ここ最近話題になっているHSP(エイチスピー/Highly Sensitive Person)は、非常に敏感で繊細な人のこと。5人に1人がHSPだとされていますが、そのうちの約30%、全人口の約6%がHSS型(エイチエスエス/High Sensation Seeking)のHSPだと言われています。別名「刺激追求型HSP」とも呼ばれ、傷つきやすい面を持ちながら、行動力もあるため周りに理解してもらいづらいのが特徴。今回は、HSPの分類と、HSS型HSPの方の対策についてご紹介します。
監修医:鈴木 幹啓(すずき みきひろ)先生
日本小児科学会認定小児科専門医。日本小児感染症学会・日本小児アレルギー学会・日本小児呼吸器疾患学会・日本小児皮膚科学会 所属。34歳で和歌山県新宮市に「すずきこどもクリニック」を開院。心掛けていることは、患者ニーズを徹底的に追及する。患者様を不安にさせたまま帰宅させないこと。人口3万人弱の地方都市にも関わらず、日本一忙しい小児科医と称される。著書「日本一忙しい小児科医が教える~病気にならない子育て術~(双葉社)」三重県伊勢市出身。3児の父。
HSPの4分類とは?
HSPとは?
HSP(Highly Sensitive Person)は、性格的な特性のひとつで、繊細さん・敏感さんとも呼ばれています。人よりも刺激に敏感で、感覚が鋭いため、音・光・ニオイ等に必要以上に反応したり、他人のささいな言動や感情の動きに振り回されたり。疲れやすくなってしまう人のことです。
以下の4つの特徴すべてに当てはまる人がHSPとされます。
- 【物事の考え方が深い】
Depth of processing - 【刺激に敏感である】
Overstimulated - 【共感しやすい】
Emotional reactivity and high Empathy - 【感覚が鋭い】
Sensitivity to Subtleties
生まれた時から持って生まれた性質なので、大人にも子どもにも該当します。そして、HSPの子どもはHSC (Highly Sensitive Child/ハイリー・センシティブ・チャイルド)と呼ばれます。
繊細さん・敏感さんと聞くと、内向型タイプを思い浮かべがちですが、HSPにも分類があり、外向型タイプもいます。そして、刺激に弱いはずなのに、刺激を求めてしまうHSS型(エイチエスエス/High Sensation Seeking)とよばれるHSPも。
以下に、HSPの4分類をご紹介します。
刺激を求めない内向型の繊細さん(非HSS型HSP)
このタイプは、一般的なHSPと見られており、HSPの約70%が該当。内向的で、敏感で繊細な気質をもつ方です。
刺激を求める内向型の繊細さん(HSS型HSP)
このタイプは、HSPの中ではやや少数派。好奇心旺盛で、安全が確認できればチャレンジもできます。刺激がストレスとなるため、一人の時間を持つことで体力を回復します。
刺激を求めない外交的な繊細さん(非HSS型HSP)
こちらのタイプもHSPの中ではやや少数派。社交的で、人との交流は好みますが、些細なことでストレスをためこんでしまうことも。人当たりは良く、刺激を積極的に求めないので、比較的リスクは犯さずに行動します。
刺激を求める外交的な繊細さん(HSS型HSP)
外向型の繊細さんのほとんどが、このタイプ。好奇心旺盛、活動的で周りの人に気を配ることができる人です。マルチタスクも得意でリーダーシップも発揮できますが、後から疲れてぐったりしてしまうことも。
周りからはアクティブに見られますが、その裏で疲れたり傷ついたりしている自分の二面性に悩むことが多くなります。
HSS型・刺激追求型HSPの特徴は?
HSS型HSPの方は、どのような特徴を持っているのでしょうか。以下に特徴を挙げます。
- 新しいものが好きで飛びつくが、すぐに飽きてしまう
- 外に出かけるのは好きだが、人混みや騒音などで帰ってからぐったりしてしまう
- 周りからは明るく社交的で元気と言われるが、実はそうではない
- 周りからは落ち着いていると言われるが、実は心の中で焦っている
- 初対面で打ち解けるのは得意だが、だんだん疲れて距離ができる
- 大胆な行動をとるわりに、些細なミスを引きずってしまう
- 好奇心旺盛ではあるが、常にどこかで警戒している
よく言われる表現だと「アクセルを踏みながらブレーキを踏んでいる」ような矛盾を抱えている人。
アクセルの強さゆえ、家事、育児、仕事、ママ友とのお付き合い・・・何でも頑張ってしまうのですが、実は負担や疲れを感じていることが多々あります。ひどくなると、ストレスがたまって電池切れのようになって引きこもってしまうことも。
活動的で積極的なことから、周りにも分かってもらえず、人知れず悩みを抱えることもあります。
ただし、あくまで性格的な特性で、病気ではありません。ネガティブな面もポジティブな面もあるので、きちんと対策をすることで、悩みも軽くなり、長所を活かすことができるはず。
そんなHSS型HSPの方の対策をご紹介します。
HSS型・刺激追求型HSPの対策は?
刺激追求型HSPと言われるHSS型HSPの人はどのようにすれば、その長所を活かしていけるのでしょうか。
まずは、自分自身の特性に気づき、認めること。自分のパターンに気づけるだけで、事前に対策をおこなうことや早めに休むことができます。
その上で、以下を心がけるようにしましょう。
- 一人の時間を大切にする
- 周りの人に上手に頼る
- 苦手な人と距離をとる
- 敏感で疲れやすいことを周りに伝える
- 睡眠をしっかりとって休む
また、日記などに、その日の出来事、よかったこと・悪かったことなどを記録することもおすすめです。
自分自身のパターンを俯瞰しても見ることで、疲れを溜める前に休むことができ、よい状態を維持しやすくなりますよ。
最後に
繊細・敏感であること、HSPは、あくまでその人の個性です。社交的で積極的に動け、周りの変化に気づけるHSS型HSP・刺激追求型HSPの方は、魅力的な人でもあります。
自分自身の強みと弱みをしっかり把握し、上手に付き合っていくことで、より魅力を伸ばして楽に生きることができるはず。
そして、自分がどこに分類されるか以上に大切なのは、自分自身の特性を知ること。自分に合った疲れを軽減する方法、楽しく過ごせる方法を見つけていってくださいね。
※当サイトにおける情報の提供は、診断・治療行為ではありません。診断・治療を必要とする場合は、適切な医療機関での受診をおすすめします。
文:きずなネットよみものWeb編集部