地域の困りごとを解決したい!福祉のなんでも相談員CSWとは?

地域の困りごとを解決したい!福祉のなんでも相談員CSWとは?

「コミュニティ・ソーシャル・ワーカー(以下CSW)(自治体によっては「地域福祉コーディネーター」とも呼ばれます。)」をご存知でしょうか。少子高齢化が進む現代、公的な福祉サービスだけでは対応できない生活課題が増えているなか、世代や内容を問わず、幅広い悩みの相談に応じるCSW。もちろん子育て世代の味方にもなってくれます。今回は、地域で困っている人を支援するCSWがどんな活動をしているのか調査しました。

CSWの活動内容は?

CSWが受ける相談や支援活動は多岐にわたります

日本では、2004年に大阪府豊中市が最初にCSWを導入しました。その後、徐々に全国の自治体の社会福祉協議会などに広がっています。専任のCSWを小学校区ごとに配置する市町村もあれば、職員がCSWを兼務してチームで中学校区ごとに対応するなど、体制はさまざま。
2008年に厚生労働省から発表された「これからの地域福祉のあり方に関する研究会報告書」において、「地域福祉のコーディネーター」の必要性が明記されました。高齢者や障がい者への公的な福祉サービスが発展していく一方で、それだけでは対応できない生活課題があることや、制度の谷間で困窮している人が少なくないことが浮き彫りになってきたのです。CSWが受ける相談や支援活動は多岐にわたります。以下はほんの一例です。

  • 一人暮らし高齢者や障がい者宅のゴミ出し、電球交換のような「ちょっとしたこと」の手伝いなどの制度で拾えないニーズ
  • 要支援・要介護にならない軽度障がい、病気やけがによる一時的な要支援状態等、制度の谷間にある人々などの対応
  • 一世帯に二つの問題(DV被害と非行など)を抱えた家庭に対し、必要なサービスを組み合わせて提供する
  • 地域で居場所のない若年者やホームレスなど貧困を含む低所得の問題
  • ゴミ屋敷問題
  • ひきこもりの問題
  • ストレスが溜まっていて誰かに話したい など。

かつては地域に暮らす人々がご近所付き合いをしていて、なにか困り事があった場合でも助け合うことで、生活は支えられてきました。しかし現代は少子高齢化が進行し、高齢者の一人暮らし、核家族化、個人主義的傾向が高まり、「ご近所」の人間関係を形成することが難しくなっています。また、住民同士の支え合いの中でも、困難で複雑な問題にぶつかることもあります。住民やさまざまな関係者とのつながりづくりを援助したり、複数の制度・サービスを提案したり、新しい仕組みづくりを調整する役割を担うCSWの必要性はますます重要になっています。

子育て世代に多い相談は?

私たち子育て世代はどのようなときにCSWの力を借りるとよいのでしょうか

では、私たち子育て世代はどのようなときにCSWの力を借りるとよいのでしょうか。
西小学校区のCSWとして活躍している長久手市社会福祉協議会の塚本さんにお話を伺いました。

編集部
子育てや学校、教育に関して、どのような支援をされていますか?
塚本 さん
小学校区で支援も異なりますが、ある地区では、夏休みに小中学生向けに学習支援や、こども食堂を開催しました。また、別の地区では、登下校時の子どもの見守り活動の周知・啓発に力を入れたりする活動などがあります。個別の相談はもちろん、イベントや周知・啓発活動もしております。イベントの中で、子どもの服装や身なりから貧困や虐待に気付くきっかけにもなることもあります。
編集部
子育て世代の方からの相談はどのようなものがありますか?
塚本 さん
不登校・ひきこもり、発達障がいの相談、あとは話し相手になってほしい などです。
編集部
そのご相談に対して、どのような対応をされたのでしょうか。
塚本 さん
まず、お話を伺います。どんなことに困っているのか、どうしていきたいのかなど、相談者さんが話したいことを話していただきます。その後、必要な支援を相談者の方と一緒に考えていきます。例えば、不登校のお子さんのご相談であれば、月1回程度の訪問からスタートし、お子さんと関係づくりを図っていきます。その後、適切な支援団体を紹介したりし、お子さんと支援団体をつなぐ役割を果たします。
また、子育てをしていく上で、社会から孤立したり、塞ぎがちな気持ちになることがあります。そんな時は、誰かと話すことが大事です。そのため、CSWは地域での居場所づくりに力を入れています。

実際の活動のエピソードは?

親御さんたちがつながりを求めていることを再認識することができ、今後の活動に役立てたいと感じています

編集部
今まで、さまざまな相談を受けられたと思いますが、印象に残っているエピソードはありますか?
塚本 さん
コロナ禍で子育て中の親御さんが、どのような困りごとがあるか、公園で調査しました。5月頃ということもあり、子ども用のマスクが不足していることや、各公共施設や、ショッピングセンターのプレイルームが閉鎖したこと、親御さん同士の交流・情報交換の場がないことがわかりました。子ども用のマスクに関しては、本会で手作りマスクの募集を呼びかけ、多くのボランティアの方から寄付を頂き、配布しました。今回のことで、親御さんたちがつながりを求めていることを再認識することができ、今後の活動に役立てたいと感じています。

最後に

活動の中で、子育て世代のつながりづくりの大切さを再認識された塚本さん。「安心して子育てできる地域を目指す」ことを理念の一つに掲げている当メディアCOE LOGとCSWの活動は同じ方向を目指していると感じました。中部電力と長久手市は子育て世代の困りごとを少しでも解決するために「子育て支援アプリ」※を開発。長久手市CSW出張相談会のお知らせは、このアプリにも掲載されています。
※2021年12月に「子育て支援アプリ」は「きずなネットアプリ」として生まれ変わりました。

きずなネットアプリの詳細はこちら

CSWは、一人でも多くの方の悩みごとを聴きたい、力になりたいという思いから、精力的にPR活動を行っています。回覧板に毎回チラシを入れたり、大学生の有志と一緒に地域福祉に関する冊子を作ったり。一人で悩みを抱え込んでどこに相談すればいいかわからない時、CSWの存在を思い出してください。CSWは、住民が一人では解決できない課題などに寄り添います。不安や困りごとを抱えている方は、ささいなことでも気軽に相談してみてください。

【お話を伺った方の紹介】
長久手市社会福祉協議会 西小学校区 コミュニティ・ソーシャル・ワーカー
塚本 悟詞(つかもと さとし)さん

長久手市社会福祉協議会 西小学校区 コミュニティ・ソーシャル・ワーカー  塚本 悟詞(つかもと さとし)さん

長久手市では、2014年から各小学校区に専任のCSWが活動しています。
どこに相談したらいいんだろう・・・誰かに聞いてほしい!
そんな時は、なんでもお伺いしますので、ご相談ください!

■お問い合わせ先
社会福祉法人 長久手市社会福祉協議会 地域支援係
電話番号:0561-62-4700
受付時間:午前9時~午後5時
休館日:月曜定休(祝日の場合は翌平日)

文:杉本 愛子

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