知り合いの少ない引っ越したばかりのまちで、小さな子どもを育てるのは大変ですよね。近所のママ・パパとおしゃべりしてみたいと思ったことはありませんか?今回は、愛知県長久手市で親同士の交流の場を作っているNPO法人「ながいく」を紹介します。代表の田中さんに活動への思いを聴いてみました。
地域で活動するNPO法人ながいく
長久手市を中心に活動する子育て支援NPO法人「ながいく」は、地元のママ・パパたちと交流できる場を作っています。代表は3人の子どもを育てるママである、田中直子さん。生まれも育ちも長久手市で、まちのことをよく知っています。「子育て支援アプリ」の制作においても、ママ目線のご意見をたくさんいただいています。
※2021年12月に「子育て支援アプリ」は「きずなネットアプリ」として生まれ変わりました。

ながいくの取り組みの1つが子育てひろば「ぽんぽん」です。「ぽんぽん」はママや子どもが気軽に集まれる場所で、どのように過ごすかは自由です。子ども同士で遊んだり、ママ同士でおしゃべりしたり。子育て経験のあるスタッフもいるため、子どもにかかりきりだったママもほっと一息つける、そんな空間です。それぞれの人がそれぞれのペースで過ごすことができます。
2020年7月、長久手市内の一軒家を借りてリニューアルした「子育てシェアの家ぽんぽん」にうかがいました。
ママたちの思いやりでつくる空間
この日の子育てひろば「ぽんぽん」には、5~6組の親子と4名のスタッフがいました。朝10時に始まり、お昼ごはんの時間を経て、13時に終わります。最初に受付を済ませれば、いつ来ても、いつ帰っても自由です。最初から最後までいた親子もいれば、30分だけ寄っていった親子もいました。中にはおばあちゃんと8ヶ月の孫の姿も。家でお母さんが休めるように、孫を連れて遊びにきたとのことです。もちろんママだけでなく、パパもくることができます。
リニューアルした「ぽんぽん」は、一軒家の中にある16畳ほどの広いスペースになりました。和室で子どもたちが遊んでいる様子は、まるで実家に帰ってきたような安心感があります。棚にはたくさんの絵本やおもちゃがズラリ。これらはほとんど寄付によって集まったものです。先輩ママたちが、子どもが大きくなり使えなくなった服も提供してくれました。机や椅子などの家具類も、廃棄される予定のものを譲ってもらっています。
備品だけでなく運営もここにくるママたちの協力が大きな支えになっています。子どもの面倒を見るのはスタッフだけではありません。ここにいる大人みんなで子どもたちを見守ります。泣いている子がいたら誰かが抱っこする。さびしい壁には誰かが飾りを作って貼る。初めてきた親子にはみんなであいさつし、温かく迎える・・・。
まだまだリニューアル途中の「ぽんぽん」ですが、さまざまな夢があります。キッチンを改装してみんなで食事をとれるようにしたり、洗濯機を置いてみんなで一気に洗濯したり、2階にママの仮眠室を作ったり。「ぽんぽん」は、ここにくるみんなの手で作られるのです。
ながいくの代表 田中さんはママたちに対し、「誰かがいるときくらいは目を離してもいいよ」と優しい言葉をかけます。子どもはみんなで見守るもの、そういう思いを込めて「ぽんぽん」を運営しています。
ながいく代表 田中さんの思い
ながいくの活動はどのようにして始まったのでしょうか?
代表の田中さんが別の子育て支援団体で働いていたときのこと。ホームセンターで赤ちゃんを抱っこし、小さな上の子どもの手を引きながらうなだれているママを見つけたそうです。そのママは旦那さんに怒鳴られ、その場に置いて行かれてしまいました。自分と子どもたちだけで帰ることもできない様子です。そのとき田中さんはとっさにそのママに声をかけ、連絡先を渡しました。
- 田中 さん
- 「でも、知らない人に連絡をとって相談するのはハードルが高いですよね。個人で助けることの難しさを感じ、『絶対NPOをやろう!』と決心しました。シングルマザーや貧困、病気といった明確に支援を必要とする人たちだけでなく、その一歩手前にあるつらい思いをしている人たちも助けたいんです。」
その後、長久手市周辺で子育て支援活動をしていたメンバーが集まり、NPO法人「ながいく」が誕生しました。団体となったことで活動の幅が広がり、支援者や協力者も増えました。一緒に活動しませんか、と誘ってくれる人が増えてうれしく感じているそうです。「NPOになってよかった」と、ながいくのみなさんは口を揃えます。
とはいえ、NPOの運営は大変なことが多いといいます。
- 田中 さん
- 「NPO法人として提出する書類など事務仕事も案外時間がかかるんです。ながいくは大きな収入があるわけではなく、限られた助成金や長久手市の皆さんのお気持ちで、なんとかやっています。」
ながいくはNPOとなって2年目なので、税金を払わなくてはいけません。ボランティアでやっている活動も多く、経済的に恵まれている状態ではありません。その中でも田中さんたちは精力的に新たな活動に向けて動いているようです。
- 田中 さん
- 「キッチンを改装してこども食堂のようにしてもいいし、夜泣きで眠れないママのために仮眠室を作りたいとも考えています。庭先でビニールプールを広げてもいいですね。そういえば、もうすぐ『ながいくTシャツ』もできるんですよ!」
ながいくはこれからもさまざまなことにチャレンジし、長久手のママたちがつながるきっかけを作っていきます。
おわりに
ながいくではママたちの”ゆるいつながり“ができる場を提供しています。こまめに連絡を取り合う関係ではなく、子育てひろば「ぽんぽん」に来たときだけおしゃべりをする。肩の力を抜いてつながれる、そんな場所です。長久手のママたちの思いがたっぷりつまった優しい空間に遊びに行ってみませんか。
ながいくの詳しい情報はこちらから。
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子育てひろば「ぽんぽん」など、ながいくのイベント情報はきずなネットアプリでも受け取れます。
文:奥村香保里 撮影:杉本愛子