- 投稿日
名古屋の中心部に位置する名古屋城は、その壮麗な姿と圧倒的な存在感で、長年にわたり市民や観光客に親しまれてきました。現在の名古屋城は歴史的スポットというだけでなく、本丸御殿には豪華絢爛(けんらん)な障壁画や美しい欄間(らんま)彫刻、きらびやかな金鯱、精巧な石垣など、見どころが満載です。
子どもと一緒に、これらの伝統美や職人技をじっくり鑑賞することで、学びと感動が得られる絶好の機会に。いつものおでかけが、歴史やアート、建築の探究へと変わり、子どもの知的好奇心がぐんと広がるきっかけになるでしょう。
歴史と文化を親子で体感
徳川家康が築城を命じ、江戸時代初期に完成した重要な歴史遺産である名古屋城。大天守・小天守と呼ばれる2つの天守閣が特長で、金鯱が頂部に輝くその壮大な姿は、名古屋のランドマークとして知られています。また、堀や石垣の美しさも見逃せません。
順路を進むにつれ、黒漆塗りや金箔押しを駆使した美しい天井絵に変化していきます
城内に一歩足を踏み入れると、徳川家の権勢(けんせい)や地域の歴史の奥深さを体感できます。ガイドボランティアによるガイドツアーや、子ども用パンフレットの用意もあり、子どもも楽しみながら知識を深められるような工夫が凝らされています。
障壁画とその豪華さ

名古屋城の大きな見どころのひとつが、本丸御殿の障壁画です。現在の本丸御殿には復元模写された障壁画が飾られており、数百枚に及ぶ障壁画は、江戸時代の名画家たちが手掛けたもの。金箔を贅沢に使いながら四季折々の草花や動物、神話や風景が緻密に描かれており、場内を歩くたびに圧倒的な美しさを体験できます。
入ってすぐの「竹林豹虎図」は、来館者への威嚇の態度を示すため、人が座った目線の高さに虎が描かれています
特に傑作と評価が高い、狩野探幽の「雪中梅竹鳥図」。日本の美術史に残る“余白の美”を体感してください
障壁画の鑑賞は、子どもにとっても新鮮なアート体験の場にもなるでしょう。テーマや由来について見聞きしながら、色彩の使い方や絵の細密さに注目して鑑賞することで、子どもたちの創造力や観察力を伸ばすことにも期待できます。
欄間彫刻に込められた職人技
本丸御殿の欄間に施された彫刻は、建築美の粋を集めたものです。動植物をモチーフにした繊細な彫刻が、空間ごとに異なる表情を見せてくれます。これらはすべて伝統的な道具と技術により製作されており、子どもにとっては、手仕事や職人技能の素晴らしさに触れる貴重な機会です。

親子で「どうやって作ったのかな?」と対話しながら見て回ることで、ものづくりに対する興味が芽生えます。
金鯱の輝きを間近に
金鯱にはオスとメスがあります。この写真はどちらでしょう?
名古屋城の象徴ともいえる金鯱は、高さ2.6m・重量1215kgという巨大な飾りで、瓦屋根の頂部を飾っています。この金鯱には、「城を火災から守る」という伝説があり、地域の安全祈願や繁栄の象徴でもあります。
石垣の謎と科学
名古屋城の石垣は、地元だけでなく遠方から集められた名石を、職人が巧みに積みあげて造られています。そのなめらかな曲線や絶妙な隙間は地震にも強く、何百年も当時の姿を残しながら現存する設計技術は驚きです。
石垣には築城を請け負った大名が目印に残した「刻紋(こくもん)」が見られるので探してみて!
城周辺を散策しながら、石垣の秘密や積み方の違いについて解説された「石垣パンフレット」(有料)を読んでみましょう。「どうやって積んだのかな?」と予想することで、理科や算数にも通ずる学びが得られます。
大名が積んだ江戸期の石垣(写真左側)と積み直した石垣(写真右側)を比較して見てもおもしろいですよ
親子向け体験プログラム
名古屋城では四季折々のイベントや特別展示が行われており、子ども向けのワークショップや体験型学習イベントも豊富です。子ども向けに丁寧に説明される企画も多く、家族で参加しやすいのも魅力です。
城を堪能した後は、城下散歩
食べ歩きしやすいメニューの店が多い「宗春ゾーン」
名古屋城の正門側「義直ゾーン」と東門側「宗春ゾーン」に分かれる大型飲食施設「金シャチ横丁」。義直ゾーンは江戸時代にタイムスリップしたような雰囲気の中に老舗の名古屋めしの店や土産店が並び、宗春ゾーンでは食べ歩きもしやすい創作グルメなど新しい名古屋の味と文化が楽しめます。

宗春ゾーンで販売されている金鯱をモチーフにした「金しゃち焼き」は、食べ歩きにもぴったりで人気のメニュー。あずきやカスタードなど、子どもから大人まで楽しめる味がラインナップされています。季節限定の味も登場するので、ぜひチェックしてみて。問い合わせは、金シャチ横丁事務局(052-951-0788)、または公式サイトなどを確認してください。

【問い合わせ】052-231-1700(名古屋城総合事務所)
【場所】名古屋市中区本丸1-1
【時間】9時~16時30分(本丸御殿・西の丸御蔵城宝館への入場は16時まで)
【休館日】12月29日~31日、1月1日(イベント等により変動あり)
【駐車場】あり
【公式サイト】https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp
【アクセス】地下鉄名城線「名古屋城駅」から徒歩で約5分
【料金】観覧料/高校生以上500円、名古屋市内高齢者100円(65歳以上、要証明書)、中学生以下無料
最後に
名古屋城を訪れる最大の魅力は、子どもが自分自身で「発見」できる体験が多いことです。美術や歴史、建築、科学など、さまざまな要素が混ざり合う名古屋城だからこそ、子どもの「好き」が広がります。親子の会話を大切にしながら、展示ひとつひとつに「あれは何?」「どうなっているんだろう?」という興味の芽を育てることで、学びの楽しさを体感できるでしょう。
また、春は桜の名所として有名で、天守閣を背景に桜が咲く光景は絶景です。夏の新緑、秋の紅葉、そして冬の雪景色と、自然に包まれた歴史建造物の美しさも、親子で写真を撮りながら楽しむことができますよ。
文:森下右子




