消防士から農園経営へ!子供達の未来を笑顔でつなぐために

消防士から農園経営へ!子供達の未来を笑顔でつなぐために

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~「人と社会をつなぐお仕事」シリーズ
vol.7:すまいるベリーズ長久手 柴田竜伺さん~

たくさんの職業がある中で、なぜその仕事に情熱を燃やすのでしょうか。「人と社会をつなぐお仕事」シリーズでは、インタビューを通して地域社会・コミュニティを支える人にスポットを当てていきます。働くことを通して、人と人、人と社会をつなぎ、むすびあわせることを目指します。

第7回目は、愛知県長久手市の「すまいるベリーズ長久手」代表の柴田竜伺さん。小1・小3のお子さんをもつ2児の父であり、消防士・救急救命士として14年間勤めていたところから、農業の道へ。いちご狩りをおこなう観光農園を2022年からスタートしました。「届けたいのはいちごだけじゃない。大切な仲間と大切な時間を過ごしてほしい。」という柴田さんに、お話を伺いました。

柴田さんのこれまでのキャリア

すまいるベリーズ長久手は、2022年1月にオープンした愛知県長久手市にある観光農園

すまいるベリーズ長久手は、2022年1月にオープンした愛知県長久手市にある観光農園。真っ白なスペースに緑と赤が映えるいちご狩り農園の他、いちごスイーツの販売やいちごの直売もおこなっています。

農園を始める前は、消防士・救急救命士として勤めていた柴田さん。農業をやろうと思ったのは、3年前、家族でいちご狩りに行ったことがきっかけだったそう。

「いちご狩りを楽しむ『子ども達の楽しそうな笑顔』を見て、ハッとしたのです。実家は観葉植物を育てる農業を営んでおり、幼い頃に、両親は農業をやめてしまっていました。幼心に残っていたビニールハウス内の『匂い』や『眩しい光』が蘇ってきて、人を楽しくする環境を作りたい!観光農園をやりたい!そんな思いがわき上がってきました」

また、それまで少しギクシャクしていた家族が、いちご狩りの楽しい体験を通して上手くまわるように。「笑顔を作れば人を助けられる」そう思った柴田さんが、行動に移すのに時間はかかりませんでした。

土地が見つからず通い詰める日々

農起業を支援する県の農業普及課に行き、農家さんを紹介してもらいました。そこからは、消防士としての仕事をしながら、休日には農業研修を受けに行く日々です

農起業を支援する県の農業普及課に行き、農家さんを紹介してもらいました。そこからは、消防士としての仕事をしながら、休日には農業研修を受けに行く日々です。
ただ、いちご農園を作りたいという思いがあっても、農地を探すところからのスタート。地元周辺では条件に合う土地がなかなか見つかりませんでした。
そのため、自宅から車で1時間ほどの、長久手市で農地を探すことにしました。
名古屋市に近く里山があり、若い人も多くて活気がある街。ここなら人も集まるのでは?と、思ったからです。

休日に長久手市に足を運び、良さそうな農地があると法務局に行って地主の方を探してお話しする・・・ということを2年くらいおこなっていました。
なかなか農地が見つからず、もう諦めかけていた頃です。市内の協力者の方から連絡があり、土地を貸してもよいという地元建設会社、加藤組の社長である加藤さんをご紹介いただきました。

仲間の力があったから進めた道

農地を借りることができたものの、元々田んぼだったところからの畑づくりです。

農地を借りることができたものの、元々田んぼだったところからの畑づくりです。
さあ、何から始めようか・・・と思っていたら、自分が動く前から地主の加藤さんが、田んぼに土を入れてすでに動き始めてくれていて。その姿を見て、感動で胸が熱くなりました。
初めての農業、よき相談相手となり、協力してくれる加藤さんがいてくれることが大きな力に。そして「転んでも俺がおるから大丈夫」と言ってくれたことが後押しになり、前職に辞表を出したのが2021年3月でした。
翌月からは加藤さんの会社に籍を置かせてもらいながら、農業研修を受けに行き、いちご農園の準備を始めました。

