【お仕事インタビュー】税関職員

【お仕事インタビュー】税関職員

きずなネットでは、進路や職業選びの参考にしてもらえるよう、さまざまな仕事に携わる人の声を紹介しています。

今回は、輸出入貨物・海外旅行者の携帯品の通関や取締り、関税や消費税などの徴収を行う、税関の職員です。中でも、名古屋税関 中部空港税関支署で勤務する職員の方に話を聞きました。

名古屋税関・勝俣七泉さん
勝俣 七泉さん

24歳/3年目

名古屋税関

所属:中部空港税関支署 旅具(りょぐ)取締部門

この仕事を選んだ理由は?

小さい頃から、旅行などで空港に行く機会が多く、空港で働く人たちを子ども心に「かっこいいな」と思っていました。そんな経験からか、「空港で働きたい」と漠然と考えるようになり、高校、大学へと進むうち、だんだん具体的に意識するようになっていった感じです。

その中でも、海外から帰国した時に空港で見かけた税関職員の姿が印象に残っていて、就職を考える時期に、ふと「どんな仕事なんだろう?」と、インターネットで調べてみたことがきっかけです。「日本の安全・安心を水際で取締まる」という税関の任務にひかれ、目指すことにしました。

仕事内容は?

中部国際空港にある中部空港税関支署の旅具取締部門で勤務しています。

中部国際空港にある中部空港税関支署の旅具取締部門で勤務しています。

仕事内容は大きく分けて2つあり、1つ目が海外から日本に入国する人の荷物などに、不正薬物や拳銃などのいわゆる「社会悪物品」と呼ばれるものや、コピー商品など日本に持ち込めないものがないかを調べる仕事。

2つ目は、海外から日本に入国する人がブランド品やお酒、たばこなど税金が免除される範囲を超えた場合、関税などの税金を徴収する仕事です。

海外から帰国する際、飛行機の中などで、「携帯品・別送品申告書」というカードを記入したことがあると思います。空港の入国検査場に立ち、入国する人たちからその申告書とパスポートを受け取り、必要に応じていくつかの質問をしたり、荷物の中を検査したりしています。

わずかな異変も見逃せず、経験がものを言う仕事なので、先輩たちと声を掛け合って、協力しながら業務にあたっています。

ある日の流れ

※早番勤務の場合

9時30分 出勤
制服に着替え、担当する第2旅客ターミナルへ移動します。

10時 出国検査場にて業務
海外に出国する人の検査も重要な業務です。出国検査場で、外国製品や現金などを海外へ持ち出すものの確認を行います。

11時30分 昼食
飛行機の到着が落ち着いたタイミングで、お昼をとります。

12時30分 入国検査場にて業務
入国検査場で、入国する人からパスポートと携帯品・別送品申告書を受け取り、検査を行います。あわせて、電子申告ゲートで利用者の対応なども行っています。

18時 夕食

19時 入国検査場にて業務
第2旅客ターミナルの最終便が21時頃なので、その後は、第1旅客ターミナルに移動し、こちらでも入国検査を行います。

23時 入浴・仮眠
翌朝の便が到着するまで仮眠室で休みます。

3時 起床・朝食

4時 入国検査場にて業務
早朝5時頃に朝1番の便が到着するため、その時間までに準備をして、業務をスタートします。

8時 退勤

私の所属する旅具取締部門は早番と遅番の2つの勤務形態があり、シフト制になっています。

例えば、早番の日は、朝から翌日の朝まで24時間ほど勤務し、勤務後は非番となります。勤務中に途中で仮眠するものの、長時間の勤務のため慣れるまでは少し大変でした。

飛行機の運行時間に合わせた勤務のため、お盆や年末年始など、臨時便が飛ぶ時などは、より忙しくなります。

この仕事の楽しいところは?

税関の使命である不正薬物や拳銃など、社会悪物品を発見し、密輸を防ぐことが出来た時はやっぱりうれしいですね。

税関の使命である不正薬物や拳銃など、社会悪物品を発見し、密輸を防ぐことが出来た時はやっぱりうれしいですね。最近は金の密輸が増加しているので、職員一丸となって目を光らせています。

密輸の手口も巧妙化していて、私たち税関職員もそれに対応するため、最新の検査機器をとり入れたり、研修などで知識をブラッシュアップしたり、日々努力を続けています。

この仕事の大変なところは?

訪日外国人の増加に伴い、入国検査場も混雑するようになってきました。日本に入国する人たちをなるべく待たせないよう、限られた人員で迅速に対応するのが大変です。一方で、絶対にミスが許されない仕事なので、急ぎながらも適切な検査を行っています。

中部国際空港は、特に、中国や韓国、フィリピンなど、アジアの国々から来る人たちが多いのですが、たまに母国語しか話せない人もいます。そのため、検査に必要な簡単な会話が出来るように勉強しています。職場内の語学研修などで学んだり、職員の中にはいろいろな国の言葉を得意とする人たちがいるので、サポートし合ったりして働いています。

この仕事につくために努力したことは?

税関職員は国家公務員なので、国家公務員採用一般職試験に合格する必要があり、そのための勉強は頑張りました。

税関職員は国家公務員なので、国家公務員採用一般職試験に合格する必要があり、そのための勉強は頑張りました。私は大学4年生の時に試験を受けて合格し、官庁訪問(志望する官庁を訪問し、業務説明や面接を受けるステップ)を経て、名古屋税関に入ることになりました。

最初は、名古屋港の通関部門に配属され、申告のあった輸出入貨物の審査・検査などをしていました。その後、現在の部署に異動したのですが、これまでとは違う知識やスキルが必要となり、1から学ぶことも多かったです。そういった意味では、ずっと努力が必要な仕事だと言えるかもしれません。

今後の目標は?

子どもの頃に思い描いていた「空港で働く」という夢をかなえられたので、次は税関職員として専門性を磨いていきたいですね。今はその第一歩として、韓国から来た人たちに、韓国語でコミュニケーションをとれるようになりたいと思い、韓国語の勉強を頑張っています。勉強したことを、すぐに検査の時に実践できるので、やりがいがあります。

部署によっては輸出入に関する帳簿を調べる業務があるため、今後は簿記の資格も取得したいと思っています。

この仕事につきたい人へ

税関職員というのは、日本の安全・安心を守る、とてもやりがいのある仕事です。

税関職員というのは、日本の安全・安心を守る、とてもやりがいのある仕事です。税関では、就職関連のイベントなどを積極的に行っているので、もし興味を持ったら、積極的に足を運んでみて欲しいです。

そして、仕事内容は本当に幅広く、さまざまな分野で活躍する人たちがいます。例えば、同じ中部空港の中だけでも、麻薬探知犬とペアになって不正薬物を探すハンドラーや、外国から到着した国際郵便物の通関や検査を行う税関職員もいます。

業務が多岐にわたる分、いろいろな知識や経験が求められます。一見「関係ないかな?」と思うようなことも、意外と役に立つかもしれません。今、興味を持っていること、夢中になっていることがあるなら、ぜひそれを大切にしてくださいね。

文・聞き手:きずなネットよみものWeb編集部

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