愛知県長久手市で有名な公園の1つといえば「古戦場公園」。徳川家康と豊臣秀吉が直接対決した場所で、国の指定史跡地です。そしてもうひとつ、長久手古戦場と合わせて史跡を擁する公園が、色金山歴史公園(いろがねやまれきしこうえん)。家康が陣を張って軍議を開いたといわれる山で、平成8年に公園として史跡の周辺が整備されました。静寂に包まれた森の中に立つ、展望テラス。石碑が並ぶ道をゆったり歩くと、時間が経つのを忘れてしまいそうです。今回は、色金山歴史公園の魅力をご紹介します。
色金山歴史公園ってどんな公園?
色金山歴史公園は「古戦場公園」から北に1㎞ほどのところにある、緑に囲まれた公園。全体案内図をみても分かるように、木々が多く(緑色の部分)、夏場でも涼しいのが魅力です。
地図出典:長久手市パンフレットより
「色金山歴史公園」の名前の通り「山」です。ただし、山といっても傾斜は比較的緩やかなのでお散歩やジョギングにもぴったり。
緑に囲まれた、公園内の道
公園の北側には、親水広場があります。家康軍が戦いの際、馬に水を飲ませた泉があったとされることに因んで名付けられた馬泉水(ばせんすい)広場。この日は、水が出ていませんでした。(2020年6月23日時点)
馬泉水(ばせんすい)広場
山頂の広場に向かって歩くと、通路の脇のあちこちに小さな観音様がいます。地面や木の幹の色に溶け込むようにひっそりと。一つとして同じポーズをとるものはなく、静かにこちらを見つめているようです。
道路の脇に立つ、観音様
激しい争いで、3,000人以上の死者が出た、長久手の戦い。公園内には、慰霊碑が立っています。日清戦争の石碑もありました。
長久手の戦いの慰霊碑
緑のカーテンに包まれているような、木々のトンネル。気持ちよい木漏れ日を浴びながら、山頂へ向かう階段を上ります。
床机石広場に向かう階段
ココは見たい!チェックポイント
400有余年の時を経て、歴史を感じられる色金山歴史公園。たくさんの見どころがある中で、特におさえておきたい場所を3つご紹介します。
●家康が座った石?!床机石
床机石広場にある「 床机石(しょうぎいし)」は、家康が軍議の時に座っていた石。この石に腰掛けながら、軍議を開いたそう。ここで家康は、何を見て、考え、どんなことを話していたのでしょうか。
床机石と解説の看板
●景色を一望できる展望テラス
山頂には、戦国期の砦(とりで)を思わせる木製の展望テラスもあります。
公園山頂の展望テラス
階段をのぼり、上から景色を眺めると、激戦地となった仏ケ根方面(現在の長久手古戦場付近)が遠望できます。きっと夜景もキレイだと思います。
展望テラスからの景色
展望テラスの下には、長久手の戦いを描いた大きなレリーフが掲げられています。「家康軍議の図」と「進軍の図」があり、合戦の様子がイキイキと描かれています。
レリーフ「家康軍議の図」(夢童由里子作)
頂上で景色を一望し、園内を歩いた後に、ぜひ寄っていただきたいのが茶室です。
【茶室・胡牀庵(こしょうあん)】
公園内には、一服250円で、抹茶体験ができる茶室があります。国宝茶室「如庵(じょあん)」を模してつくられた『胡牀庵(こしょうあん)』のほかに、立礼席(りゅうれいせき/椅子に腰掛けておこなう茶席のスタイル)と二つの和室があります。
茶室については、事前に情報をご確認いただいてからの利用をおすすめします。
茶室・胡牀庵(こしょうあん)の入り口
山を下り駐車場の西側には池が広がっています。池の周りも木々に囲まれていて平坦な道。公園内をのんびり歩くだけで、あっと言う間に1時間ほど経ってしまいます。
公園西側に広がる池
色金山歴史公園のアクセスは?
住所:愛知県長久手市岩作色金37-1
計55台駐車可能な無料駐車場(2カ所)
●車
名古屋瀬戸道路「長久手」ICより約2km、無料駐車場あり(夜間は閉鎖)
●公共交通機関
地下鉄東山線「藤が丘」発「福祉の家」行き、「瀬戸駅前」行き、または「菱野団地」行きの「岩作」下車、北へ徒歩5分
リニモ「長久手古戦場駅」から徒歩20分
トイレは3カ所、多目的トイレもあります。(外2カ所、茶室管理棟1カ所)
色金山歴史公園内の公衆トイレ
最後に
遊具がある公園、水場のある公園、いろいろな公園があります。色金山歴史公園はゆったりと景色や史跡を眺めながら、過ごすのに適した印象の公園です。6月の昼間、1時間半ほど公園にいて、出会った人は2人だけ。
歴史を感じたい、運動不足を解消したい、森林浴したい、のんびり過ごしたい、そんな時に。穴場スポットともいえる色金山歴史公園で、いにしえを偲びながら過ごしてみてはいかがでしょうか。
文・写真:三輪田理恵