加藤さんとは親子ほど世代は違いますが、お互いの夢がよく似ています。
加藤さんからは「地域のものを集めて売ってみたら?」「ものづくりしている人を集めて縁日したら?」など、アイデアがいっぱい出てきます。
これ、現代風にアレンジしたら「マルシェ」だな、おもしろそう!など。加藤さんの夢を僕が今の時代に合わせて形にしていきたいと考えています。

毎日が「お休み」みたいに充実

長久手市の農園は自宅から少し離れているため、今は単身で長久手市に住んでいます。

長久手市の農園は自宅から少し離れているため、今は単身で長久手市に住んでいます。
妻と子どもは、週末こちらに来て農園を手伝ってくれています。
お休みはないといえばないのですが「仕事をしている」という感覚がなく、毎日がお休みみたいに本当に楽しく充実した日々です。

1月に農園をオープンして、おかげさまでたくさんの方に来園していただいています。
救急救命士時代もそうでしたが、人が救急車を呼ぶことは滅多にないので、救急車に乗ることは非日常であり特別な経験です。ただ、自分にとっては仕事なので、毎日のこと。
いちご狩りも、来園してくださる方にとっては、非日常の特別な体験。働く自分にとっては、日常ですが、来て下さる方の特別な時間を、どれだけ楽しいものにできるかを日々考えています。

いちごはどこでも食べられるけど、誰と、どんな環境で、どんな時間を過ごすか。
キレイな空間で、落ち着いて食べられる環境で、ゆったりとした時間を過ごしてほしいと考えて作ったのが、すまいるベリーズ長久手のいちご狩りです。

大切な人と特別な時間を

いちご農園で研修を受けていた時に、いちご狩りに来ている方の話をずっと聞いていました。

いちご農園で研修を受けていた時に、いちご狩りに来ている方の話をずっと聞いていました。
「何個食べた?」「元とろうね」「もうお腹いっぱい」そんな会話をしながら、ほとんどの方の滞在時間は20分程度です。すごくもったいないなと思いました。
せっかくの楽しい時間、よい写真を撮って、よい瞬間を切り取って思い出に残してほしい。
たくさんいちごを食べることより、どんな仲間とどんな時間を過ごすか。そこを大切にしたいので、食べ放題ではないスタイルを取り入れました。

すまいるベリーズ長久手の料金システムは、バスケット制。入園料1人500円、1バスケット1500円という形です。バスケットに詰めるだけいちごを採って、ゆっくりとテーブル・イスに腰掛けて食べていただいています。
バスケット1杯が、ちょうどいちごが美味しく食べられるサイズ。カゴの数は選べるので、複数人で来て、カゴの数を減らしてパフェを食べて帰るお客さまもいます。
架台も白色のペンキを塗って、園内は真っ白な空間に。貸し切りイベントもおこなえるようにしました。
空間にもこだわり「たくさん食べる」だけではない、新しい価値へ挑戦しています。

新たな夢に向かって準備中

季節的に6月末にいちご農園は終わります。隣の畑でこれから野菜を植えて、夏には体験型のバーベキューをおこなう計画を立てています。

季節的に6月末にいちご農園は終わります。隣の畑でこれから野菜を植えて、夏には体験型のバーベキューをおこなう計画を立てています。
ここではきれいな井戸水も使えるため、野菜を収穫して、セルフキッチンで調理して、みずみずしい新鮮な野菜サラダやバーベキューが食べられる体験型イベント。
今収穫したいちごも冷凍しているので、夏には冷凍いちごのスイーツとして提供していきます。
従業員は20歳前後の若いメンバーが多いですが「大人が楽しむ」を自分が率先しておこない、真似してもらえたらと。子ども達にもそんな父親の背中を見せていきたいです。

【お話を伺った方の紹介】
すまいるベリーズ長久手
代表 柴田 竜伺(しばた りゅうじ)さん

すまいるベリーズ長久手

すまいるベリーズ長久手のマークは、いちごといちごがつながって笑顔になっているマークです。
1秒でも笑っていられる時間を増やしていきたい。大切な仲間との大切な時間を過ごす場所を提供したいと思っています。
ぜひ、すまいるベリーズ長久手に遊びに来てください!

文・聞き手:三輪田理恵

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