子ども食堂で地域のつながりを深める「つなぐハウス」

子ども食堂で地域のつながりを深める「つなぐハウス」

近年、貧困の支援やフードロスの削減を目的として、また地域のコミュニティの活性化を目指して、各地で「子ども食堂」が開かれるようになりました。子どもであれば無料、もしくは安価で食事ができ、保護者なども利用可能です。地域の人々が子どもを囲んで気兼ねなく集い、食事を共にする貴重な機会にもなっています。

名古屋市昭和区で、「つなぐハウス」が運営する子ども食堂も、その一つ。子どもや高齢者をつなぎ、さらには貧困問題にも積極的に手を差し伸べようとする活動を取材しました。

子どもが主役の「第三の居場所」

落ち着いた住宅街の一角に「つなぐハウス」の暖簾が揺れています。暖簾の奥からは、子どもたちの元気な声。つなぐハウスは地域の誰でも利用できる第3の居場所です。建物の2階部分は和室になっており、乳幼児親子のイベントが行われたり、サークル活動をする地域の人が貸し切ったり。自由に使えるコミュニティースペースとして利用されています。

取材時には放課後の小学生が大集合し、お絵かきやおしゃべりをしたり、おもちゃを持って走り回ったり、自由に撮影できる一眼レフを構えたりと、思い思いに放課後を過ごしていました。毎日のように足を運ぶ子も少なくないようで「大人がいなくて、自由に好きなことができるから楽しい」と笑顔を見せてくれました。

「子どもが子ども自身で決めることを尊重しています」と語るのは、つなぐハウス代表理事の安藤綾乃さん。「子ども同士が折り合い、自分たちの場を作る経験をしてほしいと思っているんです。だからスタッフの大人がルールを決めることはありません。よっぽど危ない時をのぞいて彼らに任せて、私たち大人は階下にいます」

子どもたちの様子から貧困を感じることはありませんが、ぽろりと漏らす言葉や相談から家庭内や学校の問題が見えることもあるそう。

子どもたちの様子から貧困を感じることはありませんが、ぽろりと漏らす言葉や相談から家庭内や学校の問題が見えることもあるそう。
「習い事や塾にも通っている子が『お母さんは全然ご飯を作ってくれない』と話したこともあります。ここでは元気で友達もいる子が、『学校は大変』と愚痴ることも。単純に経済的なサポートでは支えられない、見えにくい問題も存在すると感じます」

コミュニティづくりを目指して

つなぐ子ども未来の代表理事・安藤さんは看護師。障害児医療に携わるうちに、たとえ障害がある子でも暮らしやすいコミュニティを作りたい、という思いから2017年に活動を開始しました。

つなぐ子ども未来の代表理事・安藤さんは看護師。障害児医療に携わるうちに、たとえ障害がある子でも暮らしやすいコミュニティを作りたい、という思いから2017年に活動を開始しました。2019年には「つなぐ子ども未来」として一般社団法人化し、活動を続けています。

当初は寺社やコミュニティセンターで子ども食堂を開催し、子どもを交えて料理をすることもあったそう。飛び入りもOKで未就学児も参加していたので、毎度大騒ぎでしたが、なんとか仕上げた料理を食べるときには、みんな満足した表情を浮かべていたそうです。

2020年に現在の場所に常設となり、コロナ禍での活動のあり方に悩みながら、第3の居場所と子ども食堂の開催を続けています。

つながりを深めるお弁当

現在のつなぐハウスの子ども食堂は、お弁当を提供するスタイル。月曜はシニア応援として高齢者世帯へ配布し、木曜は子育て応援で大人350円・子ども150円で子どものいる家へお弁当を届けます。

現在のつなぐハウスの子ども食堂は、お弁当を提供するスタイル。月曜はシニア応援として高齢者世帯へ配布し、木曜は子育て応援で大人350円・子ども150円で子どものいる家へお弁当を届けます。申し込みに応じて毎回30食程度を用意しますが、要望が多く70食を2週にわたって届け、ようやく希望者に行き渡ったこともありました。

食材はフードバンクを展開する「セカンドハーベスト」や「おてらおやつクラブ」から提供を受けたり、ご近所さんが野菜を持ってきてくれたり。お寺の供物のお下がりをいただくことも多いそうです。

「先日、お弁当を利用しているお母さんが、ハンドメイドのアクセサリーをたくさん寄付してくださったんです。利用者に自由に持っていってもらえるようにしたら、放課後に遊びにきていた小学生の男の子が、『お母さんにあげようかな〜』って選んでいて。素敵なつながりですよね」

食の提供でさらなる支援を

地域のコミュニティ作りを目指す活動とは別に、安藤さんは本当の貧困層にもアウトリーチしたいと考えるようになりました。

 

地域のコミュニティ作りを目指す活動とは別に、安藤さんは本当の貧困層にもアウトリーチしたいと考えるようになりました。今年の3月末には「食によるカラダ作り応援」と題して、食に困難を抱える家庭に野菜や肉を配送しました。同時に提供家庭にアンケート調査を行い、家庭の状況やニーズを細かく把握しました。

その結果から、見えてきたのは各々の家庭の複雑な状況。パントリーの利用が恥ずかしかったり、食料を取りに行く足や時間がなかったり、ギリギリで公的支援を受けられない程度の貧困のために、逆に困ってしまうことが多かったり。調査結果を受けてつなぐハウスでは、無人パントリーの設置を構想しました。そして、申し込んだ人だけがロックを解除できる冷蔵庫を実際に設置し、「24時間冷蔵庫」として事業を開始しています。他団体とも協力しながら、今後も市内に数を増やす予定です。

おわりに

安藤さんは地道な活動に手応えを感じています。
「わかりやすい貧困ではなくても、家庭や学校で問題を抱えている子どもはいるので、第3の居場所がある意義は大きいと思います。つなぐハウスはお弁当や食材提供によっても、コミュニティの形成や助け合いを促進していますが、さらに広いエリアでの貧困支援にも、食材提供のカタチで取り組んでいきたいですね」

つなぐハウスの活動は、単なる子ども食堂の枠を超えて、地域の多くの人を支える取り組みへと発展をみせていました。

文・写真:鈴木満優子

<施設紹介>
「つなぐハウス」
住所:愛知県名古屋市昭和区長戸町5-46
運営団体:一般社団法人 つなぐ子ども未来

 

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