新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、さまざまなイベントが中止・延期になりました。子ども向けの自然体験学習などを行う愛知県長久手市の『平成こども塾』もそのひとつ。2020年3月~5月は、すべてのイベントを中止していましたが、6月から感染防止対策を行いながら順次再開しています。今回は、7月12日日曜日に行われたプログラム「竹で水鉄砲を作ろう」に伺ったので、その様子をご紹介します。
愛知県長久手市平成こども塾「丸太の家」
感染防止対策を行いながらの開催
梅雨の晴れ間の日曜日、長久手市平成こども塾『丸太の家』では、小学生向けのイベントが開催されました。「竹で水鉄砲を作ろう」のプログラムに集まったのは小学校1年生から5年生の男女とその保護者、15組の親子です。開催に伴い、以下の新型コロナウイルス感染症防止対策が行われました。
受付で、大人も子どもも全員検温します。
- 受付で検温、アルコール消毒の実施、マスク着用
- 人数制限
(通常定員25名を15名に、同伴は子ども1人に保護者1人まで) - 机の配置を変更
(向かい合わせではなく、学校の教室のように同じ方向に向いて座る形に) - 屋内の作業時間を短めに、屋外の活動時間をしっかりとる。
10時スタートで受付は15分前からでしたが、開始を待ちわびる親子連れが、早くから教室に集まります。子ども達は、机の上に揃えられた材料を見ながらソワソワ、水鉄砲作りが始まるのを待っていました。
材料の竹は、丸太の家近くの竹林で採って、担当の講師が2日かけて準備をしているそう。子どもがケガをしないよう、竹の切り口もやすりで削っています。
10時になると、「平成こども塾」主幹の青山さん、サポート隊の一員である瀬川さんから注意事項の連絡。そして、作り方を教えてくれる淺井講師にバトンタッチして水鉄砲作りが始まります。
水鉄砲作りの流れ
淺井講師が、分かりやすく丁寧に教えてくれます。
最初に、材料や道具の使い方を説明します。
「右利きの人―!」「左利きの人―!」講師は子ども達に問いかけながら、どちらの手に軍手をはめるかなど、ひとつひとつ丁寧に指導。道具の確認と準備が出来たら、制作が始まります。
- 最初は、水鉄砲の押し棒となる細い竹の端に爪楊枝を刺す作業。あらかじめ竹には穴が開いていて、その穴にかなづちで爪楊枝を打ち込みます。刺した爪楊枝は、適度な長さにはさみでカット。
「かなづちを初めて使った!」という子もいましたが、サポート隊が助けてくれます。
講師以外にオレンジ色のベストを着たサポート隊は4名。みんなの様子を見守りながら、困った時は助けたり、アドバイスをくれたりします。お父さん、お母さんと一緒に作る子も、1人で頑張って作る子もいます。
- 爪楊枝を刺した竹にスポンジを巻き、輪ゴムで固定。さっきの爪楊枝は、スポンジがズレないよう引っかかりを作るためのものです。
みんな真剣な顔で、作業に没頭しています。
- スポンジの上にガーゼを巻き、さらに輪ゴムで固定します。
紐ではなく輪ゴムで固定するから、子どもでも取り組みやすい作り方に
- ガーゼを巻いたら、太い竹の筒に押し棒の竹を入れます。そして、スポンジ、ガーゼの巻き具合を調整。上手くいくと、抜いた時に「スポーーン」と、良い音が鳴ります。
押し棒を抜くと「スポーーン」と、良い音が。嬉しくて何回でも繰り返してしまいます。
10時30分くらいになると、教室のあちこちから「スポーーン」「スポーーン」「スポーーン」と、竹を引き抜く音が鳴り響きます。そろそろ、出来上がった頃ですね。ここまでくれば完成です!
みんなの水鉄砲が出来上がったら、いよいよ自作の品を携えて外へ行きます。
水鉄砲で遊ぶ、といっても講師からは「人に向かって撃ってはいけません」と説明が。代わりの的はコチラです。
講師やサポート隊の人たちが作った的を目がけて水鉄砲を撃ちます。
水の入った桶から、水鉄砲に給水します。
用意された桶の水を、自作の水鉄砲に入れていきます。そして、的を目がけて思いっきり噴射する子どもたち。みんな夢中になって遊びます。
的に向かって上手に水鉄砲の水を飛ばしています。
繰り返していくうちにコツを覚えて、的中率が上がっていきます。
「人に向かって撃ってはいけません」と言われていたけど・・・最後は、「講師を目がけて撃ってください」と指示があります。
今まで撃っていた的の向こう側に立つ講師。遠いから、水鉄砲の水がなかなか届かない距離です。でも、人が的になると一気に子ども達のスイッチが入ります。
あれ?みんな、どんどんスタート位置が前に出てるんじゃない?全力で講師を目がけて水鉄砲を撃ちます。
このように、楽しい水鉄砲遊びも約30分ほどで終了。
淺井講師から、おうちでの水鉄砲の扱い方の説明。
最後に講師から水鉄砲の保管方法の説明です。竹はそのまま置いておくと割れてしまうことがあります。冷凍庫にしまっておくと、竹は青いままキレイな状態で保管できるそう。
このあと、教室に戻ります。講師が「今日、楽しかった人はー?」と聞くと
子ども達の感想は、満場一致で「楽しかった」でした。
「はーい!」という大きな声とともに、全員が挙手。とっても楽しかったようです。アンケートを記入したあと、みんな笑顔で帰っていきました。
参加者の声(アンケートより)
【子ども編】
- すごく楽しかったし、友達と遊べた。(小学1年生)
- 水鉄砲を飛ばしてとても楽しかったです。作るのがすごく楽しかったです。また作りたいです。(小学2年生)
- 私の水鉄砲は最初あまり飛ばなかったけど、やっているうちに長く飛ぶ方法が分かりました。ゆっくり押すと遠くへ飛びました。楽しかったです。(小学4年生)
【お父さん、お母さん編】
- 最近子ども達が家の中にいる時間が増えていたので、外で遊ぶことができて良かったです。
- 丁寧に講師もスタッフの皆様も教えていただき、大変親切にしていただきました。ありがとうございました。
- 自然にある素材で遊び道具を作り、緑のある場で楽しく過ごせる時間を過ごしたいと思い、参加しました。とても良い経験ができたので、このような機会があれば次もぜひ参加したいです。
「平成こども塾」とは?
愛知県長久手市が運営している体験型の学習施設。周囲の豊かな里山の環境を生かしながら、自然とのふれあい、食と農、ものづくり、伝統文化など、さまざまな分野の体験活動を実施しています。
休日は、ボランティアによる「平成こども塾サポート隊プログラム」、専門家による会員制の「専門プログラム」他を実施。
平日は「小学校連携プログラム」として、長久手市内の小学校6校の1年生から6年生まで1クラスずつ課外学習の授業を行っています。
- 食と農…畑や田んぼでの作業や収穫物を使った食イベントなど
- ものづくり…工作全般
- 自然観察・体験…自然観察とその体験
- 伝統文化・地域交流…書道、みそ作り、餅つき、長野県南木曽町との交流事業など
※現在は、新型コロナウイルス感染症対策のため、食のプログラム、小学校連携プログラムは休止しています。
最後に
平成こども塾『丸太の家』は、体験を通して子ども達の感性や自分で課題を解決していく力を育てることを目指しています。普段の生活でなかなかできない遊びなどをこうしたプログラムを通して親子で体験してみてはいかがでしょうか?
写真:杉本愛子・三輪田理恵 / 文:三輪田理恵