【お仕事インタビュー】救急看護師

【お仕事インタビュー】救急看護師

きずなネットでは、進路や職業選びの参考にしてもらえるよう、さまざまな仕事に携わる人の声を紹介しています。

今回は、人気の職業の一つである「看護師」です。さまざまな働き方のある職業ですが、ここではドクターヘリに搭乗する「フライトナース」としても活躍される「救急看護師」の方にお話をうかがいました。

成瀬さん
成瀬 朱理さん

46歳/20年目

浦添総合病院
救急看護師

子どもの頃の夢は?

特にありませんでした。なんとなく、学校の先生か、校正者になろうかなと思っていた程度です。

仕事についたきっかけは?

看護ではない、四年制大学に通っていたのですが、当時お付き合いしていた方のお母さまが病気で倒れたことがきっかけです。

看護ではない、四年制大学に通っていたのですが、当時お付き合いしていた方のお母さまが病気で倒れたことがきっかけです。そのときに、自分にも何かできることがあればと強く思い、大学卒業後に看護の専門学校に入りました。

看護師になってからは、1年目からずっと救命センターで働いています。救急を選んだ理由は、飛行機などで「この中にお医者様はいませんか?」という状況になった時に、「看護師ですがよければ…」と名乗り出て颯爽と患者さんを助けたかったからです。

救急看護師20年ですが、いまだに一度もそういった経験はありません(平和で喜ばしいことだと思っています)。

仕事内容は?

救命センター所属なので、主にER(救急救命室)で勤務しています。ER勤務は二交代制で、夜勤もあります。

ドクターヘリ・ドクターカー(※)看護師としても勤務しており、運航/運行の場合は日勤帯で、要請があったタイミングで出動します。

ドクターカー担当の日はER勤務をしながら、ドクターヘリ担当の日はヘリ基地で待機しながら点検業務やデスクワークを行い、要請があれば出動する形をとっています。

※ドクターヘリ・ドクターカーとは?
医師が搭乗して、患者さんを治療しながら輸送するヘリコプターや車のこと。「プレホスピタル」と言って、救急疾患の患者さんに対して早く治療をおこなうことを大きな目的としています。救急疾患の患者さんは、1分1秒の対応で、予後が左右されることも多いです。

通常であれば病院に着いてから診察が始まりますが、ドクターヘリやドクターカーで患者さんのもとに出向くことで、病院前から診察を始める「治療の前倒し」ができます。

ドクターヘリは、救急車より早いからではなく、一秒でも早く医師の診察をすること。そして、離島やへき地などにおいて、救急車より早く病院に運ぶということも大きな役割です。

ER勤務の日の流れ

①出勤、まずは物品や救急カートの点検を実施。申し送りを受けた後に、業務に入ります。

②ウォークイン(救急車などではなく直接来院された方)の患者さんが多く来院した際は、まずは看護師がトリアージ(治療の優先順位の決定)を行います。

救急車はホットラインに電話があり、患者さんの重症度に応じてベッドや対応する人数を医師・看護師の各リーダーが決定して受け入れます。

③医師の診察と同時進行で看護師が処置を行い、早期診断・早期治療介入のためにチーム一丸となって対応にあたります。

④ERでの初期診療を終えたら、必要に応じて専科にてコンサルトを行います(その後、患者さんは病棟に入院する、あるいは帰宅する形になります)。

⑤引継ぎをおこない、退勤。

日によって大きく変わりますが、ウォークイン、救急車合わせて1日あたり50人ほどの患者さんが来院されています。

ドクターヘリ・ドクターカー看護師としての仕事

医師が診察や搬送する病院の調整や情報提供を行っている間に、ドクターヘリ・ドクターカーの看護師は、治療や処置の介助と実施、搬送準備、情報収集、家族対応などを行います。

プレホスピタルでは基本的に医師1名、看護師1名なので、役割分担をして効率よく診療を進めています。

医師から一つ一つ指示を受けて動くのではなく、先を読んで診療の介助や準備を行い、情報収集を行うことが求められます。

また、医師の補助だけではなく、アセスメント(患者さんの症状や脈拍・血圧・体温などの情報を分析・診断し、看護上の問題や治療・ケアの優先度を明確にすること)を共有したり、治療方針を協議したりすること。急なケガや病気で不安を抱えている患者さんやご家族に説明や声掛けをすることで安心していただくことも、ドクターヘリ・ドクターカー看護師の大切な役割です。

仕事につくために努力したこと

4年制大学を卒業してから看護の専門学校に入ったので、同級生は4歳下。

4年制大学を卒業してから看護の専門学校に入ったので、同級生は4歳下。つい先日まで高校生だった子たちでした。20歳前後での4歳差は大きく、はじめは馴染むのに苦労しましたが、今でも看護学校の同期とは交流があり一生の友人です。

救急看護師になってからは、いろいろなコースを受けました。ICLS(蘇生トレーニング)、ITLS(病院前外傷処置教育訓練)、JNTEC・JPTEC(外傷初期診療)、JTAS(緊急度の判定)、BLSO(妊産婦の救急)、MCLS(多数傷病者への対応)など。こうしたコースでは、現場で必要なことを体系立てて実践的に学べるので、とても役に立ちました。

仕事の楽しいところ・やりがい

やはり、患者さんが元気になったり、患者さんやご家族から感謝していただけたりすることが、とても嬉しいです。これほど分かりやすく直接的な喜びはないですし、看護師という仕事の最大のやりがいです。

重症外傷で長く入院していた若い女の子が、携帯をいじりながら挨拶に来てくれた時の喜びは忘れられません。自分の仕事で誰かの命を救える、誰かに感謝してもらえるというのは本当に誇らしいことです。

将来の目標や夢は?

看護教育に携わりたいという思いがあります。看護師は、多忙な中でも精度を求められるため、ストレスが多い仕事と言えるかもしれません。ですが、本当に素晴らしい職業なので、看護学生や1年目の看護師がもっと仕事の喜びを経験できて、楽しく、自己肯定感を持って働けるようにしたいです。

とは言うものの、今はまだ救急看護師としての現場の仕事が楽しいので、離れがたいです。

将来この仕事につきたい人へ

看護の仕事は、本当にやりがいのある仕事です。誰かに「ありがとう」と言ってもらえる、お役に立てることで、自分自身も幸せな気持ちを味わうことができています。

そのためにはたくさんの勉強も努力も必要ですが、それでも十分お釣りがくるくらい素晴らしい仕事だと思います。

看護学生~看護師3年目くらいまでは特に大変で、現実を見て辞めたくなることもあるかもしれません。そんな時も、患者さんの笑顔を思い出しながら少しだけ頑張ってみてください。

最近は、社会人を経験し、子育てが一段落してから看護学校に入る方も多いです。もし年齢を理由に看護の道に進むのをためらっている方がいたら、ぜひ諦めないでチャレンジしてほしいです。

文・聞き手:きずなネットよみものWeb編集部

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