多くの子育て課題が取り上げられる昨今、行政・民間などでさまざまな支援が進んでいます。
そんな中、2021年6月1日に、岐阜県多治見市、中部電力および中部電力パワーグリッドの間で 「安心して子育てできるまちづくりに関する協定」が締結されました。地域の新たな子育て支援として期待される取り組みをご紹介します。
自治体×企業の新たな取り組み
少子高齢化や核家族化など社会環境の変化で、子育て世代のつながりが薄れているといわれています。このような状況を受け、全国の自治体で計画的な子育て支援策の推進や、支援体制を強化するための基盤整備などが行われています。さらに、自治体×企業の取り組みも始まる中、アプリを活用した新しい子育て支援がスタートします。
2021年6月1日に、多治見市、中部電力および中部電力パワーグリッドは「安心して子育てできるまちづくりに関する協定」を結びました。
具体的な取り組みは以下の2点です。
- 中部電力が提供する「子育て支援アプリ」を活用した、子育て関連情報の発信
- 妊娠期から切れ目なく支援をおこなうための基盤検討および実証
子育て支援アプリとは？
市のホームページや広報紙で公開されている子育て支援情報を、アプリ内に一元化。お住まいの小学校区や子どもの年齢等を登録することで、生活エリア、ライフステージなど必要に応じた情報を届けます。
子育て支援アプリは、2020年1月からサービスを開始。現在約4,000人の方に使っていただいています。多治見市でも2021年5月から先行してサービスを開始しました。
詳しくは、記事最後の使わないのはもったいない！便利な機能がいっぱいの「子育て支援アプリ」 をお読みください。
※2021年12月に「子育て支援アプリ」は「きずなネットアプリ」として生まれ変わりました。
今回の協定には多治見市、アプリを開発した中部電力、多治見市に事業場を構え地域のお客さまと接している中部電力パワーグリッドが参画。今後、三者が連携して地域を支える体制づくりを行っていきます。
地域における子育て支援の課題
子育ての課題には地域性が大きくかかわります。今回、協定を結んだ多治見市にはどのような課題があり、この協定の締結に至ったのでしょうか。子ども支援課の勝見さんに、お話を伺いました。
多治見市役所 福祉部 子ども支援課 課長 勝見祐子さん
多治見市には、13小学校区すべてに児童館・児童センターが用意されています。また、多治見駅前の市役所駅北庁舎3階フロアに、子育て・教育に関係する部署を集約。妊娠期から学齢期までの子どもに対してのサービスが受けられます。
3歳未満の子どもとその保護者を対象とした子育て支援拠点「ぽかぽか広場」は、専用ルームでお子さんと一緒に安心して遊んでいただける場所を用意。子育て経験のあるスタッフが、子育てに悩むママの話をお聞きします。他にも子育てに役立つ講座やイベントなども多数用意してきました。
このように、さまざまなサポート体制を整えているものの、なかなかその情報を子育て世代に届けることが出来ていないのが課題。
今までは紙媒体での告知が主流でしたが、若い世代にとっては、スマートフォンアプリを使って情報を収集するのが当たり前になっています。
子育て支援アプリを通じて、子育て世代に確実に、タイムリーに情報を届けられるようになることを期待しています。
「切れ目ない」サポートへの期待
多治見市では、妊娠中から3歳6か月児までの健診などに関する保健センターからの連絡に、同じく中部電力のサービスである「きずなネット」を利用しています。
また、小中学校から保護者に向けた連絡網にもきずなネットを利用。
子育て支援アプリの機能が追加されたきずなネットを利用することで、妊娠期から中学卒業までの子育て期間にわたって切れ目なく支援していく仕組みを構築していくことを目指しています。
最後に
地域の社会課題解決に向けた多治見市×中部電力×中部電力パワーグリッドの取り組み。協定式で多治見市の古川市長は「多治見市を実験の場として、子育て世代の声を聞きながら、完成形を作っていきたい」と挨拶しました。
「安心して子育てできるまちづくり」の全国に向けた先行事例となるべく、新しい取り組みが動き始めています。
文：撮影：三輪田理恵
