?」と心配する声は少なくありません。
利益重視に問題はないか
中日新聞文化芸能部の住彩子記者は「『見て知る』という入り口から選別し、一部の狭く深いファンだけのスポーツになってしまったら、果たして未来はあるのか」と疑問を投げかけます。さらに「営利を追求した結果、競技そのものが先細るとしたらどうでしょうか。大会を主催する側もスポーツ界も、考えるべきときに来ています」と訴えます。




