PTA主催!子ども食堂ならぬ「コミュニティ食堂」で地域の輪

PTA主催!子ども食堂ならぬ「コミュニティ食堂」で地域の輪

名古屋の市立小学校がPTAを中心に、コミュニティ食堂をオープンさせました。その名も「FUTABUCKS CAFE」。学校のシンボルである、「ふたばの子」という石像をもじった名前です。月1回の開催で、小学校を地域のつながりを作る場所に変えていこうとするプロジェクトをご紹介します。

コミュニティ食堂をオープン!

いつもは子どものいない日曜日の小学校から、楽しげな話し声が聞こえてきます。特別活動室と図工室の前には、受付に奮闘する子どもたち

いつもは子どものいない日曜日の小学校から、楽しげな話し声が聞こえてきます。特別活動室と図工室の前には、受付に奮闘する子どもたち。地域の老若男女が笑顔で案内を待っていました。実はこの光景、参観日や学芸会などの学校行事ではありません。名古屋市立陽明小学校で、子ども食堂ならぬ「コミュニティ食堂」がオープンしたのです。

案内された先は、事務机や図工用の机が並べられた教室。セルフサービスの列に並び、甘口も選べるカレーと、付け合わせに餃子をいただきます。さまざまな年齢の人がカレーを食べて語らっているのが、学校の教室であるという不思議な雰囲気に、話も弾んでいるようです。

PTA改革で地域と連携を深める

(PTAと学区連絡協議会有志の皆さん/後列左PTA水野会長、左から3番目林さん、後列右学区連絡協議会生野会長)(PTAと学区連絡協議会有志の皆さん/後列左PTA水野会長、左から3番目林さん、後列右学区連絡協議会生野会長)

2022年6月にグランドオープンした陽明小学校のコミュニティ食堂「FUTABUCKS CAFE」は、PTAが主催しています。陽明小PTAは、2020年から組織や仕組み、活動の見直しや改善を積極的に行ってきました。

「近年否定的に語られがちなPTAですが、できることは多いし、可能性も大きいと思っていました。意欲的なメンバーが役員になったことで、抜本的な改革が進んだんです」と水野会長。コロナ禍で会長含め役員の改選もなかったため、結果的に長期的な改革も可能になったと振り返ります。

一番大きな変化は、活動がボランティア制になったこと。役割に応じた担当者(委員)を各クラスから選び、その委員も輪番で務めなければならないという“強制参加”を廃止しました。委員は必要最低限の任命に留め、改めて必要な活動を洗い直し、さらに必要とされる活動を企画し、その都度参加者を募る形に変更。
「こんなやり方では活動自体が難しくなるかもしれないと懸念はしましたよ。その場合は、その活動はできなくてもしょうがないと思ってスタートさせましたが、杞憂でした。毎回、必要数以上に手をあげてやりたいと言ってくださる親御さんがいらっしゃいます」

その他にもPTAのメールシステムを整備して情報発信を密に行い、会員からの返信も受け付けることで、コミュニケーションを活性化させました。また、学区の連絡協議会との連携も強化しています。

「パトロール活動や家庭教育セミナーなどの企画に、地域の方から共感や応援をいただいて、PTAも地域の会合に顔を出すようになり、顔の見える間柄ができました。PTAも学区の方々も、地域や子どもに対する思いは同じだと感じられたんです」

有志の夢が結実

学区の連絡協議会とPTAが顔を合わせるうちに、自然にコミュニティカフェの構想が持ち上がりました。

学区の連絡協議会とPTAが顔を合わせるうちに、自然にコミュニティカフェの構想が持ち上がりました。
「長年、子ども食堂やコミュニティカフェをやってみたいと思っていた方がいらっしゃって。私もそのアイデアに共感しました」と語るのは、PTA役員の林さん。自分自身も祖母が経営する美容院で、お客さんに囲まれて地域に見守られながら育ったと感じており、コミュニティの重要性を痛感していました。

一方、連絡協議会の生野会長は「子どもってどこにいるんだろう、と思ってましたよ」と長年の思いを吐露します。
「地域で見守りたいと思っても、子ども会もなくなり、遊ぶ場所も少ない。塾に通う子も多いエリアですから、子どもと単身者、高齢者など世代間の交流は途絶えていると感じていましたね」

子どもを取り巻く大人たちがぼんやりと課題意識を抱えながら、向き合うすべを持たなかったことが、顔を合わせてアイデアを口にしたことで、動き出したのです。

学校の協力や地域の寄付が支えに

コミュニティカフェ開催へと動き出したPTAでしたが、飲食店のノウハウがあるわけでもなく、運営には試行錯誤しました

コミュニティカフェ開催へと動き出したPTAでしたが、飲食店のノウハウがあるわけでもなく、運営には試行錯誤しました。開催場所は学校に掛け合って校舎の一部を開放してもらい、調理は地域の有志が担当することに。食材は地元の農家や飲食店からの寄付を活用できることになりました。子ども食堂やコミュニティ食堂は、飲食店としてはグレーゾーンなので、必ずしも営業許可を取る必要はありませんが、安全性・信頼性を高めたいと許認可も取得しました。

林さんは「学校の協力も大きかったです」と振り返り、「家庭科室での調理もOKしてくれたので、実現できたと思います。冷蔵庫や食器の一部は、地域の寄付。みんなが同じ方向を向いて協力できているのがありがたいですね」と満足気。地域とPTA有志のスタッフは試作を重ね、時短のためにチーズを入れてとろみを出すなどの工夫を繰り返し、関係者を呼んだプレオープンを経て、正式オープンしたのです。

カフェタイムや運動場開放も

児童100円、大人300円でスタートしたカレーの提供も、現在は中学生まで無料、高校生は100円に

児童100円、大人300円でスタートしたカレーの提供も、現在は中学生まで無料、高校生は100円に。案内や片付けなどを行っていたスタッフも、毎回広くボランティアを募ることになりました。

今後はメニューもカレー1種類だけでなく、ケーキやコーヒーも楽しめるカフェ営業も構想中です。取材時は校庭も開放されており、食べ終わった子どもが早速駆け出し、見守る親御さんがおしゃべりする場面も。子どもを遊ばせながら、地域の人がゆったりと時間を過ごせる場所へとさらなる進化を目指す「FUTABUCKS CAFE」に期待が高まります。

◆情報
「FUTABUCKS CAFE」
名古屋市立陽明小学校で月1回(主に第3日曜 / 11時半〜14時頃)開催
未就学児〜小学生:無料 / 高校生:100円 / 大人:300円

文・写真:鈴木満優子

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