コンサート自粛と再開、それぞれの思いは? ~長久手市新型コロナ対策モデル事例レポート~

コンサート自粛と再開、それぞれの思いは? ~長久手市新型コロナ対策モデル事例レポート~

新型コロナ感染症対策のため、人の集まるイベントの中止や延期が続いています。緊急事態宣言が解除されても、文化・芸術分野の活動はまだまだ制限されている状況。これを受け、2020年6月23日(火)愛知県長久手市文化の家で開催された『ゆったりカルテット』は、新しい時代のモデルコンサートです。「距離を保つ」感染症対策をおこなったコンサートにCOELOG編集部がうかがい、その様子を取材しました。

長久手市 文化の家

「第一音目の『ソ』の音が合わさった瞬間『やっと、音が出せた!』という新鮮な感覚でした。」
この日のコンサート第一部を終えたヴァイオリニスト平光真彌さんの声です。3月8日に無観客でのライブを開催して以来、2ヶ月半ぶりのコンサートだったそう。

2ヵ月ぶりのコンサート、音を重ねた瞬間に新鮮な感覚

安心してコンサートを楽しむために

梅雨真っ只中の晴天の日に開催された、新型コロナウイルス感染症対策モデルコンサート~ゆったりカルテット~。通常717人収容の長久手市文化の家 森のホールにて、50人限定で開催されました。

開演前もソーシャルディスタンスを意識

開演前も、しっかり距離を保ち並びます。

1人1人、検温をしっかりと行います

1人1人、検温をおこないます。

手指の消毒も念入りに

確実に、手指の消毒も。

スタッフの方もマスク、フェイスシールド、手袋を着用

スタッフの方は全員、マスク、フェイスシールド、手袋を着用していました。

ガラガラに見えますが、これで満席

席はガラガラに見えますが、50人限定のため、これで満席です。

赤い座席のみを客席として販売

赤い座席のみを客席として販売、14時の部・19時の部ともにチケットは完売。

感染リスクをおさえるために、今回のコンサートでは以下のことがおこなわれていました。

  • 入場者の検温とアルコール消毒の実施
  • スタッフのマスク、フェイスシールド、手袋の着用
  • お客さま同士は2mの距離を保ち、マスク着用
  • 演奏者同士も2mの距離を保つ
  • 曲紹介などで演奏者が話す際はアクリル板の前でおこなう
  • 通常より短め、1時間以内に終了

13時30分に開場、14時に開始し、アンコール含めて6曲演奏されました。

お話はアクリル板のついたて越しに

曲紹介などのお話は、アクリル板のついたて越しにおこなわれます。

客席に座ると視界に他の人の頭もほとんど入らないため、演奏者の姿もハッキリ見えます。隣りにも前にも人のいないゆったりしたホールで聴く演奏は、まさにファーストクラスにいるような贅沢な感覚。美しい音色に包まれ、感動に浸りながら、あっという間の1時間でした。

コンサートに来場したお客さまの声

コンサート終了後、来場したお客さまに感想をうかがってみました。

「隣りの席と距離があって、開演前のワクワクを共有できないのは残念でした。でも、コンサートが始まると、演奏に集中できて、どこから音が流れているかもクリアに聴こえます。終わった後も最後の余韻に浸ることができて、すごくよかったです。」
40代女性・長久手市在住

「在宅勤務の休憩がてら聴きにきました。仕事の合間に地元のコンサートに行けるのはいいなと思います。」
40代男性・長久手市在住

「最初の音が重なった時に、鳥肌が立ちました。今、自分に必要なのはコレだったんだなと。素晴らしい音楽に感動しながら自然と涙がこぼれて…とても良い時間でした。」
40代女性・愛知県在住

コンサート開場から出て行くマスク姿のお客さま。はっきり表情は見えませんが、1時間の演奏からそれぞれ温かいモノを受け取っているのは、推し量られました。

「やっと、重たい扉が開いた」演奏者の声

第一部のコンサート終了後、出演者であるヴァイオリニスト平光真彌さんにお話を伺いました。

出演者であるヴァイオリニスト平光真彌さん

Q
コンサートを終えてみてどうでしたか?
A
3月から公演ができない状態で、やっとここで音が出せるんだ・・・という特別な瞬間、新鮮な感覚を味わえました。やっと、重たい扉が開いたような、そんな気持ちです。
演奏者同士も2mの距離をとるということで、最初は音のズレ、予想と違うところで音が出るなど、その時差を埋めるのに大変でした。
でも、物理的な距離をとらなければいけない中で、どうメンバーと音と心を合わせていくかに目を向けられるように。今までにない経験をすることで、メンバーの特徴も分かり、自分たちの成長にも繋がったと思います。
コンサートは、曲をつくった作曲家、演奏者、そして会場にいるお客さまの熱量の3つが合わさってできるもの。正直いえば、もっとたくさんの人に聴いていただきたい思いはあります。でも、今日弾いてみて、マスク越しでも好意的に聴いて下さっているお客さまの思いが伝わってきて、とても嬉しかったです。
しばらくは新型コロナの影響も続き、今までのようなコンサートもできないと思います。
その中で、今回はまず第一回目を「やれた」というのが大きな収穫です。

「今回、第一歩を踏み出せた」主催者の声

コンサートを開催した長久手文化の家 事務局長補佐兼事業係長の生田創さんにお話をうかがいました。

Q
コンサートを終えてみてどうでしたか?
A
「やってよかった」と改めて思っています。演奏者もお客さまも安心して演奏して聴ける場を提供するための第一歩を踏み出せました。

第一回目なので、何が起こるかも分からない状況でしたが、これからどう対策するかを探る目安になるのではと。今回、アンケートもとらせていただき、お客さまに不安を与えていなかったかなども検証し、今後に繋げていきたいです。

自粛で感性や感情も止められてしまっている今だからこそ、音楽・芸術が必要ですし、それを届けていきたいです。

長久手文化の家 事務局長補佐兼事業係長の生田創さん

コンサートの様子、YouTubeフルバージョン

当日のコンサートの様子は、こちらでご覧いただけます。
2020年6月23日(火)新型コロナウイルス感染症対策モデルコンサート 午后の佇み ~ゆったりカルテット~(50分)

新型コロナウイルス感染症対策モデルコンサート 午后の佇み ~ゆったりカルテット~(50分)

最後に

新型コロナ感染症の不安を抱える中で、「やる決断」も「やらない決断」も選択肢としてはあります。どちらにもメリット・デメリットがあり、正解も分かりません。ただ、音楽・芸術を必要とするお客さまがいて、それを提供できる・提供したいと思っている演奏者の方がいます。
モデルコンサートがおこなわれた長久手市文化の家では今回の検証結果を踏まえて、第二回を実施する予定とのこと。新しい時代のイベントは、スタートしたばかりです。

撮影・文:三輪田理恵

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