おこづかいは、子どもが最初に触れる“経済”です。お金の使い方や稼ぎ方、貯め方、さらに、ルールや相手との交渉など、たくさんのことを学ぶきっかけになります。
もうすぐやって来る新年度は、生活が変わるタイミング。おこづかいを見直すのに最適な時期です。そこで、子どものマネー教育にも注力するファイナンシャルプランナーに、おこづかいの見直しを通して、どんなお金の教育ができるのかを聞きしました。

FP事務所RAC代表 近藤賢一(こんどう・けんいち)さん
南山大学経済学部卒業後、求人広告営業や人材あっせん事業のコンサルタントなどを経て、FPとして独立。年間100世帯以上の家計相談や資産形成に関するアドバイスを行っている。小学校PTA会長でもあり、Youtubeチャンネル「教えて!こんけん先生」では、子どもへの金融教育に関する動画を配信中。2026年1月、著書「わが子を貧乏にしない お金の教科書」を刊行。
新年度におこづかいの見直しを

おこづかいのあげ方
学年が上がる、小学校から中学校へ進学するといったタイミングは、おこづかいを見直すのに良い機会です。生活が変わり、活動範囲も広がり、「できることが増えた」と実感する時期を区切りに、おこづかいの金額や渡し方、使い方を親子で再点検してみてはどうでしょう。
まずは金額の検討です。生活の変化や、本人の成長に合わせて、定期的に渡すおこづかい(基本給)の金額をどれくらいアップするのが良いか、親から提案しましょう。それと同時に子どもからも、新生活の目標ややりたいことを聞き出してみると良いですね。すでにお金の管理が身に付いている子であれば、半年や1年分のおこづかいをまとめて渡すことを検討しても。メリット、デメリットをあげながら、子どもと話し合ってみましょう。
一方で、お手伝いをしたときに渡す金額(歩合給)についても、再検討します。今できていること、これからできそうなことに加え、お手伝い内容の変更なども含めて相談し、金額を設定してみましょう。
「お手伝いは教育である」
ここで注意しなくてはならないのが、お手伝いの意味です。お手伝いは、子どもの家事能力や生活力を高めるのはもちろん、働くことの意義を学べる貴重なチャンスです。自分が価値を提供すれば、対価が得られるという経験は、金銭感覚や将来のキャリア観をつちかう基盤になります。素晴らしい教育の機会になるのです。

しかし、あくまでも「お手伝いは教育である」ということを忘れてはいけません。子どもに家事のお手伝いを強制し、そして、子どもが家事をしなくては家庭が回らない場合、ヤングケアラー(家族の介護その他の日常生活上の世話を過度に行っていると認められる子ども・若者)になってしまう可能性もあります。
ですから、保護者は教育的観点でお手伝いを頼むことを意識し、子どもが断っても良い状態をつくってあげましょう。また、必ずやったことを振り返り、感謝や評価とともにおこづかいを渡してみてください。子どもは、報酬のありがたさや仕事のやりがいを感じるようになるはずです。
お金の使い方と交渉を学ぶ
おこづかいを見直す際には、使い方についても話し合うことが必要です。「将来や目標のために貯める分」「自由に使う分」「プレゼントや寄付など、人のために使う分」を分けて管理すると、計画的に使うことができます。目的別に管理する方法については、前回の記事でもお伝えしました。
保護者が使い方を決めるのではなく、あくまでも子どもが自分で計画して使うのを見守ってほしいですね。小さな失敗も大きな学びになります。ただし、必要なルールだけは決めておきましょう。サブスクへの加入や、ゲームの課金などはトラブルの元になるため、勝手にしないことを事前に約束してください。

生活が変わると、お金の使い方も変わってきて、今までとは違う支出が出てくる可能性も。友達に誘われて遊びに行くようになったり、新しい趣味ができたり、部活や習い事、塾などで、交通費や軽食が必要になったり。また、おこづかいの使い方を失敗して、お金が足りない場面や、突然少し大きな金額が必要になることもあるでしょう。こうした場合には、子どもが交渉してくるのを待ちましょう。
「いつ、いくら必要なのか」「臨時で欲しいのか、前借りなのか」「基本給と歩合給、どちらを値上げしてほしいのか」「それはどうしてなのか」。それらを自分の言葉で保護者に伝え、交渉するのは、大きなチャレンジになります。
お金の話ができる関係づくりを

もちろん、突然うまく交渉できる子どもはいません。子どもが言い出しやすいように、いつもオープンにお金の話をしておくことが大切です。「今、どれくらい残ってる?」「何を買ったの?」「来月は足りるかな?」といった声がけをして、計画的にお金を使うためのヒントや考えるきっかけをつくります。
また一緒に買い物に行ったり、光熱費や学費について話したり、家計についても少しずつ目を向けさせると、子どもはお金のことを「自分ごと」だと捉えられるようになるでしょう。
自分のおこづかいから始まって、家庭全体のお金のことがわかってくると、友達と比較し始める子もいます。「友達が持っているから」といった理由で高価なものを欲しがったり、反対に「友達は貧乏だ」と見下したりするようなことがあるかもしれません。その場合には、家庭によって金銭感覚やルールが違うことを説明すると良いでしょう。「よそはよそ、うちはうち」で充分です。自分たちが使えるお金を、自分たちの価値観で使う重要性をしっかり共有できると良いですね。
最後に
おこづかいは子どもにとって、大きな学びのきっかけになります。お金の使い方や稼ぎ方、その計画、ルール、交渉の仕方など、さまざまなことを学べます。新年度がやって来る最適なタイミングで、おこづかいの金額を見直してみてはいかがでしょうか。同時に、お金を管理するための学びを親子で始めてみてください。
文・聞き手:きずなネットよみものWeb編集部
この連載を担当している子育て世帯専門FP・近藤賢一さん(こんけん先生)の著書「わが子を貧乏にしない お金の教科書」(ぱる出版、1760円)が出版されました。子どもが将来お金で困らないように、家庭でできるお金の勉強法を分りやすく解説しています。ぜひこの機会にチェックしてみてください。
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