きずなネットでは、進路や職業選びの参考にしてもらえるよう、さまざまな仕事に携わる人の声を紹介しています。
今回は、読者アンケートでリクエストのあった公認会計士です。中でも、財務の専門家としてM&A(企業の合併と買収)に携わる会計士の方に話を聞きました。
34歳/10年目
デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社
公認会計士
この仕事を選んだ理由は?
実業家である堀江貴文さんや藤田晋さんの活躍を見たり、TVドラマ「ハゲタカ」の影響を受けたりして、企業買収に興味を持ったのがきっかけです。いろいろと調べる中で、財務の専門家として企業買収に関わる方法があると知り、この職業を目指しました。
実は、高校1年生の時に学校を中退し、モータースポーツの「レーシングカート」に打ち込んでいました。ただ、それと両立して高等学校卒業認定試験(旧・大検)を受け、大学には進学するつもりで勉強も継続。将来を考えた際に、「手に職をつけるのであれば、大学進学にこだわる必要はない」と思い、20歳の頃に 大原簿記専門学校 に入学しました。
4年制課程の3年間は税理士コースに在籍していましたが、会計士の勉強の方が自分に合っていると感じて4年生から会計士コースへ転籍。公認会計士試験に合格することが出来ました。
試験合格後は、現在勤務している会社のグループの監査法人で3年半実務に携わった後、公認会計士の資格を取得。今の業務に就いています
仕事内容は?
企業買収をサポートする部署に所属し、クライアントから依頼を受け、買収候補企業の財務情報を分析・報告する業務を行っています。
買収候補の企業が、クライアントにとって、どのくらいの価値があるのかを財務的な視点で評価をしていきます。今は管理職なので、プロジェクトリーダーとしてメンバーが作成した調査報告書のレビュー(評価やフィードバックなど)が主な業務です。
ある日の主な業務内容
9時30分
始業
メールの確認など
10時
プロジェクトメンバーのレビュー
メンバーの業務の進捗や買収候補企業に出す質問、調査報告書の確認など
11時30分
昼休憩
12時30分
プロジェクトメンバーのレビュー
16時30分
クライアントとのミーティング
17時30分
終業
プロジェクトごとに数人のチームを組み、約1か月かけて調査を実施。プロジェクトメンバーは全国にいるため、主にzoomなどのオンラインツールでコミュニケーションをとっています。
プロジェクト最終日にある報告会の後は、皆で打ち上げを行うのが恒例です。
仕事の楽しいところ・やりがい
企業の大きな意思決定に関われるのが1番のやりがいです。調査対象になる企業は、中小企業から上場企業まで規模も業種もさまざま。財務の視点で、企業の内部事情などの深いところまで入り込んで見られることも興味深く、面白いと感じています。
仕事の大変なところ
調査期間が決まっていて、時間的な制約がある中で報告書をまとめなければいけないことです。企業側から必要な情報や数字を出してもらいながら進めるため、自分でコントロールできることばかりではありません。
報告日は変えられないので、どう働きかけて必要な情報を引き出していくかを考え、それをタイトなスケジュールの中でまとめていくことが大変だと感じます。
仕事につくために努力したこと
やはり、公認会計士試験の勉強は努力しました。4年間専門学校できっちり学び、試験対策が出来たのはよかったです。また、監査法人で実務経験を積んでいた時も、「1年でも早く先輩のスキルを自分のモノにするんだ」という姿勢で取り組んできました。
今に至るまでいろいろなことがありましたが、20歳の頃に描いていた夢を実現できていると感じています。
今後の目標
今は「デロイトトーマツ」という会社の看板の下で働いていますが、会計のスペシャリストとして「小田さんだからお願いしたい」と言ってもらえるような関係性をクライアントと作っていきたいです。
この仕事を目指す人へメッセージ
日経新聞の一面を賑わすようなニュースに影で関われるのは、この仕事の醍醐味とも言えるのではないでしょうか。大変なことも多いですが、報酬面でも恵まれた中で働くことが出来ています。
私の場合は企業に就職してM&Aの業務に携わっていますが、公認会計士は会計のスペシャリストとして、さまざまなキャリアが実現できる仕事です。目指す価値の高い資格だと思うので、ぜひ興味がある人はチャレンジしてみてください。
文・聞き手:きずなネットよみものWeb編集部
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